独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

清水さん

2007-06-29 | きもの

この1年、ご一緒に仕事をさせていただいている、ゆかた製造元・三勝㈱の専務・清水さんは、長板中形の人間国宝、清水幸太郎さんの3男。注染がゆかた染めの主流になった昭和初期に、「もう長板中形の時代じゃない」と3人いた男の子のうち2人を別の道に。そして末っ子の清水専務だけを専属で染めていた三勝㈱に入社させ、自分の後を継がせようとしたが、それは職人の道ではなく、いわば制作プロデューサーの道。

今回お仕事をするまで、長板中形のことも余り知らずにいましたが、最初にお会いした時から清水さんには魅せられて、もう脱帽。その知識といい、ひょうひょうとした味わいといい、もう丸ごとすごく魅力的。自分も60歳に近くなって、会った瞬間に、もう魅入られてしまった。どんな初歩的なことを尋ねても、丁寧にわかりやすく説明してくれ、惜しげもなく希少な情報も、知識も、経験も教えてくれる。全然えらぶらないし、そっと風が通り過ぎてゆくように、すっきりした印象を与えてくる、そんな清水さんのような人になりたいな、とつくづく思う。

そんな清水さんのお父さんを紹介した本が、この朝日新聞社刊の「人間国宝・№42」。お父さんの面影が、重なる清水専務さん。年を重ねるごとに人は、損得もなく洒脱になるといわれますが、周りを見回してみると決してそんなことはなく、益々権力欲や権威欲が強くなり、「誰のお陰で、いまのあなたがいるのよ!」と…いう人もいる。そんな中、清水さんの爽やかさ、もう宮澤賢治ではありませんが、「そんな人に自分もなりたい!」。それだけ魅力的な人です、清水さんは。


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