備前の古社を訪ねる(備前国内神名帳の研究)

備前の由緒ある神社を巡礼する

コラム188.旧県社(その1・今村宮)

2009-06-23 21:10:36 | Weblog
明治4年(1871年)以降、戦前まで、「近代社格制度」という神社の格を定めた制度があった。現在でも、「旧社格」という名で呼ばれたりする。旧備前国内では、国幣中社の「安仁神社」が最上位で、国幣小社の「吉備津彦神社」がこれに次ぐ。その次のランクは県社(10社:岡山県神社庁のHPによる。)であるが、ここには国内神名帳所載の神社もあるが、むしろ近世の創建の神社が多い。旧県社で既に記事にしたのは、「伊勢神社」(岡山市北区)、「岡山神社」、「牛窓神社」の3社だけである。要するに、由緒よりも、近世以降に隆盛していた神社かどうかによるらしい。

今村宮(いまむらぐう)。
場所:岡山市北区今4-3-5。案内するのに、これといった目印がないが、住所区画のはっきりしたところなので、自動車のナビがあれば間違いなく行けると思う。宗忠神社の西、約700m。駐車場あり。
社伝によれば、建武元年(1334年)の創建で、現在の県立図書館の辺り(かつての「榎の馬場」辺り、という。)にあったが、天正8年(1580年)に宇喜多直家が岡山城城郭を拡張するため、現在地に移転したという。もとは天照大御神・八幡大神・春日大神の三神を奉祀したので、「三社明神」・「三社宮」と称していたが、今村にもともとあった八幡宮の場所に遷座し、2つの神社を合祀して「今村宮」となったとのこと。このため、氏子地域は、現在地の北区今周辺のほか、北区内山下なども含まれている。
こうした歴史から、現在も岡山市中心部の商店主等が氏子になっているようで、「岡山神社」と並んで、岡山城下・岡山市の発展とともに隆盛を誇ったらしく、県社に列格されることになったのだろう。周囲は住宅地化しており、森や巨樹とは無縁だが、静かで明るい中にも風格が感じられる神社である。


岡山県神社庁のHP:http://www.okayama-jinjacho.or.jp/cgi-bin/jsearch.cgi?mode=detail&jcode=01030