独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

かなり、ショックな話

2012-03-09 | きもの

たんす屋ー中村社長(1)

先日ご縁があって、たんす屋の中村社長とお話をする機会がありました。たんす屋さんのビジネスのお話やら、中村社長のきもの観など、話は大いに盛り上がったのですが、その時いくつもショックな話があったのですが、その中の1番が、きものの畳み方。たんす屋さんでは年間約2.5万人の個客から約50万点のきもの、帯を仕入れていますが、なんと、そのうちの92%がきものの畳み方を知らない、というショックな話。虫干しをと、簡単には言うけれど、その気になっても畳めなければ、虫干しはできない。また干すのに1日、畳むのに1日、と最低でも2日はかかる。それだけの部屋の広さと、時間の余裕を持った方が、はたしてどれくらいいるのか。都心では極めて少ないのではないか。そこをたんす屋はビジネスチャンスと見て、「預かります。安心たんすサービス」を加え、いま9つのきものライフソリューションカンパニー、きものトータルサービス業として、きもののある暮らしの応援企業を目指しているとのこと。それにしても、きものを畳めない人の、あまりの多さにショックでした。中村社長も、その現状を考えたとき、たんす屋はたんす屋としての役割があり、呉服屋さんには呉服屋さんの役割があるのではないか。上から目線ではなく、リアルユーザーの現状をはっきり認識し、時代に対応した、リアルユーザーに喜ばれる役割、使命とは何なのか。きもの販売業なのか、きものの素晴らしさを伝える文化企業なのか、はたまた何者なのか、その根本が問われているように思う、と強弁されていましたが、全く同感です。

さらに中村社長は、ユニクロを例にして持論を展開されましたが、今年、ユニクロは浴衣を展開しないそうです。年間20万点は簡単に突破すると取り組んできたが、この2~3年、10万点の壁を超えるのが、ようやくという状況だったそうです。それでも10万点はすごいと思いますが、ユニクロにすればあまりにもスケールがないと、判断したのでしょう。当初4,800円の3点セットは脅威でしたが、年々内容も良くなってきたと思うのでが、ラックに吊るして、さあ好きに選んで、というのでは10万点が限度。ゆかたといえども「お手渡し手」の存在を必要とする。そこにアパレルではないきもの固有のスタイル、付加価値、独自の役割があると、中村社長は言う。「お手渡し手」という中村社長の造語に込められた意味を肝心の多くの呉服屋さんが、ユニクロと同じようにきものというものが持つ文化性や商品としての宿命、もしくは特徴、魅力に気づいていない。レンタルに関しては、中村社長と意見が違うのですが、ユニクロは撤退しましたが、この「お手渡し手」という役割に気づかない呉服店は、リアルユーザーから突き放され、早晩きもの市場から「強制退去、自然淘汰させられる」というのは同じ思いです。


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