昨日のこと、指導教授と予定手術(AVR+CABG)。最近合流した日本人医師同士で初めて教授の助手をする。手術は無難に終了し、その後日本人同士で昼食を取り、雑談をした。AKH内で日本語の会話は珍しい。
「手術が終わったら部屋に来てくれ」と言われていたので、教授室に行く。
「どうしたのか?何があったのだ?」と、心配そうな顔をして質問されたから、何のことやら。雑談をしていて部屋に来るのが遅くなったため、教授は閉胸時に何か問題があったのではと心配していたのだった。
患者さんは問題ないと話すと、「何を話していたのか」と聞かれ、「日本語で雑談」と答えると、「どんな?」と更に聞いてくる。「EUの何処の国が旅行にいいとか、家族のこととか・・・」とたわいもない雑談の内容を話すと、
「それは大事だ!!」と。
一瞬、何がそんなに重要なのかと思ったが、彼は真剣だった。「人の一生は限られた時間しかない。仕事も大事だが家族、子どもと過ごすことは非常に大切な時間だ。何よりバランスが大事だ。」と。彼は日本人のハードワークを知っている。ここで過ごす時間は家族と過ごすべきだと考えている。
教授の生活リズムを見るとオンオフがはっきりしている。仕事をするときは食事も取らず集中している。そうでない日は、午後は病院にいない。おそらく早く帰宅しているようだ。
皆しっかり休み、休暇を楽しんでいるようだ。
今週と来週に祝日があるため、4.5日の有休を取れば10日前後の連休となる。来週月曜日の手術予定表を見ると、7.8人の以上の教授(つまりほとんど全員)が不在になっていた。手術は残された当直医など非常に少人数で組まれている。指導教授も8日間の不在となる。毎年この時期に旅行に行くようだ。
ウィーンに来た当初は不便な国だと思った。日曜日はスーパーもデパートも営業していない。つまり買い物が出来ない。平日も午後7時には全て閉店する。日本の365日24時間営業なんてここでは想像も出来ない。
「家内は何をしているのか?」とよく聞かれる。女性も働くのが当然の社会だからだ。子どもを生んでも皆職に復帰する。当科にも女性の心臓外科教授がいる。小さい子どもを送ってから病院に来るためか毎朝彼女は遅刻気味だが、全く問題ない。外科医でさえ産後の社会復帰が可能なシステムだ。
当直やその日の担当者以外は皆夕方には帰る。事務系の秘書達は午後4時には誰もいない。初めはなんと怠惰な国だと思った。逆にそれが可能でないと社会が成り立たないことに気づく。例えば子どもを迎えに保育園に行き、スーパーで買い物をし、夕食を支度するには4時に帰らないと不可能だろう。仮に7時まで働いたら、既にスーパーは閉店し、子どもを迎えに行けず、家庭のみならず国全体が成り立たなくなるかもしれない。夜は皆家庭にいる。休日はお店も休みだから誰も働かなくていい。基本的には国民全体が休みとなる。
日本は疑いなく非常に便利な国だ。自分は昼間買い物をする時間がないから夜のコンビニで多くを済ましていた。人々の生活リズムに合わせ、お店は深夜まで、若しくは24時間営業する。そのため多くの人達が深夜も働いている。
産後の女性の社会復帰も日本では困難と聞く。子どもを抱えながら夜まで働けるはずがない。従って比較的低賃金のパートタイム労働になってしまう。多くの人が希望するだろう出産前の一般職に復帰するならば、以前と同様に残業をしなければ会社では認められないかもしれない。
人は勤勉であるべきだという社会通念が、国民全体に長時間労働を強要しているような。仮に、家族のために休むと言えば、「君の仕事に対する熱意はそんなものか!」と本気で言われるかもしれない。ウィーンの人たちからは想像も出来ない社会だろう。
「平日午後7時閉店、休日閉店」、なんと不便な国かと思っていたが、これは人に優しいシステムでは、と思えてきた。便利と豊かさは同意語ではない。ウィーンと比べると日本は華やかでモノに溢れているが・・・
朝起き、夜寝る。仕事は日中のみ。しっかり休暇を取り家族と過ごす。「過労死」という言葉、想像も出来ない。
「手術が終わったら部屋に来てくれ」と言われていたので、教授室に行く。
「どうしたのか?何があったのだ?」と、心配そうな顔をして質問されたから、何のことやら。雑談をしていて部屋に来るのが遅くなったため、教授は閉胸時に何か問題があったのではと心配していたのだった。
患者さんは問題ないと話すと、「何を話していたのか」と聞かれ、「日本語で雑談」と答えると、「どんな?」と更に聞いてくる。「EUの何処の国が旅行にいいとか、家族のこととか・・・」とたわいもない雑談の内容を話すと、
「それは大事だ!!」と。
一瞬、何がそんなに重要なのかと思ったが、彼は真剣だった。「人の一生は限られた時間しかない。仕事も大事だが家族、子どもと過ごすことは非常に大切な時間だ。何よりバランスが大事だ。」と。彼は日本人のハードワークを知っている。ここで過ごす時間は家族と過ごすべきだと考えている。
教授の生活リズムを見るとオンオフがはっきりしている。仕事をするときは食事も取らず集中している。そうでない日は、午後は病院にいない。おそらく早く帰宅しているようだ。
皆しっかり休み、休暇を楽しんでいるようだ。
今週と来週に祝日があるため、4.5日の有休を取れば10日前後の連休となる。来週月曜日の手術予定表を見ると、7.8人の以上の教授(つまりほとんど全員)が不在になっていた。手術は残された当直医など非常に少人数で組まれている。指導教授も8日間の不在となる。毎年この時期に旅行に行くようだ。
ウィーンに来た当初は不便な国だと思った。日曜日はスーパーもデパートも営業していない。つまり買い物が出来ない。平日も午後7時には全て閉店する。日本の365日24時間営業なんてここでは想像も出来ない。
「家内は何をしているのか?」とよく聞かれる。女性も働くのが当然の社会だからだ。子どもを生んでも皆職に復帰する。当科にも女性の心臓外科教授がいる。小さい子どもを送ってから病院に来るためか毎朝彼女は遅刻気味だが、全く問題ない。外科医でさえ産後の社会復帰が可能なシステムだ。
当直やその日の担当者以外は皆夕方には帰る。事務系の秘書達は午後4時には誰もいない。初めはなんと怠惰な国だと思った。逆にそれが可能でないと社会が成り立たないことに気づく。例えば子どもを迎えに保育園に行き、スーパーで買い物をし、夕食を支度するには4時に帰らないと不可能だろう。仮に7時まで働いたら、既にスーパーは閉店し、子どもを迎えに行けず、家庭のみならず国全体が成り立たなくなるかもしれない。夜は皆家庭にいる。休日はお店も休みだから誰も働かなくていい。基本的には国民全体が休みとなる。
日本は疑いなく非常に便利な国だ。自分は昼間買い物をする時間がないから夜のコンビニで多くを済ましていた。人々の生活リズムに合わせ、お店は深夜まで、若しくは24時間営業する。そのため多くの人達が深夜も働いている。
産後の女性の社会復帰も日本では困難と聞く。子どもを抱えながら夜まで働けるはずがない。従って比較的低賃金のパートタイム労働になってしまう。多くの人が希望するだろう出産前の一般職に復帰するならば、以前と同様に残業をしなければ会社では認められないかもしれない。
人は勤勉であるべきだという社会通念が、国民全体に長時間労働を強要しているような。仮に、家族のために休むと言えば、「君の仕事に対する熱意はそんなものか!」と本気で言われるかもしれない。ウィーンの人たちからは想像も出来ない社会だろう。
「平日午後7時閉店、休日閉店」、なんと不便な国かと思っていたが、これは人に優しいシステムでは、と思えてきた。便利と豊かさは同意語ではない。ウィーンと比べると日本は華やかでモノに溢れているが・・・
朝起き、夜寝る。仕事は日中のみ。しっかり休暇を取り家族と過ごす。「過労死」という言葉、想像も出来ない。