独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

勉強会(1)業界再生

2012-06-05 | きもの

本日は、東京織商の情報交流懇親会に参加。季刊きものの編集長/山里氏がコーディネイトしてゲストスピーカーは、いま旬の伊勢丹のMD/浅子氏と東京ますいわ屋ではなく新業態TOKYO MASUIWAYAのMD/桜井氏。テーマは、「きもの活性化、再生」。今回の新しい試みは、懇親会をオープンにしたこと。組合員以外は1人1,000円でしたが、この2人の話を間近に聞けるのであれば、安いモノ、と思って参加。しかし会場には行ってがっかり。東京織商は若手の呉服店に参加して貰い、話を聞いて欲しいがためにオープンにしたのに、呉服店の参加はゼロ状態。案内が届かないのか、業界人の情報感度やアンテナが悪いのか、とにかく60代、70代のお偉方ばかり。是で活性化が果たして図れるのだろうか。不安な参加者です。しかし、浅子さん、桜井さんの若いお二人の話は、刺激的で呉服の未来へのチャレンジを明るく語ってくれた。机上だけでなく、実施し、その現場に身を置いている同時進行のワクワクがうらやましいほど脈々と、熱く伝わって来ました。本当にこういう話をもっと呉服店の人に聞かせたい、作り手に聞かせたい。

 

お二人の話に共通することの1つは「生活者に寄り添う」。いわゆる業界目線(30年で7分の1、3,000億円に縮小した現実から言えば、もはや業界とはいえない。業界とは市場規模1兆円以上、だそうです。)ではなく、きものに興味ある人、着たい人、着始めた人に、どのようにきものに興味を持ってもらえるか、その「きっかけ」を作るか。その切り口として「着る人の生活を考える」ことから2社とも丁寧に生活者を見ることから始めています。例えば「入学式のきもの」。小紋、色無地、訪問着など、アイテムではなく、20代後半から30代の女性。1人目のお母さんなのか、2人目のお母さんなのか。お子さんは女の子、男の子。専業主婦、共働き、パートなど、生活者として分類してゆき、きものへの思いや価値観、価格、きものだからこそのお徳感や期待感、ファッションセンスは…などなど掘り下げ、提案して行きます。その結果が仕立て上がり10万円の無地感覚のきものであり、5万円の名古屋帯であったりする。この春のヒット商品はリバーシブルの名古屋帯。表は七宝柄で、裏はモダン柄。シーンを考えてオリジナルで制作したとか。その背景にはアパレルに学んだことが多いそうです。

アパレルでは、プロが見ていいものを思いを込めて作り、チカラのある販売員が売り、お客様も喜んで買ってくれた。さらに店内、店外でファッションショーやイベントを展開し、売る方も、買う方も楽しくてさらに売上げが伸びた。しかし、そうのうち売上げを上げるためのイベントになり、販促企画になってしまい社内は厳しく、お客様もつらい?状況に。そこから本当に生活者が必要な、求める提案型の商品やサービスを考えるようになって、復活してきた。この流れは呉服業界のパターンそのもので、このアパレルのケーススタディに学び、TOKYO MASUIWAYAのショップコンセプトを考えたそうです。それが従来の呉服屋を反面教師とするショップ作り。そのコンセプトは「きものフアンを作る店作り。着る人により添う店作り」です。


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