独り合点(ひとりがてん)

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近代着物の歴史(3)黒留袖②

2012-01-25 | きもの

 茜指す紫野行き 標野行き 野守は見ずや君が袖振る

 

 

振袖や留袖の説明する時によく引用される万葉集にある額田王(ぬかたのおおきみ)の有名な歌です。古くから日本人は、「袖を振る」行為を「魂振り」といって、袖を振ることによって相手の心を引き寄せるチカラがあると信じてきました。ですから若い女性は袖の長い着物を着て袖を大いに?振ってよき伴侶を得、結婚したら他の男性に心を移さないようにために袖を短く留めると、説明されます。日本人にとって袖は特別な意味をもっているため袖にまつわる諺は「袖振り合うも他生の縁」「袖にする」「袖を引く」「袖を分かつ」など多くあります。

 

また「袖に神宿る」と袖には力があると信じられていましたので、わが子が無事、元気に育つようにと留めた袖は赤ちゃんが生まれたときに一つ身の初着として使われました。すごく素敵な習慣だと思いませんか。

 

さて若い頃、着物の先生教えてもらった「黒留」説に、愛国婦人会(明治34年に設立された上流階級の婦人たちによる傷痍軍人の慰問・救護を目的として設立されたもの)の面々が慈善パーティや公式の会合などで集う時に、地味でありながら格式がある着物を、ということで制服として黒留袖が使われ、一般化していったという説です。その時に愛国婦人会の総会か何かの集合写真を見せていただいた記憶があるのですが、今回改めて資料を探しましたが、この説を紹介したものはなかったのですが、どなたかご存じでしたら教えてください。

 


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