備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム219.金剛童子と燧岩(その4)

2009-10-17 21:31:33 | Weblog
三谷公園は吉井川の右岸(西岸)にあるが、その対岸は瀬戸町弓削の「宮の鼻」集落である。「宮の鼻」というのは、瀬戸町弓削の氏神「八幡宮」が鎮座する門前の集落だからであろう。この「(弓削)八幡宮」(写真1)は、「熊山」登山道の登り口の1つとなっており、熊山山系「龍神山」(344m)を経由してゆくルートになる。「(弓削)八幡宮」の創建時期は不詳であるが、社伝によれば、もとは宮の鼻山山上に鎮座していたが、正治元年(1199年)に現在地に遷座したという。
「(弓削)八幡宮」から登山道を約1.7km(約40分)登ると、「龍神山」の峰に行く脇道があり、更に200m登ると山頂。吉井川に向かって開けており、岩壁からの眺望が良い(落下注意)。山頂には立石と祠があり(写真3)、その下は(人工かどうかはわからないが)岩を積み重ねたようになっている(写真4)。これが磐座とすれば、雨乞い祭祀があったのだろう。伝説によれば、「龍神山」から三谷の「金剛童子」に大蛇が渡る、という。
得意の妄想をすれば、「龍神山」自体を立石とみれば、山と谷で陰陽を見立てているのではないだろうか。
ところで、瀬戸町弓削の吉井川の水の中に「三角岩」という岩があり、別名「ゴンゴウ岩」、「ゴンゴウタロウ」などとも言ったらしい(「ゴンゴウ」は河童のこと。)。そして、この岩の前の淵から東大寺再建のために焼かれた瓦が大量に見つかった。これは、水神の依り代である岩に奉げられたらしい。
要するに、それほど古くから、この辺りには龍神なり河童なり、水神が棲んでいたということなのだろう。

(「金剛童子と燧岩」シリーズは、瀬戸町の文化財を語る会「改訂瀬戸町の歴史散歩」(平成8年12月)、瀬戸町教育委員会「瀬戸町歴史事典」((平成18年12月)などを参考にさせていただきました。)

岡山県神社庁のHPから(「(弓削)八幡宮」):http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=10106


写真1:(弓削)八幡宮。鳥居の奥に駐車場がある。随身門の右手が熊山登山道になっている。


写真2:龍神山の山頂手前の山道から三谷公園が見える。


写真3:「龍神山」山頂の立石と祠


写真4:祠の下の磐座?

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