独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

きょうは、大阪、京都でした。①

2006-04-25 | きもの
朝一番で、大阪・豊中市のO店へ。自宅を改造してお店にしたもので、まるで高級和風旅館のような佇まい。玄関のたたきを上がり、和室に。売り場は、細かく6~8畳の座敷に別れていて、6部屋。小さいながら気持ちの良い庭もあり、お店ではなく個人のお宅にお伺いして、着物選びしている風情で、何か気持ちも伸びやかになるから不思議。お茶と和菓子を出して頂き、お話を聞けば「もう我儘で商売やってきまして30年になります。商品はすべて現金で仕入れていますから、もう大変で」と嬉しそうに語る女将さん。いまどき珍しく、仮絵羽より丸巻が多く、その数ざっと300反。帯締めなど「これでも足りない、足りないっていうと、主人に『おかしいと違うんか』といわれるんですけれども、まだ足りないの」と、どこか恥ずかしそうに語る女将さん。これもザッと目勘定で500本。はなしを聞いていると本当に「着物が好きなんだ」が伝わってくる。写真館(いま流行のフォトスタジオではなく昔の写真館)も傍にあり、好きな着物を扱っていますと、きちんとしたスタイルを持っている呉服屋さん。でも敷居が高く感じられず、お話している間にも、次から次へとお客さんが来る。久しぶりに、こういう呉服屋さんっていいな、と思ったものです。

午後は、みすや針を買い求めに京都へ。久しぶりに河原町や新京極を歩いてみましたが、街の変貌ぶりにびっくり。特に河原町は四条から三条への通りは、東京で言うと神保町のように大小の新刊本屋、古書屋があったのですが、丸善、ブックファーストなどの大型店も小さな古書店もドンキホーテやゲームセンターになってしまい、落ち着いた風情がなくなってしまった。時代の流れとはいえ、残念です。三條本家みすや針本舗・福井勝秀商店が正式な名称のお店は、よく来て、何十回と通った新京極と河原町の間にありました。2年前までは表通りに面していたそうですが、針屋は2坪もあればいいので、表は貸しました、とご主人。ですから現在のお店は、表通りから路地を入った奥まったところにあり、意識して看板を見なければ通り過ぎてしまう。約5メートルくらいの細長い京都独特の路地は板敷き。壁には古い看板がオブジェのように飾ってあって、薄暗い路地を突き抜けると京庭が視界に飛び込み、別世界。豊中市のO店といい、みすや針といい、演出がうまい。その空間に身を置いただけで、主人のこだわりと共に、お客様を喜ばそう、「お待ちしていました」という風情が伝わってきて、気持ちが良い。同時に瞬時に「商品を見るのが楽しみ」と期待させる。いい商品と説明を聞くまでもなく、いいものだと感じてしまうから、すごい。お店自体がすごいプレゼンテーション力を持っている。

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