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シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

"独断と偏見" で世相・経済からコミックまで 読んで楽しい 面白い内容を目指します。 

ワーグナーの世界の三妖婦

2013年01月24日 | ワグナー聞き比べ
上段左と中央はタンホイザーから、上段右はローエングリンから、下段はパルシファルから。
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06年11月18日投稿分__

ワーグナーの歌劇「タンホイザー Tannhäuser」で、主人公を誘惑する快楽の女神 妖婦ヴェーヌスが登場します。 彼女は第一幕で 騎士タンホイザーを引き止められず、彼を俗界へ戻しますが、第三幕で再度誘惑を試みて再登場し、ここで永遠に見放されるという筋です。

妖婦とは対照的な、領主ヘルマンの姪エリーザベトが純粋な愛でタンホイザーを救おうとし、最後には自分の死をもって許しを乞うことを決意します。

エリーザベトをソプラノ歌手が、ヴェーヌスをそれより低い声のメゾソプラノが歌うのが殆どですが、希代のワーグナー歌手ビルギット・ニルソンが DG 録音で二役を歌いました。 一人の歌手が歌うことで、女性の二面性を描いたワーグナーの意図を表すのが録音の目的だったようですね。
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楽劇「ローエングリン Lohengrin」では、魔法使いの妖婦オルトルートがメゾソプラノで登場します。 第一幕で ブラバント公国の世継ぎゴットフリートが行方不明になり、彼の姉エルザに弟殺しの疑いがかかりますが、白鳥が曳く小舟に乗った騎士が登場、エルザの潔白を証明するためにテルラムント伯爵と戦います。

エルザに罪を着せるよう けしかけたのは伯爵の妻オルトルートで、彼女は魔法でゴットフリートを白鳥に変えていたのです。 第二幕で 彼女は、名前と素性をいわない騎士への疑念をエルザにを吹き込みます。

エルザに問いつめられた騎士は、第三幕で「私はモンサルヴァート城で聖杯を守るパルジファルの息子ローエングリンだ」と素性を明かし、祈りを捧げると、白鳥は人間に姿を変えます。 ここで、オルトルートは叫び声を上げて倒れるのですが エルザもまた息絶えるのです __ この辺りが分かりにくいのですが。
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ワーグナー最後の楽劇「パルジファル Parsifal」で登場するのが、魔法使いクリングゾルの手先となる 呪われた女クンドリです。 

聖杯を守る モンサルヴァート城のアンフォルタス王は、その昔 彼女に誘惑され、聖槍を奪われてその槍で傷つけられていたのです。 第一幕で 彼は傷が癒えず、苦しむ様子が演じられます。 この幕での主役は老騎士グルネマンツです (映画「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」で聖杯を守る老騎士が登場しましたね)。

第二幕で クリングゾルの魔法の呼びかけでクンドリが妖婦として目覚め、彼はクンドリに、魔の城に侵入した若者パルジファルを誘惑し堕落させるように命じます。 クンドリは彼の母親の愛を語り 接吻すると、これによって彼は、アンフォルタス王の苦悩を知るのです。

第三幕でクンドリが水を汲んで、パルジファルの足を洗い、彼もまたクンドリを浄めます (マグダラのマリアを連想させる場面です)。 パルジファルが、聖槍をアンフォルタス王の傷口にあてると、たちまち傷が癒え、クンドリは呪いから解放されて息絶えるのです __ この辺も分かりにくいですね。 ここで歌われる「ただ一つの武器だけが」が聴き所です。
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… と、ワーグナーの書いた妖婦たちを紹介しました。 悪女は聖女の引き立て役で、憎らしい悪女ほど ヒロインが光ってきます。 大概、最後には “息絶える” というもので、荒唐無稽な話しなのですが、創りものの世界ですから、そのほうが一層 感動の度合いも深まるのですヨ。
    
以上

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