はやしんばんぱくの、めげてめけめけ、言論の不自由ブログ

全国各地へ飛び回り、めげてめけめけめげまくり、色々書いていましたが、ブログ終わりました。過去を読めばいい!サラバじゃ~!

『らーめん放浪記』麺57本目・新章プロローグ。

2009年12月26日 14時22分30秒 | 連載書き物シリーズ
『らーめん放浪記』


〈3-(1)・新章プロローグ〉

「あのなぁ鳩山、お前さんの上司想いな気持ちは良~く分かる。
でもな、やっこさんは今や全国に指名手配された凶悪殺人犯の1人だ。
もはや刑事でも何でもねー。
ただのキチガイ、狂った殺人マシーンだ。
同行しているとされる『猫田』とか言う青年もこれまた指名手配中の凶悪犯。
いくらお前さんが
ここまでの犯行はあくまで猫田の仕業で『源さん』にゃ関わりのねー事と言ってもだな
これだけズラリと目撃者の証言や証拠が山のように出てきちまったらな
これもうお前さんのかばえる範ちゅうじゃあねーのよ、分かるな鳩山。
さて!
今ここに設けられた『らーめん放浪記特別対策捜査本部』は
本部長を鳩山とし、以下10名の特別捜査員でもって
指名手配中の犯人『犬山 源五郎』と『猫田 麺吉』の早急な逮捕!
並びに迅速な事件の解決に全力を挙げるものとする!
犯人が抵抗姿勢を崩さぬようなら場合によっては射殺!
犯人に協力する者も射殺!
とりまきもいたら皆射殺!
射殺!射殺!射殺!
何がなんでも事件の広がりを食い止めよ!
っつうかもう犬山も猫田も殺せ!
そして
奴らの犯行を手助けした鳩山!
貴様も同罪!即死刑!
共に射殺だっ!バカヤローッ!!!」
「ええ!?
ごごごめんなさーーーいっ!」


“バキューーーーーーーーーーーーーンッ!!!”


「で、あるからしてだな『らーめん放浪記特別対策捜査本部』を設け…」
「うわぁっ!!!」
っと青年が立ち上がった。
室内は静まり返る。
「……………」
「…おい、鳩山、貴様また寝てやがったか?」
「は?…え?寝てた?
寝て…ました?僕?
って事は今の…。
今の会議とピストルの件は…夢?
うわはっは~…夢で良かったぁ!」
「何が良かっただ!!バカヤローッ!!!」
「ひぃーーーっ!」
「大事な会議で寝てんじゃねー!クソヤロウーッ!」
「ごごごめんなさい~!」

日付が替わった午前1時過ぎ。
眠らない街東京、上野の森警察署の狭い会議室では
おっさんが寄り集まってタバコの煙もくもくな中
もう何時間も結論の出ない捜査会議を繰り広げていた。

その中の1人『鳩山 豆郎』は
今回の捜査会議に於いて重要な参考意見を持った人物だとして呼ばれていた訳だが
そんなポジションにもかかわらず、ここでまた居眠り。
上司に痛い喝を入れられる。

あの忌々しい『タコインターナショナルKK』事件一連の目撃者の鳩山は
福岡県警に重要参考人の1人として取調べをうけた後やっとの思いで解放。
九州土産を山ほど購入し上野に戻ると早々に会議。
正直鳩山はもうヘロヘロだった。
ヘロヘロでうんざりだった。
全てから逃げ出し、引きこもりたい気分だ。
というのも鳩山はこの会議に複雑な心境で臨んでいたからだ。

昨日の事。
鳩山の携帯に“魔の着信”があった。
相手は勿論そう、“犬山”だ!

「ガッハッハ!
おう!元気かお主!元気な訳ないか!ガッハッハ!
ワシはすこぶる元気じゃ!
人肉人骨エキスをチューチューと吸っとるからな!ガッハッハ!
ところでな、たった今“猫目”君が上野の森署宛に小説『らーめん放浪記』を送ったぞ。
お主の持っとる『沖縄編』と、
ワシも共に書いた大作『九州編』
そしてこれから引き起こす『山陽・山陰・四国編』をセットでな!
豪華絢爛じゃ!ガハハ!
つまりはコレ、犯行声明ならびに犯行予告な訳。
“ワシら”人肉らーめん屋台『黒猫』からお主らへの挑戦状なのだ!
ガッハッハッハッハッハ!
そろそろワシの所在も明らかにしとかんと皆が心配するでな
とりあえずそん中でワシ、『黒猫』に誘拐?拉致られてる事になっとるから。
うん、そう、人質、人質!ガッハッハ!
刑事を人質に日本全国殺人屋台が駆け巡る!なんつってカッコイイだろが!
ワシの命も関わっているからのう
奴らもうかつにゃ手を出せなくなるしな!愉快愉快!
ガッハッハ!
でもまあ、あまりに突飛な話だからのう
署の連中も半信半疑、頭を抱える事と思う。
そこでワシのかわいい部下、鳩山の豆郎ちゃんが“そっちとこっち”のパイプ役となってだな
上手い事やって欲しいとまぁそんな訳だ!
頼むぞ!未来の警視総監!
これは命令だからな!分かっとるだろうが上司の命令は絶対じゃ!
それに
もうお主は我々の犯罪に片足突っ込んじゃってるんじゃからな!
おお怖、おお怖!ガッハッハ!
とりあえずワシら今広島におる!
お主はこれからきっと
“この件”に関する署の不毛な会議に出席し
“答えの見えない答え”を強要される事だろう。
答えられる訳がない!お主の立場も危うくなるからなぁ!ガハハ!
そんでもってだ
『らーめん放浪記特別対策捜査本部』みたいなもんが設けられ
そこでまた今までの報告と今後の捜査動向に関する意見をも求められるだろう。
こんな馬鹿げた事件、本当の事を語ったって誰も信じちゃくれんだろうし
そんなんキチガイ扱いされるのがオチだわな!ガハ!
まぁそんなものは、お主なりに適当にあしらって
その面倒なゴタゴタが済んだら直ぐに山口県下関に飛べ!
桜の開花も迫っておるしな!
何?そんな勝手な行動はとれんとな?
ガッハッハ!大丈夫、大丈夫!
署の連中は“こころよく”お主を山口へ送り込んでくれるだろうぞ!
美味しい河豚が、お主の登場を心待ちしておる!
大好きな物産もわんさわんさじゃ!ガハハ!
山口宇部空港到着時にお主にはメールにて
『らーめん放浪記 山陽・山陰・四国編』の細かな1項を送る。
携帯小説方式じゃな!ガッハッハ!
ではまあとりあえず会議を頑張って乗り切るが良い!
じゃな!
ガッハッハ!ガッハッハ!」

“巻き込まれている!”

完全にこのとてつもなく巨大な事件に今自分は巻き込まれ操られている!
電話を切ってから鳩山は考えた。
自分の身の置き方と振る舞い方を。
考えて考えて
考えすぎたら
「ZZZZZ……」
眠ってしまった。
そのまま朝を迎える。

そして今日。
犬山の言う通り上野の森署に分厚い書物が送られてきていた。
表紙にはデカデカとタイトル
『らーめん放浪記』
差出人、原作者は同じ
『猫田 麺吉』
現在指名手配中の青年だ。

出勤するやいなや鳩山はそいつの全ページをなんと10人分コピーさせられた。
目を覆いたくなる様な惨たらしい過去の知った事実と見覚えの無い未来の出来事。
どれもこれも嫌気がさして読む気にすらならない。
目を背けつつ
続いて製本。
鳩山にとってはご存知の恐怖小説『らーめん放浪記』が10冊出来上がる。
うんざりする作業の後
『らーめん放浪記特別対策捜査本部』
が掲げられた会議室にて会議がはじまり
何の進展も無きまま現在AM1時に至る。

鳩山はとりあえず事実と作り話をいり混ぜて不器用に語った。
沖縄での事、九州での事、らーめん屋台『黒猫』の事、犬山の事、自分の事云々。
あまりに支離滅裂、はちゃめちゃな話が
この小説のシュールさを助長させ
会議は更に混乱をきたした。
言う事だけ言ってあとはウトウト。
いくら資料ったって、こんな小説なんか読みたくもない。

頭を抱え「う~ん、う~ん」唸る刑事達。
「バカヤロー!クソヤロー!コノヤロー!」と意味無く怒鳴り散らす狸上司。
そりゃ当然だ。
意味不明、八方塞だ。
事実沖縄と九州の事件は繊細な部分はどうであれ内容は現実と重なっている。
もしこの小説の細かな内容がノンフィクションならばとんでもない事だし
“本当に”犬山が猫田という指名手配犯に人質に取られているならば
それもとんでも大変な事だし。
そして『山陽・山陰・四国編』とやらに書かれている事が犯行予告だとするならば……。

狸上司が突然声を張り上げた。
「事件は会議室で起きてんじゃねー!
なんつってどこぞやのドラマのモンキー顔刑事の物まねじゃねーがなバカヤロー!
どいつもこいつもう~んう~ん唸って!
ここは便所じゃねーぞ!クソヤロー!
とりあえずだ、マジで便所化した会議室から出てだな
現場で野糞だバカヤロー!
この小説の内容が
こいつが犯行予告であるならば、答えは1つだコノヤロー!
おい!鳩山!」
突然呼ばれてビクつく鳩山。
「へ、へいぃ!?」
「貴様すぐに山口へ飛べ!」
「へ?」
「何故だか知らんがこの糞小説
『らーめん放浪記 山陽・山陰・四国編』とやらの主人公は
鳩山 豆郎!貴様のようだからな!」
「…へ?」
「そして他の者は島根・鳥取・広島・岡山・愛媛・香川・徳島・高知の各県に飛んで
それぞれ県警に捜査協力を仰げ!
あっちがその気ならとりあえずこっちは様子見ぃ見ぃ付き合い程度でも前へ踏み出し
事を動かしてみようじゃねーか!
こちらもあちらに詰め寄ったれ!バカヤロー!」
「へ?」
「何ボーっとしてやがる!バカヤロー!
早く支度をしやがれ!クソヤロー!」

「ええーーーっ!!!」

早朝。
鳩山 豆郎は不眠のまま上野から羽田へ向かい
AM6時30分
ANA4242便にて
羽田空港から山口宇部空港へと飛んだのだった。

到着後直ぐ携帯にメールが着信。
“You’ve Got Mail”
開き見た鳩山は空港ロビーでちょーうんざり顔を浮かべてみせたのだった。



そんなこんなの
『らーめん放浪記 山陽・山陰・四国編』とは
こんな話である。


♪パララ~ララ
パラララララ~~~♪

街に夜鳴きの音(ね)が響く。

めけめけ~。


『らーめん放浪記』
山陽・山陰・四国編
はじまり、はじまり!

んでもってお話は
つづく。


(注)この物語はフィクションです。

写真。狸。


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2 コメント

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鳩、犬、猫 (達ちゃん)
2009-12-27 13:06:24
鳩に犬に猫すか。
なんか関連あんのかなぁと考えさせられつつも、風邪気味で絶不調な達ちゃんす。
そういや、山口下関のフグは有名でしたね。
でも何故河の豚なんだろう?
ってしょうもないところに興味ひかれてしまう自分が情けないす。
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達ちゃんさん。 (ばんぱく。)
2009-12-28 13:19:15
河豚は
ピンチ時に豚の鳴き声に似た奇声を発し
昔の中国では河豚は河に生息していた為
河豚と書くそうです。
だから何じゃーーーっ!
(笑)
えっと
らーめん放浪記は当ブログの連載小説でして
良かったら過去さかのぼって読んでみて下さい。
犬、鳩、猫、烏、牛、豚、ペンギン等々登場してきますが
意味は…無し(笑)
失礼いたしました!

風邪大丈夫すか?
無理せず安静に。
お大事に!
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