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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

出るくいは打たれるのか

2013年06月14日 | 世相あれやこれや
写真左は東洋経済から。 中央は今野晴貴さんの文章が掲載された「文藝春秋」最新号。 右はアレキサンダー大王。
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最近 ユニクロ関係の記事で、”向かい風” が増えて来ているように感じます。 急成長、高利益、拡大一途の優良会社、こういうイメージが何年も続いています。 いつかはその快進撃も止まるだろうと思っていますが、なかなかこの会社はその急拡大の勢いが止まりません。 まるで 紀元前のアレキサンダー大王のように、”進むところ敵無し” の様相です。

製造コストの安い中国で製造して日本に持ってきて売る__誰でもすぐに考えそうな単純なやり方ですから、いつかは競合相手に負けるだろうと思っていたのですが、ユニクロを打ち負かす企業はなかなか出現しません。

大王のマケドニア帝国が拡大の歩みを止めた理由は、部下がいつまでも続く戦争に飽きてしまい、故郷に帰ることを願ったからでした。 大王でも ひとりでは戦争はできません。 帰路途中 大王は高熱を発し10日後に33歳で死去しました。 その後 帝国は分裂、いずれローマ帝国に滅ぼされる運命となります。
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「ユニクロ『ブラック企業』著者に “警告” 『違法な論評など2度となされませんよう…』」(6月11日 J-CAST ニュース) _ ※追加1へ

「ユニクロは “ブラック企業” なのか? [橘玲の日々刻々]」(5月21日 ザイ・オンライン) _ ※追加2へ

「ユニクロ社員が不幸になる ”合理的な” 理由 スタッフの足跡をたどって見えたもの」(3月28日 大宮 冬洋/ライター/東洋経済) _ ※追加3へ
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話しが飛んでしまいましたが、記事3を読むと、ユニクロ快進撃持続の理由の一端が見えてきます。 親会社の株式会社ファーストリテイリングの前期の業績は、連結売上 9280億円、経常利益 1,250億円、純利益 710億円、従業員 18,800人 という大企業です。 この8月には売上2割増の 1.1兆 を予定しています (いずれも2012年8月期 IR ページやウィキペディアから)。

店舗で「なぜできないのか、いつまでにどうやって改善するのか」という厳しい追及が … の下り (記事3) を読むと、従業員が追い込まれて行く様子が目に浮かぶようです。 これを度々やられたら、成績が向上しない社員は辞めざるを得ないでしょう。

「3年以内5割の新卒社員が辞めていく、10年内離職率は8割を超す …」(記事3) が事実だとすれば、努力して成績を残した社員だけが生き延びる過酷な会社であり、別のいい方をすれば “ヤリガイのある会社” なのでしょう。 しかし 効率ばかりを追求し続けると、いつかは会社全体が疲弊してしまい、成長が鈍ることに繋がるのではないでしょうか? 「なぜ あの成績優秀者のようにできないのか?」と始終いわれても、全ての社員が成績優秀者のようにはできないものです。

ある程度のゆとりを持って従業員に対処するか、とことん効率を追求して業績向上を目指すか、その微妙なバランス、さじ加減が管理者 経営者には求められますね。 それは企業ごとに、また職場単位ごとに違うものでしょう。 それがうまく行っている場合は業績が向上し、うまく行かなくなったら …

以上


※追加1_『ブラック企業 日本を食いつぶす怪物』(文春新書) の著者・今野晴貴さんが、ユニクロから「警告状」を受け取っていたことを明かした。

今野さんは NPO 法人「POSSE」代表として、若年労働問題を中心に問題提起を続けている。 2012年11月発売の著書では、実名も上げながらブラック企業の「実態」を論じ、大きな話題を呼んだ。

●「X社」として名前は挙げていなかった
中でも話題を呼んだ箇所の1つが、「超大手の衣料品販売業で、グローバル企業を標榜しているX社」について論じた部分だ。 今野さんは、元社員3人の証言から、同社では「異様」(同著より) な厳しい新人研修や勤務体制が敷かれていた、と記載した。

今野さんが2013年6月10日発売の「文藝春秋」で記したところによれば、この記述を巡りユニクロ、および親会社であるファーストリテイリングなどから、一通の「法的文書」が届いたという。 3月27日付のこの文書では、上記のX社がユニクロを指すことは「明らか」とした上で、記述内容を「現実に相違し、虚偽」、さらに今野さんに対しては「通告人会社らに対する虚偽の事実の適示や違法な論評などを二度となされませんよう警告申し上げます」と求め、場合によっては「法的責任の追及」も辞さないとしている。

ユニクロが自社への批判に、法的対応を持ち出したのはこれが初めてではない。 2011年には、『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生著) などの内容をめぐり、刊行元の文藝春秋に対し、名誉毀損を理由に発行差し止め・回収、また 2億2000万円 の賠償を求める訴訟を起こしている (係争中)。 だが 今回は訴訟ではないものの、出版社ではなく著者である今野氏が対象となっており、これまでとはやや性格を異にする。

●「狙い撃ち」に今野さん反撃
対する今野さんは、同誌上でユニクロの柳井正・会長兼社長が唱える「グローバル」戦略を批判するなど、「反撃」に出ている。 特にツイッターでは、

「もし仮に私が書いた『ブラック企業』の『X社』がユニクロだとしても、同じような『実態』は朝日新聞や東洋経済で散々書かれている」

「私が許せないのは、朝日新聞や他の週刊誌では『実名』で問題にされておきながら、ユニクロについて何ら言及していないはずの、『私だけ』を『狙い撃ち』にする姿勢」
と、憤りも露わなつぶやきを繰り返した。

国会でユニクロ批判を繰り広げた山下芳生・参院議員 (日本共産党) も、「これはもはや労働問題、経営問題にとどまらない。 民主主義の問題だ」と今野さんに援護ツイートを送る。

なお この件につきファーストリテイリングに問い合わせたが、担当者が多忙とのことで11日中に回答を得ることはできなかった。
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※追加2_ ユニクロの柳井正氏の「年収 100万円 も仕方ない」との発言が波紋を呼んでいます。

批判の多くは「若者を低賃金で働かせようとしている」というものですが、朝日新聞 (4月23日朝刊) に掲載されたインタビューを読むとこれは誤解で、「グローバル化で富が二極化していく以上、仕事を通じて付加価値がつけられないと途上国の労働者と同じ賃金で働くことになる」という、ごく当たり前のことを述べているだけです。 同じ話を経済学者や評論家がしても誰もなんとも思わないでしょうから、この反発は発言の内容というより、柳井氏個人に向けられたものに違いありません。

柳井氏への批判は、記事でも書かれているように、ユニクロが「ブラック企業」で、新卒社員のおよそ半分が3年以内に退社していくということにあるようです。「休職している人のうち 42% がうつ病などの精神疾患で、これは店舗勤務の正社員の 3% にあたる」とのデータはたしかに衝撃的です。

しかしこれだけで、ユニクロを典型的な「ブラック」と決めつけることはできません。 ほとんどのブラック企業は居酒屋チェーンのようなドメスティックな事業を行なっているのに対して、ユニクロは日本を代表するグローバル企業だからです。

日本的な雇用慣行では、正社員の解雇が厳しく制限される一方で、社員は会社の理不尽な命令にも服従しなければなりません。「生活の面倒を見てもらっている以上、わがままが許されないのは当たり前」というのが、労働紛争における日本の裁判所の判断です。

ブラック企業は、「なにがなんでも正社員になりたい」という若者の願望を利用して、サービス残業などの “奴隷労働” を強要しながら社員を使い捨てることで、アルバイトを最低賃金で雇うよりはるかに安い人件費コストを実現しています (これが “激安居酒屋” が成立する秘密です)。

それに対して ユニクロの成功の要因は、中国の安い労働力を活用して高品質の衣料品を安価に大量に供給したことで、日本の労働者を搾取したからではありません。 社員の離職率が高いのは低賃金が理由というより、柳井氏も認めるように、社員に対する要求水準が高いために大半が脱落してしまうからでしょう。 この激しい競争に勝ち抜けば「年収 1億円」というのですから、リスクとリターンが見合っているといえなくもありません。

朝日新聞の記事では、中国・華南地方のユニクロで、月給 6000元 (約 9万円) で働く20歳代の女性店長が紹介されています。 年収は 7万2000元 で、日本円でおよそ 100万円 ですが、これは法定最低賃金の約5倍ということなので中国では高給です。

ところで、中国で年収 100万円 の仕事が日本で 500万円 になるのはなぜでしょうか? 「日本の物価が高いから」というのは、もはや正当な理由にはなりません。 日本の労働者がその金額に見合う付加価値を持っていないのなら、中国人の女性店長に日本の店舗を任せればいいだけだからです。

日本人だというだけで高給を要求するな――グローバル企業の経営者である柳井氏は、そういって日本社会を挑発しているのです (『週刊プレイボーイ』2013年5月13日発売号に掲載)。
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※追加3_ グローバルカンパニーとして高成長を続けてきたファーストリテイリング。 だが一方で、そのひずみは確実に現れてきている。 3年以内5割の新卒社員が辞めていく高い離職率、慢性化するサービス残業、深刻化するうつ病罹患 ……。

ユニクロで働くことは幸せなことなのだろうか。 自身もユニクロに新卒として入社した大宮冬洋氏はかつての店舗スタッフの足跡をたどった『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』を記した。 実際に働いたスタッフとして、何を感じたのか、また スタッフその後をたどることで何が見えてきたのか。

全国各地のユニクロ店舗で忙しそうに働いているスタッフたち。 あの人たちは幸福なのか。 これからも幸せな職業生活が送れるのだろうか。

アルバイトとパート (ユニクロ用語では「準社員」) スタッフに関しては8割の確率で YES、正社員に関しては同じぐらいの割合で NO。 これが1年間かけてユニクロ勤務経験者を訪ね歩いた僕の結論だ。

僕は2000年3月に新卒でユニクロ (ファーストリテイリング) に入社し、町田店 (東京都町田市、2002年に閉店) と青葉台東急スクエア店 (横浜市青葉区、規模を縮小して営業中) で勤務した。 柳井正社長の跡を継ぐ気負いで入社したにもかかわらず、店長にすらなれぬまま、わずか1年で逃げるように辞めた。

2000年11月にオープンした大型の青葉台東急スクエア店はスタッフを 100人ほど採用。 社員は店長を含めて4人。 新入社員の僕が 30人ほどの部下を教育・指導しなければならなかった。 実力不足はすぐに露呈した。

フリースブームが続く真冬に、部下からは突き上げられ、上司からは問い詰められ、朝になってもどうしても起き上がれなくなった。 3日連続で遅刻して皆に嘲笑されたときは、自分の存在を消してしまいたかった。 年明けに退社を決めたとき、組織の中で働くことにすっかり自信を失っていた。

あれから12年の年月が経つ。 消去法で選んだフリーライターという職業も何とか軌道に乗り、少しは冷静にユニクロを見られる気がする。

そこで 町田店で一緒に働いていた同僚たちを10年ぶりに訪ね歩いてみた。 開店時の混乱 (僕のダメ社員ぶりが一因) によって殺伐としていた青葉台東急スクエア店とは違い、ベテランスタッフが多くて郊外のロードサイドにあった町田店は、和やかな空気に包まれていた。 店舗内で派閥やいじめはなく、プライベートで頻繁にカラオケや食事に行くほど仲が良かった。 旧型の店舗であったため、黒字にもかかわらずスクラップされてしまったけれど……。

● かつてのスタッフでユニクロに残ったのは ……
1年かけて、学生アルバイトから店長まで9人と再会することができた。 取材を進める過程で、僕と同期入社の社員 (大半は退職) と連絡を取り合ったり、現在のユニクロ店舗で働くアルバイトスタッフや社員と言葉を交わすこともできた。

町田店に勤務していた 20人超のスタッフのうち、閉店後も別の店舗で働くことを決めた人は店長 (平社員に降格) と障害者雇用の男性のみ。 残りは近隣店舗への異動を断ったか、異動の打診をされずに契約を打ち切られたかのどちらかだ。

10年後の彼らは何をしているのだろうか。 訪ねてみると、なぜか全員がアパレル以外の業界で生計を立てていた。 自動車部品工場のパート社員、老人保健施設の正社員、チラシポスティング会社の正社員、看護師を夢見る主婦、コンビニチェーンのスーパーバイザー、子育て中の主婦、通信機器企業の正社員、夫の会社の手伝いとガス検針のアルバイトをしている主婦、保険会社の営業マン ……。 彼ら一人ひとりの物語は、今月発売した拙著『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』で読んでもらいたい。

本稿では、ユニクロでの勤務経験は人を幸せにするのか否かを考える。 町田店の元スタッフたちは、一様に「いい店だったね」と懐かしがりつつも、その店をスクラップした会社を批判はしない。 むしろ「大手チェーンなのだから仕方ない」と、果敢なスクラップ&ビルドに理解を示した。 厳しい現場で心身を鍛えられたことを感謝したり、ユニクロでの勤務経験が転職先の採用試験で大いに評価された人もいた。 そして、全員が今もユニクロの服を愛用している。

ただし ユニクロ経験を前向きに振り返るのは、アルバイトおよびパート社員ばかりだ。 彼らは責任の範囲が限られており、転勤もない。 勤務先店舗の雰囲気さえよければ、比較的高めの時給をもらいながら、忙しくも楽しく働き続けることができる。

社員は事情がまったく異なる。 先日、『週刊東洋経済』の取材によってユニクロの離職率の高さが明らかになった。 記事では、新卒社員の3年内離職率を平均 36% と記しているが、僕の独自取材では、2002年に入社した社員 (現在12年目)、約 220人のうち、現在もユニクロ事業を含むファーストリテイリンググループで働いている人は 20人に満たない。 つまり、離職率は4年目以降も高止まりし、10年内離職率は8割を超すと推測できる。

● 辞める時に「どんな顔をしている」か?
辞めること自体に問題があるのではない。 近年の日本は転職市場も発達している。 次の職場で活躍すればいいのだ。 だからこそ 辞めるときに「どんな顔をしているのか」が重要だと思う。

僕自身がその一人だったように、うつ気味になって暗い顔で退職していく社員が、ユニクロには多すぎる。 彼らが他人と一緒に働く自信を取り戻すのには、長い歳月が必要になるだろう。 僕は結局、独りきりで働く道を選んだ。

大げさだというならば、退職して数年以内に別の会社で生き生きと働いているユニクロ卒業生を挙げてみてほしい。 あなたの周りに、例えば学生時代の知り合いに、一人でもいるだろうか。 意気揚々とユニクロに入社したはずなのに、退職後は音信不通になってしまう人が少なくないはずだ。 いったいなぜなのか。

僕はユニクロ勤務時代にサービス残業などの理不尽さを強要されたことはない。 ユニクロがいわゆる「ブラック企業」なのかは今でもよくわからない。 ユニクロ社員の8割が不幸になってしまうのは、むしろ合理的すぎることに起因していると感じている。

柳井社長が時折ブチ上げる途方もない必達目標 (2020年の売上高 5兆円!など) は別として、ユニクロは「完全実力主義」の人事方針に恥じない徹底した合理主義で貫かれている。 商品の生産から販売スタッフの採用まで、すべてが理路整然としているのだ。

過去の失敗や成功はほとんど問われず、つねに4半期ごとの業績で評価される。 SKIP 事業を撤退した後にジーユー事業で復活した柚木治社長の例もある。 逆に、どのような役職にあっても、業績を上げ続けなければ店舗勤務の平社員に降格されかねない。 年齢や経歴は関係ない。

もちろん 平社員にも甘さはない。 配属先の店舗でスタッフを適切に導いて売り場を切り盛りすることができなければ、「なぜできないのか、いつまでにどうやって改善するのか」という厳しい追及の対象になり続ける。 そして、自信と気力を少しずつ失っていく。

● ユニクロはプロスポーツチームのような会社?
常に結果を求められるプロスポーツチームのような会社なのだ。 離職率の高さでいえば、外資系の金融機関やコンサルティングファームと似ているかもしれない。 アジア諸国のグローバル企業も同じようなものだ、という声もある。 ただし ユニクロに新卒入社する場合は、「20代で自信喪失して退職する」リスクを背負う割には、給与面でもキャリア面でも見合ったリターンは得られない。

高給やキャリアアップは期待できなくてもいい。 信頼し支え合える仲間たちと一緒に安心して働き続けられる職場ならば、人は幸せを感じることができる。 しかし ユニクロ社員にはそれすら許されていない。

新卒入社した若者の8割を「排出」しながら高い利益水準と急成長を維持するユニクロ。 これでいいのかと現役社員に問いかけたことがある。 その回答は柳井社長の主張と見事に重なるので、上述の拙著から抜粋する。

「最初から『完全実力主義です』と謳っているんだから、実力のない人が退職するのは当たり前でしょう。 辞めたければ辞めればいい。 私は (ユニクロを) 辞めたいと思ったことはまだないけれど、辞めたくなったらすぐ辞めますし、仕事ができない同僚にはすごく腹が立ちます。『早く辞めろ!』と内心では思っています。 そういう人に限って、なかなか辞めないんですけどね。 会社は家族じゃない。 仕事なんだから、結果を出さないとお金をもらう資格はありません。 私は仕事だと割り切っています。 だから 結果が出なければ徹夜してでもやり遂げます」

なお この社員は「プライベートではユニクロ服は着たくない」と別の国内ブランドの洋服で全身を固めていた。

あなたはこの会社で働きたいだろうか。 自分の子どもを入社させたいだろうか。 もし入るならば、「幸せな2割」になり続けることを祈るばかりだ。

以上

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