ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

日本人医学生

2007年04月22日 | ウィーン
先週、病院内のお気に入りの場所にいたら顔見知りの医学生が声をかけてきた。

普段から彼女もその場所によくいるので顔は知っているが、話したことは一度も無かったのでびっくりしてしまったが、用件は日本から医学生が来ているから会わないかということだった。僕は日本人だろうと想像しての心配りだった。

自分のPB番号を教えると、その後しばらくして自分の前に一人のアジア人が現れた。ドイツ語で何やら話しかけて来るが、Japanだけは聞き取れる。Yaと答えると流暢な日本語で話し始めた。彼女がその学生だった。3ヶ月間の交換留学プログラムで来ていると。日本では名古屋大学の6年生だと。非常に賢く礼儀正しい学生さんだ。素晴らしく感心してしまう。

先月も一人日本から医学生が来ていた。巨大なAKHではたとえ日本人が100人いたとしても全く誰とも会わない可能性の方が高いと思うが、なのにもう二人に会った。と言うことは、実際にはもっと沢山の医学生が日本からも来ているのかもしれない。

自分が学生の頃、海外の病院で研修するなんて考えてもいなかった。いいことだと思うし、そんな学生さんには本当に感心する。夜はコンサートに行き、週末は東欧諸国に行くと言っていた。勉強だけでなく、文化にも接する機会にもなる。なんと言っても、医師になってからではそんな時間はもう持てないだろう。

機会があれば日本人学生さんを応援したい。
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完璧な英語

2007年04月22日 | ウィーン
今週の大動脈治療の学会に参加した。

学会はそうそうたるメンバーで討論されている。ここには出席していない日本のKazui先生の名前は何度も出てくる。海外の学会で日本人の名前が連呼されているのを聞いて、数井先生の偉大さが改めて分かった。多くの経験豊富な先生が発弁するが、特にCoselli先生の発言には重みがあるように聞こえた。

さて、いつもお世話になっているE教授の発表になった。彼はNYで行った研究で有名となった先生だ。その研究からそろそろ数年経つが、多くの先生が未だに彼の研究を引用している。今日もすでに何度か引用されている。彼の発表の中にもやはりそのデータが出てきた。

討論になって、フランス人の議長が最後に彼に質問した。”what are you doing now?”
笑ってしまった。みんなそれを知りたかったのだろう。研究データは有名だが、実際にどんな手術をしているのかを。

それにしても彼の完璧な英語には驚いた。綺麗な発音で流暢、全てが完璧だった。普段自分と話すときは、(こちらの語学力に合わせて)ほとんど片言の英語なのに。この前は “three veins. One, two, three.”って言われた。さすがの自分もthreeは聞き取れてはいたが。。。
この演説を聴いて、改めて気づいた。普段は相当こちらの英語力に合わせて、本当にゆっくり、難しい文ではなく短く分かりやすい単語で話してくれていることを。実力のある人は本当に優しいのだなあと再確認した。

その後、レストランでランチしていると、たまたま彼が自分のテーブルに来た。素晴らしい英語で感銘したと言うと、「俺の奥さんはアメリカ人だ、家では毎日英語だよ」って。子どもにも英語とドイツ語を教えていると。さらに今年は数井先生に招待されて日本にも行く予定だと。

彼の手術はよく知っている。やたら早い。AVRの運針から弁の逢着まで10分かからないのでは思うくらいに早い。実際に計ったことはないが。CABGも丁寧に吻合する。でも皮膚は縫ってもらいたくない。

週明けは俺が手術するからって、誘ってくれる。こんな先生と日常的に一緒に手術が出来るのは嬉しいと思う。
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International medical congress for aortic surgery

2007年04月22日 | 病院
The medical congress concerning aortic repair was opened this week managed by our department professors in Vienna.

I would like to talk you regarding the difference in that of Japan.

This congress was not big, if anything pretty small if compared to ordinary one occurred in Japan.

So called a medical congress in Japan is usually opened at a huge hotel or several tremendous halls with thousands audience. The benefit in such a big congress may be that you can get much more opportunity to present your own studies and you can choice to see or listen to the contents in several meeting rooms at same time. But it tends to be too many presenters to take enough time for discussion.

Whereas, this week congress opened in Vienna was running in only one meeting room so that you must stay there even if you are not interesting in presenting topics. Several presenters, however, were well known all over the world, with enough discussion time in this congress, which were attractive. Because of small size, audiences had a lunch at the hotel restaurant with open garden, and easy to communicate novel professors. This must be merit in this congress opened relatively small size with leading professors.

The fee is also pretty different in Japan; 600 Euro of the entrance fee is much higher than Japanese one of less than 120 Euro. It is very good in Japanese one at this point.

I would talk to you one mention. I understood the English speeches of European presenters with quite good, but did not native speakers at all. As a whole, faster speech of native is not still easy to catch the meanings, as like watching CNN programs.
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白衣の天使はいるのか?

2007年04月15日 | ウィーン
日本の大学病院に勤務していると、白衣の天使に会える可能性が高いと思う。

大学病院などの研修機関には看護学校を卒業したばかりの若いナースの比率がかなり高いからだ。毎年春には初々しい卒業したてのナースが大勢入ってくる。また、概して日本人女性は外見を整えることに非常に神経を使っていると思う。皆本当に綺麗にしている。ナースとしての実力はともかく、見た目はいわゆる白衣の天使だ。

AKHにも多数のナースが勤務しているが、いわゆる外見的な白衣の天使は会ったことが無い。人種が違うため自分がそう感じないという可能性もあるが、基本的に何かが違うと思う。まず、医師同様実力重視なので、経験年数20年を越えるベテランが多い点が日本の大学病院とかなり異なるだろう。ベテランの彼女らは管理職ではなく、実際に中心的に仕事している。若いナースもいるが、仕事中に色気を感じることはあり得ない。なんと言えば良いのか難しいが、そんなメイクではしてないし、仕事は仕事と言えばいいのか。

この国も看護は人手不足で他国から大勢のナースが流入している。その点も規制だらけの国とは異なる。従って人種、外見は様々であるが、皆よく挨拶するし、基本的には優しい。もちろん日本のナースも優しい人が多いが、外見を重視する風習が強いと思う。
日本のテレビドラマに登場するような白衣の天使は、そんな日本人男性の描いた理想像なのだろう。ここにいると、それはかなり偏った看護師に対する期待かなと思ってしまう。患者さんの心のなかに天使はいるのだろう。
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かなりの実力に感動

2007年04月13日 | 病院
Z先生は非常に優秀な心臓外科医だ。
たぶん自分より若いが外科医としての実力はかなりのものがある。いつも彼の吻合や止血を見ていてそう思う。
既に標準的な教授と同等かそれ以上の実力に見える。
その彼がいろいろ教えてくれた。教えてくれたことはAKH流のLITAの取り方だ。電気メスの使い方、剥離の仕方、展開の仕方など、かなり手取足取りで。

非常に親切に教えてもらいながら、ふと既に半年以上ここにいたが、ようやく今になって本当のコミュニケーションが出来るようになったような気さえした。日本では自分より若い人から指導されることはあまり無かったし、おそらく気分良くなかったと思うが、この国は実力だけの勝負だ。
実力がある人から教えてもらえると本当に嬉しい。これは貴重な財産になりそうだ。
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取り合い?

2007年04月13日 | ウィーン
自分の予定手術が無事に終了して着替えていると、仲の良いE教授に偶然あった。次の手術を手伝ってくれないかと。彼は忙しいので、開胸してバイパスグラフトを取って欲しいと。もちろんYes。

その後が大変。すると、本来彼の助手の予定であった若いDrがもの凄い剣幕でE教授に電話している。どうして私が助手でないのかと。自分の前で怒ってガチャと音を立てて電話を切っている。秘書に「私はもう彼の助手をしないし、E教授は一人でやると言っている!」と伝えて消えた。さて、彼に頼まれた自分は、レジデントDrの仕事を奪った格好なので困ったものだ。

自分で確認するのが一番なので、直接E教授に聞いてみた。あっさり「君がやるのだよ」と言われた。彼は何とも思っていなかった。この辺が面白い。

この種の若手同士の取りあいは何処の国でも日常茶飯事であろう。日本人らしく常に謙虚であればいいようだ。
世あたり上手には負けるが、外科的な実力だけはつけたい。
 
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同じROSS手術でも...

2007年04月13日 | 病院
胸部大動脈の2段階手術が久しぶりにあったので、それに参加。
AKHでは何故か大動脈の手術数が少ない。興味のある自分には貴重だ。

いつも通りG教授と若手のM教授の手術で、自分は第二助手としてなので参加というか実質的には見学だが。やはりこの手術をみると、非常に低侵襲であり価値がある方法だと思った。終わりになると、午後はROSSをやるからそれにも来ないかとG教授に誘われた。Yesだ。

午後に手術室に行ってみると、既にG教授は一人で開胸していた。M教授が何故か来ないため自分と二人での手術となった。突然の大役という感じで戸惑ったが、自分にとってはかなり良い機会だ。

S教授のROSSには何度か参加しているので多少は分かっているつもりであったが、これが大違い。やはり執刀医によりかなり違う。剥離の仕方も吻合の手順も、特に好みも。

普段から若手に厳しく指導しているG教授だけに、さすがに厳しい。自分にとっては初めて助手をするから分からないことだらけ。特に好みが。しかも手順の多い手術であるためなおさら大変。もう一人助手がいればかなりラクになるのだが。もちろん彼もそれは承知だから、「俺はこのやり方が好みだ」と吻合ごとに教えてくれのだが、やはり最初は馬が合わずに大変だった。辛うじて後半は何とか無難にこなせた。

相当短気で、気むずかしい先生かと思ったが、一緒に手術をすると非常に慎重で謙虚な手術をする先生だということが分かったのが嬉しかった。手術は成功し彼はありがとうと言って去って行った。かなり心地よさそうだった。

この先生のやり方はかなり慎重と言うか何処か日本人ぽい。
S先生は大動脈の吻合を完成させてAo cross clampを解除後に肺動脈を再建する。従ってAo遮断時間は非常に短いが技術的にはやや難となる。一方G先生は大動脈基部、肺動脈再建、最後に大動脈末梢側吻合してからの遮断解除となる。つまり見やすい順に全ての吻合を終了してから解除するので、時間は長くなる。しかも基部は2重に吻合する。肺動脈グラフトの採取もかなり異なる。S先生はハサミで、後戻りなく採取する。これはいいと思った。しかし熟知していないと真似出来ない。一方、G先生は電気メスを使用する。しかも色々な方向から確かめながら切る。確認することは良いと思う後戻りが多いし、電気メスで中隔枝を避けることが容易なのかが疑問であった。切開線も弁輪からやや離れているため剥離面が非常に大きくなる点と、横切る冠動脈枝が多少異なってくるようにも見える。縫い代が大きくなるので安心ではあるが、この点は経験の差であるのか。

ホモグラフトも異なる。S先生は理想的なものが得られない場合は入手可能なものを使っていたが、G先生は肺動脈ホモグラフトの使用にこだわっている。これは遠隔期の成績に重要である。一方、S先生はauto graftの吻合部の口径差を非常に注意を払い、厳密に測定し適合させる。術後の弁不全予防に重要であるが、この点も異なっていた。

いずれにしても面白かった。なんとか彼の助手が出来たことは多少の自信になったかもしれない。
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