中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

英語の公用語化?ミッションあっての語学教育です。

2012-07-02 20:25:53 | ビジネス
楽天の社内英語公用語化の推進は、結果的に反論のほうが多いようですが、一概に賛否を論じるのも間違っています。私もこの場で、批判したのは、楽天のそれが、日本での、日本人同士での英語コミュニケーションであり、仕事のミッションに関係なく一律なことであり、結果的には中国も含めた海外展開に展望が開けていないからです。英語ができれば展望が開けるなどと言う夢物語はないことは、普通の経営者なら理解できると思いますが、ビジネスにおいて致命的に英語が必要になる機会は、立場や国の力関係やビジネスのミッションに応じて生じてもくるわけです。

日本の公用語は日本語である以上、日本で英語を公用語にする必要はありません。本来、日本にセールスに来る欧米人も日本語ぐらい用意すべきで、こちらがわざわざ英語を用意するのは、ホームにいながらアウェイさながらの条件に自ら突っ込んでいくようなものです。逆に、敵地に乗り込み、関係を築きたい場合は、完璧は求めず優秀な通訳を使うとしても、最低限の挨拶程度は、その国の母国語で用意する必要がありますし、自社の製品を買ってもらいたい場合に至っては、一定レベルは相手の母国語ができないと最終的には相手にされないでしょう。

好き嫌いは別にして、韓国人は。英語はもちろん、日本に乗り込む時は日本語を、ジャカルタではインドネシア語を用意してきます。製品の良し悪しもありますが、このところの彼らの躍進は、言語と言うソフトパワーも寄与していることは認めざるを得ないと思います。どうやら母国でも英語で話す機運が高まっているようですが、それもこれも、中国の省一つ分もない自国の人口・市場によることも大きく、外へ、外への流れの中での英語の必要性であり、実際、外に活路を見出す国策をとっています。

が、日本企業でも、今やグローバル化の掛け声のもとに、海外に活路を見出す動きが盛んですが、その前に、少なくとも一億人はまだ普通の人がいる日本で、日本人相手に成功をおさめることが先決だったりします。日本人ともコミュニケーションを日本語で取れず、日本人にも評価されないものが、海外で成功するのは、ごく稀な奇跡を待つようなものです。楽天の場合は、海外で勝てるスキームも見当たらないまま、せっかく首位を勝ち取った日本でのサービスが疎かになりかねないような、社内コミュニケーションの欠落を招いていることが問題だと私は思います。繰り返しになりますが、TOEIC750点で日本で仕事などされたら、業務量、伝達力は25%はダウンするわけです。最終的には売上も25%ダウンすることでしょう。

企業での語学教育は、英語であれ中国語であれ、ミッションが明確になってこそ対策が打てるものです。