城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

登山中の事故について考える 22.10.5

2022-10-05 19:06:03 | 山登り
 ここのところ登山中の事故が頻繁に記事になっている。事故自体が増えているのか、中高年の登山中の事故について注目が集まっているせいなのかはわからない。今日のネットニュースによると79歳の男性登山者が白馬大雪渓付近(標高1800m)で低体温症のためになくなったと記事にあった。コメントではかりに昔熟練者であったとしても、この時期単独で登るのは無謀と書いてあった。状況が全く分らないので、コメントのしようがないとおじさんは思うのだが・・・。

 登山中の事故に備えて、大部分の人は山岳保険に入っていると思う。おじさんが加入しているのは、山岳保険でも捜索・救助費用保険で入院費用や死亡保険金は出ない(日本山岳協会のに比べると保険金が随分安い)。最高額が300万円であるから民間のヘリでも飛ばない限りはなんとか負担できる。各地の県警に救難用のヘリが配置され、本人、友人等の連絡により遭難場所に駆けつける。この費用は各県民の税金によってまかなわれているので、遭難者の負担となることはない。この制度が普及する前は、ヘリと言えば大部分が民間のヘリで、それを飛ばせば大変なお金が必要となった。ただし、遭難場所が特定できないあるいは地形や気象上ヘリを飛ばすことができない、遭難場所から車の入れるところまで遭難者を運ぶ必要があるとき、警察官や消防署員、消防団員のほかに各地の遭難対策協議会に所属する団体のボランティアがそれらの活動に当たることになる。そして、通常そのボランティアには日当等が支払われる。

 話題を少し変える。県図書館から弁護士・溝手康史「ボランティア活動の責任」を借りてきた(この著者はヒマラヤ7000m級の山にも登っている登山愛好家であるし、様々なボランティア活動にも参加している)。その本から登山と関係のありそうなところを紹介したい。まずは、ボランティア活動とは、自発性、無報酬性、公益性がある活動である。従って、山岳会が行っているような活動は趣味やレジャーの一環ということになる。ただし、こうした山岳会が市町村等の助成を受けて、参加者を募集して、市民登山を行うことはボランティア活動の範疇に入る。おじさんが加入していたO山岳会も年に二回こうした市民登山を行っており、事務方として参加することが多かった。市民登山では比較的簡単に登れる山を選定しており、重大な事故は滅多に起こらない。しかし、100%大丈夫かと言われれば、登山は自然を相手としたスポーツ、レジャーであるから、それは保証できない。こうした事故等を想定したボランティア保険に加入しているので、けがなどの場合、そこから支出される。

 子ども会などが主催して行うハイキング、川遊びの時に参加者が死亡したり、重大なけがを負った場合を考えてみよう。こうした事故では、その遺族から霜害賠償を求められることがある。主催者等はこうした事故が起こらないように危険な箇所を避けているが、参加者全員に目を配ることは不可能に近い。普通こうした団体は責任能力がないので、霜害賠償の対象とはならない。代わりに子ども会の役員が訴えられる。無報酬のボランティアであっても訴えられることがある。一般的に引率型のボランティア活動では、参加者の安全を確保すべき注意義務が生じる。こうした義務を関係者が十分果たしていたかが、裁判で問われることになる。市民登山と子ども会の活動を比べた場合、求められる注意義務は大きく違う。前者は大人あるいは親が同伴する子どもであるのに対し、後者は子ども。前者は自己責任の範囲が後者に比べて大きい。

 今おじさんとEさんが代表となっている「城ヶ峰を登る会」は、もちろんボランティア団体ではなくて、単なる登山が好きな仲間が集まるグループである。そもそも簡単な山しか登らないが、それでも事故は起こりうる。大人のグループであるから、基本は自己責任で処理されるだろう。ただし、代表者が危険な箇所があるにもかかわらず、それを参加者に告げなかったとか、脱落者や遅れている者の扱いにミスがあった場合、責任を問われる可能性はあると思われる。前にブログにも書いたように、そうしたケースを昔経験している。残雪時に登山道が不明瞭な山をグループで登ったときのことだった。メンバーには足が遅い高齢者Aとほとんど初心者Bの2名がいた。このとき会の代表者はAにつきっきり、残るメンバーの先頭がおじさんで下山時後方の確認もせずにどんどん下って行った。メンバーの間隔が開き、その時Bは道を外れてしまった。Bがいないことに気づいたのは残りの全員が登山口まで戻ってきてからであった。幸いリーダーとBの連絡は取れたのだが、Bは家にいた配偶者Cに電話をしていた。Cは県警に連絡し、かくして県警ヘリが飛来し、Bは救助された。このケースでは、Bにはけがもなかったので、大きな問題とはならなかった。しかし、一歩間違うと大きなけがとか死亡につながる。こうしたとき、裁判に訴えられる可能性も考えなければならない。

 6月の城ヶ峰を登る会 多いときは30名近く集まった

 「城ヶ峰を登る会」そ今後継続するのか。もう少し違った山も登る会にするのか、8日の例会でアンケートしたいと考えている。現在の例会は出欠をとっていない。各自時間に集まり、登頂後解散する(途中で帰ることも認めている)。池田山や小島山や貝月山などにも登ろうとする場合は、参加者の出欠、連絡先、役員などを決める必要があると思っている。それとかりに損害賠償を訴えられても大丈夫なように保険に加入することも考える必要があるかもしれない。
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