越後駒ケ岳の駒の小屋は小屋のそばまでパイプで引いている豊富な雪解け水が名物になっている。
その水も雪渓の雪が消えると涸れてしまう。そうなると沢の水場まで5分ほど下るようになる。
ヒメウメバチソウ の小さな花が咲く場所はその水場に近い崖状の斜面だ。
9月6日に写したこの場所は8月上旬には雪の下だった。この花も一年は二か月しか無いようだ。径1cm程の小さい花で 花びらも 梅鉢と言う程丸くはない。
この花は開花したばかりらしく黄色い葯をつけた雄蕊はまだ一本しか立ち上がっていない。
数年前の8月下旬に 白山を訪ねたことがある。
トウウチソウ や タカネマツムシソウ など華やかな 秋の花の咲き乱れるお花畑を歩いた。
jokichi は華やかな花たちにも もちろん興味があるが地味な ハクサンタイゲキ の花を探し回った。
ハクサンタイゲキ は花の季節は終わって実ばかりだったが ひとつだけ咲いている花をみつけた。
その時点では ほかの トウダイグサ科の種とは 花を見れば違いが分かるんだろう と思い込んでいた。
あとで 調べて 子房に柄があるのが ハクサンタイゲキ の特徴だと知った。
写した写真をよく見ると 子房の柄が写っていて ほっとした。そして一生懸命写したはずの 花はピンボケだった。越後駒ケ岳の花を紹介していたのに 突然 白山の花の紹介になったことには理由があります。
この十日程の間に紹介した花の内 ハクサンで始まる種名が多かったことにお気づきだと思います。
フウロ コザクラ ボウフウ シャクナゲ チドリ オオバコ と6種ありました。
この6種の外に ある調査報告書には ハクサンタイゲキ も越後駒ヶ岳に生息 と記載されています。
でも jokichi はまだ出会ったことがありません。来年こそは・・・と思ってまた登ります。
8月の半ばまで消え残っていた雪渓が消えると それを待って芽を吹く草たちがいる。
スゲ類もそうだが イワイチョウ ハクサンコザクラ などは雪消えを待って芽吹き開花する。
ハクサンオオバコ も同様だ。しかも ハクサンオオバコ そんな場所を好んでいるようだ。
この ハクサンオオバコ を写したのは 2012年9月9日だ。
そしてこの場所の雪が消えたのは 8月16日のことだった。そこは10月半ばには雪が降る。
やわらかそうな葉には細毛が落ちずに残っている。前年に準備した花茎も葉と一緒に伸長する。
自家受粉を避けるためだろう。雌蕊だけを先に延ばしている。更に花茎が伸びて 雄蕊も顔を出す頃になると花茎は倒れてくる。里の オオバコ との大きな違いだ。
種子は親株の周辺 即 生育可能を自身で確かめた条件のところに蒔こうということなんだろう。こんな地味な花だから この花に気付く人はほとんどいない。
ナエバキスミレ は オオバキスミレ の 高山型と説明されている。そのことは理解できる。
両種の具体的な相違点は 茎の色で ナエバキスミレ 茎は茶色だ・・・・と最初に教わった。
それが刷り込まれていた jokichi のアタマは途中から変になってしまった。
越後駒ケ岳では登山口から茎は茶色だがそれ以外は間違いなく オオバキスミレ の花が咲いている。途中には どう見ても両者の中間と言える花が咲いている。山頂稜線まで行くと これは オオバキスミレ ではなく ナエバキスミレ だと思える花になる。どこで線を引いて両種を分ければいいのか判断に迷ってしまう。
人に聞かれた時は登山口から道行山までは オオバキスミレ と言って、そこから百草ノ池までは
「中間種のようですね」などと言い、百草ノ池を過ぎると「 ナエバキスミレ のようですね」と
言ってお茶を濁している。「 ナエバキスミレ です」と言うのは小屋を過ぎてからにしている。
コシジオウレン は春の雪融けを待って一番最初に咲く花だ。
雪の下でツボミを膨らませる ショウジョウバカマ も開花の早い花だが コシジオウレン は
雪が消えてから花穂を伸ばして 白く可憐な花を咲かせる jokichi の好みの花のひとつだ。
五片の白い花弁に見えるのは萼だと言うが ミツバオウレン のそれよりふくよかなカタチでいい。ところで 上の画像の左下隅の葉に注目して頂きたい。
ピントがずれていて申し訳ありませんが 葉に着いている灰色のものは確認いただけると思います。
この葉の上に降り積もった雪に含まれていた水以外の固形物が風雨に流されず残ったものです。
くわしく分析などは出来ませんが 大陸由来の黄砂やPM2,5の集まりだと思われます。
この花を撮影したのは 今年の7月30日です。
この頃になると遠目には白く見える雪渓も近寄って見ると煤煙のような黒いものが表面を覆います。白い萼片は受粉が終わって子房がかなり大きくなっても散り落ちることなく残っている。
それが群落全体に多数の花が咲いているように見えて いい景色を演出する。
訪花昆虫を呼び寄せるためのテクニックのひとつだとjokichi は勝手に解釈している。