交通事故・後遺障害認定申請専門行政書士のブログ ―解決へのヒント―

静岡で交通事故の後遺障害認定申請を専門としている行政書士として有意義な情報を提供できればと思います。

自賠責保険 VOL.29 後遺障害 「耳」 (両耳の聴力障害)

2007年09月12日 | 交通事故
楽しみにしていた栗がようやく落ち始めた。
半ズボンに長靴、半そで姿で鉄バサミを持ち、栗の木の下へ向かった。
落ちてる落ちてる!
「いが」を両足で押さえつけて開くといい色をした栗が顔を出す。
夢中になって採っていたところ、妙に腕と足にかゆみがあることに気づいた。

ふと腕を見ると、そこにはしま模様の大きな「蚊」が5、6匹とまってる。
慌てて振り払ったが、時既に遅し。
無残にも足と腕には20箇所以上の蚊に食われた痕。
一斉に音を立てずに襲い掛かり、そっと血を吸っていたのだ。
「ちっくしょー」
言うまでもなく、その後は栗拾いを中止して反撃に専念。
結果は、拾った栗より叩いた蚊の数の方が多かった。

アホな話はこのくらいにして、
今日は後遺障害のうち「耳」の障害について(ちょっと長いです)


耳の障害(障害認定必携より)

耳の障害には、イ聴力障害、ロ欠損障害、ハ耳漏、二耳鳴りがある。

イ聴力障害 
①両耳の聴力障害

聴力障害の等級は、純音による聴力レベルと、語音による聴力検査結果(明瞭度)を基礎とする。
純音聴力レベルはオージーメーターという機器を使い、明瞭度はスピーチオージオメトリーという機器で測定する。
耳の後遺障害(聴力、耳鳴り、耳漏)の立証には、上記検査機器による検査とともに、
ABRとインピーダンスオージーメトリーという機器による検査が必須となる。

ABRとは聴性脳幹反応といい、インピーダンスオージーメトリーを使用する検査は
あぶみ骨筋反射という。両者とも被検者の意思によるコントロールが不可能の検査であるため、コントロールが可能な検査と共に求められる検査である。

【聴力検査】
検査内容      検査機器
1純音聴力検査   オージーメトリー
2語音聴力検査   スピーチオージーメトリー
3ABR        ABR
4あぶみ骨筋反射  インピーダンスオージーメトリー


両耳の聴力障害については障害等級表に掲げられている両耳の聴力障害の該当する等級により認定されるため、1耳ごとに等級を定め併合の方法を用いて準用等級を定める取扱はされない。


120デシベル ・飛行機のエンジンの近く
110デシベル ・自動車の警笛(前方2m)・リベット打ち  
100デシベル ・電車が通るときのガードの下
 90デシベル ・犬の鳴き声(正面5m)・騒々しい工場の中・カラオケ(店内客席中央)
 80デシベル ・地下鉄の車内・電車の車内・ピアノ(正面1m)
 70デシベル ・ステレオ(正面1m、夜間)・騒々しい事務所の中・騒々しい街頭
 60デシベル ・静かな乗用車・普通の会話
 50デシベル ・静かな事務所・クーラー(屋外機、始動時)
 40デシベル ・市内の深夜・図書館・静かな住宅の昼
 30デシベル ・郊外の深夜・ささやき声
 20デシベル ・木の葉のふれあう音・置時計の秒針の音(前方1m)

第4級3号  両耳の聴力を全く失ったもの
       (両耳の平均純音聴力レベルが90db以上のもの又は両耳の平均純音聴力レベルが80db以上であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの)

第6級3号  両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することが出来ない程度になったもの
       (耳に接しなければ大声を解することが出来ないとは、両耳の平均純音聴力レベルが80db以上、または両耳の平均純音聴力レベルが50db~80db未満で、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの)

第6級4号  1耳の聴力を全く失い、他耳は40cm異常では普通の話し声を解することができない程度になったもの
       (1耳の平均純音聴力レベルが90db以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが70db以上のもの)

第7級2号  両耳聴力が40cm以上の距離では普通の話し声を解することが出来ない程度になったもの
       (両耳の平均純音聴力レベルが70db以上のもの又は両耳の平均純音聴力レベルが50db以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの)

第7級3号  1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが出来ない程度になったもの
       (1耳の平均純音聴力レベルが90db以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが60db以上のもの)

第9級7号  両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが出来ない程度になったもの
       (両耳の平均純音聴力レベルが60db以上のもの又は両耳の平均純音聴力レベルが50db以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの)

第9級8号  1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することが出来ない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
       (1耳の平均純音聴力レベルが80db以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが50db以上のもの)

第10級4号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの
      (両耳の平均純音聴力レベルが50db以上のもの又は両耳の平均純音聴力レベルが40db以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの)

第11級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することが困難である程度になったもの
      (両耳の平均純音聴力レベルが40db以上のもの)

聴力検査は日を変えて3回行なうことが求められているが、語音による聴力検査については、その検査結果が適正と判断された場合は1回で差し支えないとされ、検査と検査の間隔は7日程度あければ足りる。

後遺障害等級の認定は6分式の平均値によって判断する。
平均純音聴力レベル = (A+2B+2C+D)÷ 6

A:周波数 500ヘルツの音に対する純音聴力レベル
B:周波数1000ヘルツの音に対する純音聴力レベル
C:周波数2000ヘルツの音に対する純音聴力レベル
D:周波数4000ヘルツの音に対する純音聴力レベル

次回は「1耳の聴力障害」について

ところで、蚊の羽音は何デシベル以下なのだろう?







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