
りんごの茶色の箱と白の箱。
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3ヶ月ぶりに実家に来て、4日目。 そろそろ母の "繰り言" がウットウしくなってきます。
1) 「ねぇ ちょっと、庭のキッ … キキキキキ、キをキってくれない?」
「はぁ~?」
一緒に庭に出てみると、2m ほどの高さの剪定したつげの木から 10本ほどの小枝が上に 30~40cm 伸びて、少しみっともない形になっています。 脚立と花切りバサミを持ち出してきて、私に切ってもらいたいらしいのがやっと分かりました。 殆どは花切りバサミで切れたが、残り3本は枝が太くてよく切れません。
「こういうのを切るのには、本当は剪定用のハサミがいるんだよ。 花切りバサミでは無理だ」といったが、何とか力任せで切りました。 脚立を片付けながら、母はこう付け加えます。
「この間 庭職人に切ってもらったら、この高い木を半分に切っちゃうんだよ。 少しだけ切って短くしてといったのに、半分も切っちゃって …」と、別の3本の杉の木 (か ヒバか?) についての嘆きもいい始めます。
「はっきり これ位に切ってくれといわなきゃだめだよ」
「でも、これは切り過ぎだよね」
「そんなこと、お互い考えてることが違うんだから、ハッキリ要求しない母が悪いんだって。 庭師の方もハッキリ確認しないで自分の思う所で切ったのなら、それも良くないとは思うが、困るんなら最初から 母がこの位にして下さいというべきだよ」
「でも、こんなに切らなくてもいいと思うんだよね …」
「ハッキリいうんだよっ」堂々巡りの話しを続けるのが、私にはつらくなってきます。
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2) お土産に近所の農園からリンゴを取り寄せて、私に持たせようと A農園 (家族経営) に手配して持ってきてもらいました。
それはそれで嬉しいことなのですが、農園の請求書の表にある金額に どうやら納得がいかないらしく、クダクダと私に嘆くのです。
「じゃあ 電話して確認したら」というと、
「でも 今頃は昼で、家族でみんな畑に出ていて自宅にいないから電話しても出ないんじゃ …」
「じゃ 夕方に電話すれば …」
「食事時の6時前後は夕食の準備で忙しいだろうから …」
「じゃ 7時過ぎならいいんじゃないの?」
「う~ん …」と要領を得ない。 どういうわけか、その日には電話しなかったらしい。
相手は家族経営の農園でもビジネスだから、いつでも受付している筈です。 相手家族の家庭事情を考慮していたら、いつまで経っても注文も交渉も出来ません。 その辺のことは、もう半世紀以上 実際のビジネスから離れている89歳の母には理解しづらいようです。
最近は、家族ビジネスでも会社でも パソコンを駆使して、お得意様をエクセル表に入力し管理しています。 実家=母の自宅は住所/リンゴ 10kg 価格B (送料なし) が、息子の私は住所/リンゴ 10kg 価格C (送料込み) が入力されているのでしょう。
2日前 母が電話で「息子が実家に来ているので、息子の分 10kg と自分の分のリンゴ 5kg を自宅に持って来て」と頼んでいました。 ついでに、前にも頼んだことのある数カ所にも宅配便で送るよう頼んだらしい。 そこで、農園の息子が母と私の分の2箱を実家に持ってきました。 請求書にはBとC、その他数カ所分が表に入って、合計で幾らとありました。 私の分は宅配便で送らなかったから、自分の分と同じBでないとおかしいと、母が私にいいます。
「だったら、A農園にそういったら」
「私の分は売り物にならない格安の "ハネもの" (クラス落ち) 5kg にしてくれといったのに、この請求書は 10kg になってるんだよね … それに、持ってきた人は私用のはサービスで無料だっていったんだよー」
「だったらさぁ、その疑問は私にいうんじゃなくって、農園にいうんだよっ。 私にいわないでくれっ」と、最後はウンザリして大声になってしまいました。
この母の話し2つも 先日の "話しかけお婆さん" と同じで、支離滅裂というか、超アナログというか、超感覚的というか __ 要するに非論理的な世界の話しです。 ほとほと疲れます、お年を召した女の人との感覚的会話は。
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この実家に帰省中 妻が携帯メールで、自分の妹夫婦へリンゴ1箱を送って欲しいといってきたので、早速A農園に手配の電話をし、終わったので その電話を母に引き継いでもらいました。 母が請求金額について聞き始めます __ が、さっぱり要領を得ない話し方なので、私に代わってもらい 先方の事務の女性 (60歳位らしい?) と話すと、更に分からなくなってきました。
農園が実家に持ってきたのは、封印してある白い箱が1つと封印してない茶色の箱が1つです。 白い箱が息子の私用、茶色の箱が母用なのはA農園と話しが一致しました。 また配送しなかったので、価格はBとBで了解されました。
その後 私が自分の部屋で PC を使っていると、母がコードレス電話機を持ってやってきて「農園と話して」といいます。 電話に出ている先ほどの事務の女性と話すと __
「実は息子さんの分はもう配送してしまったので …」
「えー 実家に届いているのをそのまま持ち帰ると 20kg になっちゃうな。 そんなには食べられないよ。 10kg でいいよ」
「それじゃ 先ほど追加で配送を頼まれた分は、実家に届けた白い箱を引き取って、それを先方へ送っていいですか?」
「はい、それでお願いしますよ。 それで、茶色の箱のは価値がいくらなんですか?」
「B価格ですが」
「母に聞くと、穴が空いていたり、割けているそうなんですが」
「あー ですから "ハネもの" なんですが、価値はBの分だけあります」
「持ってきた人は、その母用のはサービスで無料だといったんだそうですが」
「はい 価値はBの分だけありますが、私どものサービスで無料ということなんです」
「ちょっとねぇ、はっきりしてよ。 請求書にはBとあって、母は請求金額通り払ったんだけど、無料というんなら 取っちゃいけないんじゃないのー?」
__ とまぁ、"いなかのビジネス" は分かり難いこと この上ありません。 想像するに、A農園が請求書を作成する際に、顧客リストからコピペで持ってきて作ってしまい、"ハネもの" の無料を入力し忘れたのでしょう。
更に 持って来た人 (その息子) も、内容物と請求書を確認せずに、そのまま 親にいわれた通りに "無料です" といいながら、顧客の母に渡して請求書通りの金額を受け取ってしまったことが、このもつれの原因でしょう。
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3) 以前 父が健在だった頃 取引していたリンゴ屋は別のW農園でしたが、そこでもトラブルがありました。
父がW農園に手配したリンゴが1箱 私宛てに送られてきました。 リンゴを食べ終わった1ヶ月くらい後、こちらから父宛てに同じそのリンゴ箱を使って、贈り物を詰めて配送便で出しました。 翌日 父からの電話で、「あの箱は、この前 送ったリンゴの箱を使ったのかい?」と聞くので、そうだと応えました。
後日 父がいうには、「箱にはリンゴの等級が印字されてるが、私が手配したクラスより下クラスのものがお前に送られていた。 ところが、W農園は私にしっかりと 手配した上クラスの料金を請求して支払ったもんだから、農協に電話して抗議したんだよ。 そしたら、農協に叱られたらしく W農園が憮然とした顔でやってきて、払った料金を返してきた」と。
__ という農園がらみのトラブルが2件もあったので、私には家族でリンゴ屋を経営している農園のイメージが悪い。 農園ビジネスをする人たちというのは、感覚がズレているというか、ドンブリ勘定というか、どこかが変ですよ。 そんな経営ばっかしを続けていると、いつか消費者にはそっぽを向かれてしまうでしょう。
今日はここまでです。