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草一掃作戦

2013年07月26日 | 集落
7月は草との闘い月間だ。田んぼや畑では梅雨空の毎日、草にとっては絶好の成長期となる。

7月7日は集落の後背地の林道を「麓集落環境整備事業」で内沢最深部(通称オヤシキ)、カジカ沢石落平、岩清水観音様道の3班に分かれての草刈り作業。内沢の伏流水は集落の潤している。麓集落ではこの林道の草刈りと八坂神社の清掃を同時に行う。15年ほど前から集落総出の作業だ。義務的な作業で対価はない。
内沢は麓集落だけではなく川連集落からも参加して草刈り作業が行われる。山菜採りに入る位の静かな内沢も、この日だけは背負い式や肩掛け式の草刈り機のエンジン音が沢々に鳴り響く。


内沢林道 湯沢市川連町内沢(通称オヤシキ)(07.07)

7月21日の草刈り日は参議院選挙投票日。
田んぼの草刈り作業、出穂前の畦畔、道路、水路側のすべてが刈り取りの対象。前回ブログで紹介した「カメムシ」対策のためだ。草刈作業でほとんど参議院選挙の話は出ない。

この草刈り作業は「麓集落協定」(中山間地域等直接支払制度)による草刈りで対価が支払われる作業だ。

いかにも官僚発想の「集落協定」。
農林水産省は平成12年度からこの制度を発足させた。その要旨によれば「傾斜等により農業生産条件の不利な1ha以上の一団の農用地おいて農業生産活動等(耕作、農地管理等)を行う農業者等が締結するもので、将来にわたり当該農用地において農業生産活動等が維持されるよう
[1]構成員の役割分担
[2]生産性の向上や担い手の定着の目標等、
集落として今後5年間に取り組むべき事項や目標を定める」

山間部、平野とかは聞きなれているだろうが、農業関係者以外「中山間地域」という呼び名に初めて接する人も多いと思う。農水省は「中山間地域とは、平野の外縁部から山間地を指します。山地の多い日本では、このような中山間地域が国土面積の65%を占め、耕地面積の43%、総農家数の43%、農業産出額の39%、農業集落数の52%を占めるなど、我が国農業の中で重要な位置を占めています」と解説している。


深い排水路 湯沢市川連町天王 (07.21) 

さらに、「中山間地域等は農業生産、自然環境保全、保健休養、景観等、様々な面において重要な地域ですが、耕作不利な条件から農業生産性が低く、農業所得・農外所得ともに低い状態となっています。また、農村地域は全国平均よりも高齢化が進んでいますが、特に中山間地域等は高齢化が進行しています。高齢化の進行に加えて、担い手の不足、恵まれない就業機会、生活環境整備の遅れなどにより、中山間地域等の農地では耕作放棄が深刻化しており、このまま放置すれば、国民全体にとって大きな損失が生じる事が懸念されています」。

耕作放棄地(耕作地または農地に荒らしておる状態)がますます増えるから、集落で共同で管理すれば助成しますということになる。

麓集落はこの制度に平成18年度から加わった。
参加条件も詳細に決められており 対象農用地の基準が
①急傾斜地 水田:傾斜1/20以上、畑:傾斜15度以上
②緩傾斜地 水田:傾斜1/100以上、畑:傾斜8度以上

麓集落は②の緩傾斜地に入っている。緩傾斜地 水田:傾斜1/100以上とは、10mの長さに傾斜が0.1m以上と云うことになる。実際の田んぼは30m×100m区画、30mの長さの高低差が0.3m以上の区画。私の田んぼの高低差は約0.6m以上で、下の田んぼの面から畦畔の高さがプラスされるから1m前後の高さが上と下の田んぼの境で全部の畦畔となる。長さが100mの畦畔にビッシリと草が生える。稲の生育に障害がでないように草は刈り取るが、草の根がこの畦畔のくずれなどを防いでいるのだから、畦畔の草は田んぼにとっては重要なのだ。

麓の「集落協定」参加戸数は36戸、対象面積28.4haとなっている。そして10当たり8000円の交付単価、総額227.2万円が交付され年間の作業がとり行われている。交付金の使途も10a単価8000円の半分は共同作業等など使用等。時給換算で今年の単価は(平成25年 秋田県)665円、全国的に見てもすこぶる低い。その賃金数倍の拝領の官僚の発想の計画は慎ましい。大上段に云う「中山間地域」が重要さから見ればなんと交付金の少なさ。それでも全国的にこの事業に参加する地域は増加傾向にあると云われている。地域の崩壊は現代の賃金価格差、経済情勢から見ても必然な姿に他ならない。

多くの農家は田んぼの草刈りは今年3回目となる。この次は「カメムシ」の落ち着いた9月初めに、個人の分と共同の作業で4回目の草刈り作業となる。そして、稲の収穫を迎える。


7.21 湯沢市川連町黒森 白い草はヒメジョオン

これほどの「草刈り機」が出揃うとエンジン音はものすごい。近くの小動物はビックリしていることだろう。03.06のブログ「スノーシューと動物の足跡」のすぐ近くなのだ。




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