ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

Ross手術の再手術

2007年08月30日 | 病院
今日の症例は再々手術の若年男性だった。

症例は15年前にRoss手術を施行され、central AR出現のため2年前にTirone E. Davidのreimplantation を施行される。今回、ARとTRのためre-redoとなった。

S教授が執刀し、慎重に癒着剥離が進む。心膜はほぼ閉じられているが強固な癒着が多く、Cannulation部位(2本脱血)と上行Aoを確保するのに2時間以上要した。出血はない。Prosthesisは全周性に強固な線維組織で覆われていたが、prosthesisそのものはsoftだ。

ようやくcross clamping。送血はFAから。心筋保護はretroのみ。A弁尖に2カ所の穿孔を認め、これが主因。Autograftのannulus(Davidで補強されている)に通常の方法でhorizontal mattress sutureをかけ、23mmの機械弁で置換された。TRは3D ring 32mmで形成。一端運針が始まれば後はスムーズだ。術前からlow EFであった。CPBの離脱には30分以上要したが、特に困難なく手術は終了した。

さて、自分には疑問が残る。今回のARの原因のperforationは何によるものだろうか?

前回の手術直後に、trivial ARは残存していたという。annulus dilatationもあるが、今回の主因はperforation だ。Degenerativeが原因なのか?
しかしそれ以外の弁組織はほぼ正常に見えた。

前回の手術で技術的ミスがあったのか?
Rossを手がける別のS教授が執刀されており、その可能性は低いはずだが。

Ross15年目で自然経過だとイタリア人麻酔科医は言っているが、そうでもないように思える。Pulmonary homograftもsoftで正常に機能しているし、今回のTRは別のものだ。

しばらく原因を追求してみる。
コメント
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