散文的で抒情的な、わたくしの意見

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足利将軍家のこと  花の乱

2017年03月13日 | 花の乱
大河「花の乱」は面白い作品です。画期的でもある。何が画期的かというと、大河ではほとんど「足利将軍家を描かない」からです。日野富子の描き方はいい加減ですが、それでも面白い。

大河が描く足利将軍の1番はおそらく最後の「足利義昭」でしょう。織田信長との「からみ」で色々な作品に登場してきます。

次はというと、足利尊氏が一回だけ主役。足利義政が一回だけ準主役。さらに13代の義輝がちらっと登場する程度でしょう。義輝は剣客で、最後は襲われて奮闘しますが、その奮闘が描かれる時があります。花の乱には他に義尚や義視なども登場します。

戦前は足利尊氏は逆賊として大悪人でした。明治維新の時、大村益次郎は「やがて九州から足利尊氏の如きものが出てくるかも知れない」と西郷を警戒していました。

また足利義満には帝位簒奪計画があったという「ウワサ」などもあります。

そういった背景もあってか、大河では「足利が描かれることが極めて少なく」、大河「太平記」で足利尊氏が主役になったのは、画期的なことでした。

足利義満、金閣寺を作った人ですが、全く登場しません。彼の生きた時代が描かれたことすらありません。大河「太平記」では二代目の義詮(よしあきら)までです。最後にこの後義満の時代に南北朝は統一されたという紹介が入るのみです。

今日、我々が日本文化として意識している文化の原型は多くが室町時代に作られました。私見では、中央集権や公の力が弱かったため、民衆文化が開花した、それが日本文化の原型になりました。

でも、日本人は室町時代のことをあまり知らない。ドラマきっかけで勉強する機会がないからです。高校の日本史の知識で終わってしまう。

ドラマになるようなロクな将軍がいない、のは事実なんですが、義満あたりは面白いと思うのですがね。

足利将軍家の力が弱かったと言っても、伝統的に日本という国は、ずっと貴族、豪族の連合体で、「鎌倉幕府」と言えども、文字通りの意味で全国を支配していたわけではありません。

天皇家による古代の中央集権も、すぐに貴族による政治に移行した。これは荘園制があるからです。

荘園が自治の単位であり、その荘園の連合体として日本という国があったというのが実態です。

「中央権力」がこの荘園レベルまで口を出せるようになったのは、秀吉の時代であり、徳川がそれを完成させました。(荘園の解体)

まあ「地頭」はありました。「地頭」って高校生には本当に理解が難しいと思うのですが、いわば「押しつけられた荘園の管理人」です。守護は、大きな犯罪だけをとりしまる治安機関です。

「管理人を置かせろ。置かせたら、その土地はお前のものだと認めてやる」というのが「鎌倉幕府のやり口」です。

守護地頭は、荘園制を前提になりたちます。領主である場合もありますが、基本的には領主ではなく「管理人」です。

なんだかまとまりがなくなってきましたが。要するに「もっと室町時代を描いてほしい」ということです。