夢経由現実行き特急『朝』。

昨晩、ちょー怖い夢を見た。
僕は思わず飛び起きた。
「うわぁーーーーー！」と叫び声を上げて。
声は部屋に響いていた。
その、自分の残響を聞いて僕は、あぁ…夢か…とはじめて気付けたのだ。

リアルな出来事をまさについさっきの今の今まで
ライブで体験していたかの様な
そう、それくらい生々しい恐怖夢だった。
その夢は、長かった様な短かった様な
いつ始まり、どんなんだったか
中間あたりの内容がいかものだったか
そこらへん正直、結末の、つまり目覚め直前の恐怖にかき消されて
脳味噌の中で行方不明になっている。

分かっている事といえば
場所は、僕が通った大学の、多分『学生ホール』という施設が入った建物で
時は、う～む、建物がかなり廃虚と化している風だったから
多分大学生当時ではなく
推定する所、衰退し腐敗した、漫画の世界の様な架空の近未来であろう。

僕の通っていた大学は東京のはずれ、神奈川との境という微妙な所にあった。
学生ホールは、その大学の敷地奥に、部室棟の一部として横たわっていた。
今現在そこが、いや大学自体がどんなモノに生まれ変わっているのか
もしくは衰退してしまっているのかは
かなり長い事足を運んでいない為全く分からないが
当時に関して言えば、大学の建物自体既にかなり古く老朽化していた。

中でも学生ホールは一種異様にボロ過ぎていた。
先程、“かなり廃虚と化している風”と書いたが
言ってしまえば学生ホールは当時から、現実問題
“かなり廃虚と化している”まんまだった。
いつ崩れ落ちてもおかしくないと思わんばかりにボロかった。

ただ夢の中のそこはもっと荒んでおり
言うなればリアル『北斗の拳』といった体だ。
夢の中の学生ホールは一部がリアルに崩れ落ちていた。
あれ？夢の中の事なのにリアルとは、おかしな話であるが。

このような恐怖夢を見てしまう程
実際の学生ホール自体オドロオドロしさ満載だった。
造りもそうだが、学生ホールの歴史的背景も、かなり怪しげなものだった。
聞く所によると、学生紛争時代そこはリンチ場だったようで
ホール内は、そう言われてみりゃ…みたいなおかしい造りになっていたし
恐ろしい事に所々壁に血痕(ぽいもの)が付着していた。

そんなおっそろしいホールを
学生らはライブや公演に使用して
自己表現の場として大いに活用していた。
かくいう僕も、学生ホールで演劇の公演をよくうったものだ。
芝居しながらも、なんとも言いようのない居心地の悪さを感じていたりした。

そんな思い出はあれど、何故今更、僕の夢に学生ホールが出て来たやら
とんと見当もつかないってのが正直な所である。
とにかく夢は問答無用に始まって
いつしか僕は、とある時代の学生ホールにいた。

夢の中で僕は、何を思ったか知らないが慌てホールを出て
地下階へと繋がる階段を駆け下りていた。
地下1階に到着したその時
いきなり目の前に、真っ黒で巨大な“芋虫”みたいなものが現れた。
一瞬だったので、はじめは理解に苦しんだが
どうやらそいつは芋虫なんかじゃなく
紛れもない“人”
真っ黒な寝袋の様なモノにくるまった人である。

身長190くらいあろうかといった背丈のそいつはただ“立っていた”。
頭が頭巾みたいに尖っていた。
魔女か、悪魔か、ブラックKKKか
そんな風貌であり、漂う空気も明らかにヤバい。

近寄っちゃ危ない感は嫌という程よく伝わって来るのだが
これがまた先へ進まにゃいかん目的が僕にはあるらしい。
しかしそいつを避けて通る事も出来ない程通路幅が狭くなっている。

僕は、瞬時に考え結論を出した。
「突っ込もう」
突っ込んだらどうなるか何故か大体予想がついた。
不思議な事に“どうなるか”具体的ビジョンまで浮かんでいた。
その予想とビジョンがちょーちょーちょー怖い。
でも進まにゃならないし
あ、ちなみにもう既に先へ進んでしまって…
く、黒いのが動いた！
僕は「もうダメだ」と感じる。
「終わった！」という思いと共に叫んだ。

「うわぁーーーーー！」

夢の中と、現実の部屋の中と、シンクロし同時の叫びだ。
反響する我が声にて目覚めを確認す。
僕は、全身汗でびっしょりだった。

嫌なまま今日を迎えるのも何だか気分悪いので寝直す事にした。
直ぐにウトウト夢に落ちる。
今度のは悪くない。
沖縄旅行の夢だ。

僕は悪友らと沖縄にいた。
しかし、ある奴が突然
「沖縄でスキーをする！」
と理解不能な事を言って皆を何処かへ連れて行ってしまう。
残されたのは僕と、現実で疎遠となっている『赤穂(仮名)』て奴のみ。
仕方ないので僕ら2人はスキー言い出しっぺの奴の知り合いがやってる居酒屋で飲む事に。

やんややんやと飲んで食って盛り上がったんだけど
その赤穂が泥酔して暴れて居酒屋を破壊してしまう。
その行為を注意した僕もついでに殺されそうになった所で！

「うわぁーーーーー！」

また目が覚めた。
何故だろう、前夜お酒飲んでないのに二日酔いの症状だ。
頭も身体も胃も重い。

夢って、結構現実とリンクしてるのね。
暗示性もあったり？
夢の意図する所は深かったりするのかも。

そのうち現実が夢に乗っ取られたりして…。
今こうしているこの世界が実は夢で
昨日みた夢が本当の世界で…。

現実も奇妙に思える狂った昨今の世界
そんな恐怖も、あり得るかも？
恐怖が幸せってのもまた
あり得る？

めけめけ～。

写真。薄明かり。