鏡海亭 Kagami-Tei  ネット小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

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・第58話「千古の商都とレマリアの道」(その5・完)更新! 2024/06/24

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第58)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

闇の血脈、過去の時代の御子たち

連載小説『アルフェリオン』、主人公ルキアンに大きな転機の訪れる第49話、いましばらく楽しみにお待ちください。現在、執筆中です。

さて今回は、過去の時代に存在したらしい「御子」たちについて、若干の余談とネタバレ…いや、先行紹介(^^;)をしたいと思います。

かつての闇の御子といえば、やはりエインザール博士のことが思い浮かぶことでしょう。リュシオン・エインザール。旧世界の時代にアルファ・アポリオンを造った科学道士で、自らも天空人でありながら反逆者とされて地上界へと逃走し、地上人と共に天上界と戦った人物。地上界解放の英雄か、私怨からの復讐者にすぎないのか、単なるテロリストか、それとも「優しい人が優しいままでいられる世界」を造りたかっただけの理想家なのか、評価の分かれる人物です。まだ彼の素顔に迫るような話は不十分にしか出てきていません。

一応、主人公ルキアンは、闇の御子エインザールの後継者だと言われています。ただ、実際には、エインザール以外にも闇の御子は存在し、しかも彼よりさらに以前にも闇の御子がいたらしいという展開になってきましたね。これまでの設定では、旧世界が滅亡してから、いわゆる前新陽暦時代を経た後、この物語の舞台である現世界(新陽暦)の時代になったという流れになっています。

ところが、旧世界以前にも、実は数多くの世界が現れては滅亡を繰り返してきたらしいということが最近明らかになってきました。第48話で、リューヌが次のようなことを言いましたね。

「リュシオンが私に命を与える以前、それまでに無数に生まれては消えていった世界において、御子たちは……。もうあなたも知っている《光と闇の歌い手》ルチアや《静謐の魔道士》ルカの側には、まだパラディーヴァなど居なかった。それでも彼らは《予め歪められた生》に抗い、《あれ》に立ち向かったのです」

リューヌたちパラディーヴァを「造った」(あるいは、呼び出した、復活させた等々かもしれない?)のは、おそらくエインザールなのでしょう。リューヌの上記のセリフによれば、エインザール以前の御子たちは、パラディーヴァを伴わずに《あれ》と戦っていたということになります。

ちなみに《あれ》というのが何を意味するかは、すでに予測している読者様もおられると思いますし、まだ途中までしか読んでいない読者様にとっては重大なネタバレになりますので、敢えてここでは《あれ》とだけ呼んでおきます。

過去の時代に、闇の御子以外の御子(例えば光の御子や水の御子)としてどんな者たちがいたのかは、まだ物語に出てきていません。これまでの内容から想像すると、エインザールが生きていた時代には、御子は彼一人だけだったようにもみえます。少なくとも全ての御子が揃っていなかったことは確かで、これは以前にイプシュスマが言っていた通りです。

ともかく気になるのは、《光と闇の歌い手》ルチアと《静謐の魔道士》ルカという、エインザールのいた旧世界よりもさらに過去の闇の御子たちです。ルキアン自身も、《盾なるソルミナ》の世界に取り込まれたときに、かつての御子たちのことを幻視(?)していました。

「白衣を着た少しうつむき加減の男が、彼の方を見ている。ルキアンの父ではないかと思えるほど、顔つきや雰囲気が良く似ていた」とされていたのが、多分お分かりの通り、エインザールのことです。

「もうひとつの影は、車椅子に座った少女だった。数匹の小鳥と戯れながら、光の粉を振りまくような笑顔で彼女は言った」と描写されていたのが、《光と闇の歌い手》ルチアなのでしょう。ルカとエインザールは男性ですし。

「最後の影は岩の上に腰掛け、僧侶のような衣をまとっている。細長い杖を手に、縮れた長い髪を風になびかせ、その男は言った」というのが、《静謐の魔道士》ルカに他なりません。

そして、ルキアンは三人の幻から、象徴的な言葉と共に三つの何かを受け取りました。あれはルキアンお得意の単なる妄想(^^;)だったのかもしれませんし、ただの夢かもしれません。いや、それでも、どうも単なる幻ではなかったようです。

現に、エインザールの幻が《我は刻む、闇の紋章》と言った後、ルキアンの紋章回路が次第に目覚め始めました。ということは、《我は託す、夜の国の角笛》とルチアの幻が告げた際に、ルキアンは何かを受け取ったのかもしれません。「夜の国の角笛」とは何を意味しているんでしょうね。《静謐の魔道士》と呼ばれているルカは、見た目からしても魔道士のようですし、彼が《我は与う、静寂の法》と言ったときに、ひょっとすると呪文か何かが授けられたのでしょうか…。

今後、徐々に明らかになって参りますが、《静謐の魔道士》ルカ・イーヴィックは、歴代の御子のうち最強と言われている人物です。彼と仲間の御子たちの戦いについては、いずれ外伝でも出したいですな(^^;)。職業は僧侶のようですけど、それでいて闇の御子となり、魔法に手を染めているって、何というか破戒僧のような感じでしょうか。

《光と闇の歌い手》ルチアは、特殊な属性の御子です。その通り名が示すように、光と闇の属性を一人で兼ねているという…。いずれ本編にも事例が出てきますが、実は一人の御子が本来の属性以外に不十分ながらも別の属性を併せ持っていることは、希にあり得ます。現に、あの御子は、光の属性も若干持っています(誰?)。ただし、組み合わせとして、光と闇を併せ持った例はこれまでルチア以外には存在しないのでした。光と闇は、他の四大元素(火・風・水・土)の属性よりも強力な上級属性なので、それを両方とも持っているというのはチート過ぎます(苦笑)。

多分、そんなルチアが本当の力を発揮していたら、エインザールやルカ以上に恐るべき御子になっていたかもしれません。が、ルキアンが見た幻の中でのルチアは、戦いとは縁遠い、心の優しい物静かな娘という雰囲気でしたね。笑顔で小鳥さんと遊んでいるだけで終わってしまったのでしょうか…。

まぁ、そこは内緒です。彼女がルキアンに手渡したのが、「希望の鍵」だとか「光のナントカ」だとかではなく、物騒な「夜の国の角笛」だったことの意味を考えておく必要がありますね(謎)。

なお、過去の御子の中でも、とある光の御子のことが今後重要になってきます。本当は読み切りで外伝を書こうかと思ったのですが、旧世界の滅んだあと、現世界に至る以前の「前新陽暦」時代(レマリア帝国の頃)に、非常に力のある光の御子がいたんですよ。この人物と「時の司」との戦いをいつか特別編で描こうかと、常々考えていますが。でも結局、今も「時の司」たちが、金ピカ仮面(笑)、いや、通称「黄金仮面」として健在であるということは、光の御子は負けちゃったということなんでしょうかね…。

そういえば、第48話でやっと本編に登場した、光のパラディーヴァの態度も気になります。パラディーヴァなのに、彼女はむしろ「時の司」たちの側に立っているかのような。

「人間という不完全な生き物は、この世界という揺りかごの中で、《あの存在》の因果律によってあるべき未来へと《導かれ》、望ましい《高次の姿へと昇華》すべきなのです」という光のパラディーヴァのセリフ…。さらに「《人の子》が自身の足で立ち、自らの意志で歴史を紡ぐことを助けても、それは無意味な結末を生むだけでしかない」と言ってみたり、人類が「自らの足で《救い》へと辿り着く日は、今のままでは永遠に訪れはしない」と言ってみたり。

そこまで光のパラディーヴァが人類に対して悲観的になるというのは、いったい背後で何があったんでしょうね。光のパラディーヴァ、そして彼女のマスターである光の御子については、複雑な事情が存在していそうです。

なお、フォリオムがルキアンのことを「我らが長」と呼んでいるように、「御子」を率いる立場にあるのは、光の御子ではなく闇の御子なんですよね(^^;)。その闇の御子と対になっている光の御子。いや、光の御子って誰なんでしょうか。光の御子の正体こそ、「そんなのありかのアルフェリオン」の典型ですな。

まさか、あのキャラが、そうだったなんて…。

以上
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