試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

クハ103-779[ラシ320F] 車体更新 (側扉窓金属押え面支持化,TR62非動力台車集電方式変更施工) ※TOMIX製旧製品

2019-03-13 22:03:59 | 国鉄/JR103系
余波。

2社混結時代のJR103系ラシ320F(Tc779)構成車はクハ103-779,旧モハ103-555がTOMIX製旧製品メーカー塗装車体であった。
TOMIX製旧製品で統一されたラシ320Fはサハ103-331を除きメーカー塗装車体に改められクハ103-779の入場を迎える。
車体改修を施したモハ103-555とは対照的にクハ103-779はクハ103-779(ラシ320F)による車体更新を行う。


JR103系クハ103-779(ラシ320F)。

クハ103-779の種車はジャンク車両を再生させたクハ103-763(旧ラシ305F:Tc763)まで遡る。
最終LOT品だったが前尾灯非点灯に陥っていた事と各部への色挿し施工がジャンク扱いにさせた原因だと思われる。
回着直後はメーカー塗装車体が活かされTOMIX製旧製品クハ103-763(塗装変更車)を置き換えた。
しかし旧ラシ305Fはモハ103-707以下9両がKATO製量産冷房車で構成されておりクハ103-763の存在が編成見附を崩していた。
後にKATO製クハ103-272(黄色5号)の導入が実現しクハ103-763(ラシ305F-3)へ車両更新が行われる。
余剰となった旧クハ103-763はクハ103-291(ラシ326F-2:Tc291)へ改番異動させた。
ラシ326F-2は長く続かずサハ103-331(ラシ320F)の竣工を機に廃止されクハ103-291もクハ103-779へ再改番となった。


入工中の元クハ103-473,クハ103-779,クハ103-779 (廃車,ラシ320F,ラシ320F)。

メーカー塗装車体を持つクハ103-779(ラシ320F)は再改番時に側扉窓金属押え面支持化が行われる。
しかし前オーナーさんによる色挿しを上塗りで対処したため油性ペイントマーカーの乗りが極端に悪くなってしまった。
せっかくのメーカー塗装車体を見窄らしくさせてしまい車体更新に至る要因となった。
クハ103-779での失策がクハ103-754(ラシ331F-1:MM'7)のクハ103-790(ラシ320F)更新種車振替計画を中止した要因でもある。
確保が難しいTOMIX製旧製品クハ103形(黄色5号)でありクハ103-779の車体更新は特例措置と言える。
更新工程はクハ103-790(ラシ320F)に倣い廃車発生品を最大限に活かす方向とした。


黒染車輪に復帰した元サハ101-239とクハ103-779へ転用されるTR62非動力台車。

KATO製A形防護無線アンテナ,KATO製クハ103形用ダミーカプラー,TOMIX製TR62非動力台車,表示器用プリズムは転用で賄う。
これら全ての部品が揃う元クハ103-473(元ラシ327F:Tc473)を部品供出車に起用した。
元クハ103-473が履いていたTR62非動力台車は初期LOT品かつキハ58系用排障器(PZ-900)が取付済である。
T式走行抵抗軽減対策で所要となるKATO製通電対応中空軸銀色車輪はKATO製101系元サハ101-239(元ツヌ131F:Mc70)から捻出する。
また元サハ103-239は改修で保管品に廻った元サハ103-331用床板より黒染車輪を充当し廃車されたKATO製101系の仕様統一も図る。
クハ103-779から流用される部品はクハ103-790に続いて座席部品のみとなった。


成形が異なる新旧TR62非動力台車 (最終LOT品,初期LOT品)。

初期LOT品TR62非動力台車への交換は連結面間隔の均等化以外に台車集電板反転取付を容易くする狙いがある。
台車枠枕梁と側梁の接合部は最終LOT品から成形が変更されリブ嵩が増加した。
台車集電板には凹形と逆台形の2種が存在するが何れを用いても接合部が支障してしまい軸受に覆い被さる。
軸受が現れるまで接合部の一部を欠き取れば最終LOT品も台車集電板反転取付が可能となる。
しかし現物合わせによる整形はクハ103-754(ラシ331F-1)の一例だけに留まっており作業簡略化を優先した。
面一化が難点だがカプラーポケットのリブ切除にて連結器突き出し長の延長も可能だと思われる。


黒色化された台車集電板 (1エンド側用)。

クハ103-779用TR62非動力台車には酸化が少ない逆台形の台車集電板を使用した。
現状のまま反転取付を進めるとTR62非動力台車はペデスタル式とイコライザー式が共存する見附になってしまう。
そこで他社製品で実績のある台車集電板外側をマッキーで塗り潰す方式により台車枠へ埋没させた。
なお最終LOT品TR62非動力台車はKATO製通電対応中空軸車輪との相性が悪い一面を持つ。
排障器の取り付けが可能な利点がある一方で取付台座へ向かうに従いステーは厚みが増す。
このステーは車軸と接触してしまうため排障器取付台座裏面の薄型化が欠かせなくなる。
旧LOT品TR62非動力台車は排障器取付非対応であり特に対策を採らずKATO製通電対応中空軸車輪を装着できた。
ちなみにキハ58系用排障器は取付脚切除を行いプラ板を介して接着固定したものである。


成形済A形防護無線アンテナ撤去跡に設けた取付孔。

クハ103-790ではKATO製クハ103形用ダミーカプラーの取付に廃車体を活用した。
ところが竣工後に微妙なずれがあると判明しクハ103-779からは最終工程へ廻している。
車体への細工で最も注意を払う工程はKATO製A形防護無線アンテナ取付孔の開孔と言える。
KATO製A形防護無線アンテナと成形済A形防護無線アンテナの台座径は余り差異が無い。
Φ0.8mmの取付孔は成形済A形防護無線アンテナの切除跡中心へ合わせられるのが理想的だった。
しかしクハ103-779では中心がずれてしまいΦ1.0mmとΦ0.8mmのテーパー取付孔にせざるを得なかった。
嵌合が緩くなったKATO製A形防護無線アンテナは微量のゴム系接着剤で仮固定した後に溶着を図った。


製品原形との差異が大きく現れた乗務員室直後の側板周り。

一度補修を行った側面窓セルだったが仕上がりが悪い上に濃色セルの初期LOT品が装着されていた。
ラシ320Fは透明セルへ変更後の中期~後期LOT品で統一されており敢えなく交換対象となった。
側扉窓金属押え面支持化は油性ペイントマーカー式を踏襲したが踏み外しを多発させた。
その都度消しゴムで全てを消し去り再塗布を行ったため失敗の痕跡は全く伺えないと思う。
灰Hゴム支持印刷を上塗りするマッキーはペン先が熟れたものを持ち出しインクがモールド全体へ行き渡るようにした。
座席部品は遮光ケース押え立ち上がり部が黒色化されたクハ103-779からの流用である。
車両更新工事施工車の側面見附と近いクハ103-779,クハ103-790ではこの黒色化が一層効果的に感じられる。


旧クハ103-779,クハ103-779。

TOMIX製High-Grade製品付属インレタの側面用JRマークは7両分と残りが少なくなった。
今後の車両更新及び車体更新に於いても必要とされ補充の目処が立たない現在では失敗が命取りになる。
とにかく欠損だけは引き起こさないよう時間を掛けて1-3位側,2-4位側への転写を行った。
経年が高くなりつつあるTOMIX製High-Grade製品付属インレタだったが無事1組の使用で乗り切っている。
それでも車両更新,車体更新用途では3編成相当しか手元にない厳しい状況が続く。
前面用JRマークには従来通りTOMIX製旧インレタを起用しており相変わらず色温度は揃っていない。




クハ103-779 [43C 御茶ノ水]:JRマーク転写,表示器用プリズム・前面窓セル・TR62非動力台車交換,KATO製A形防護無線アンテナ・KATO製クハ103形用ダミーカプラー取付施工。


クハ103-790 [43C 御茶ノ水]:ラシ320F(車体更新車)。

クハ103-779(ラシ320F)の前面窓セルには横方向に擦過痕が走っており光線角度次第では大きく目立った。
磨きクロスでも隠蔽できず部品取用に押さえたクハ103形(黄緑6号:最終LOT品)と交換している。
前面窓セルの印刷がワイパーを含め灰色で統一されているせいか個体差は一切感じられない。
前照灯用,表示器用プリズムは実質1pcs化された元クハ103-473用を取り付けた。
完全な透明ではなく若干黄色味を帯びたプリズムもまた初見であり点灯試験の結果が気になる。
TOMIX製旧製品クハ103形は部品振替えを繰り返した車両が多くどのLOTに属するか不明である。


クハ103-779 点灯試験[43C 御茶ノ水]:前照灯(車輪交換,台車集電板反転取付施工)。


クハ103-779 点灯試験[43C 御茶ノ水]:尾灯(車輪交換,台車集電板反転取付施工)。


クハ103-790 点灯比較[43C 御茶ノ水]:ラシ320F(集電板反転取付施工車)。

最終工程はKATO製クハ103形量産冷房車用ダミーカプラーの取り付けとなった。
元クハ103-474(廃車)と同時期に同一仕様で竣工した元クハ103-473もダミーカプラーの整形が施された。
切除箇所は元クハ103-474用に比べ多く台枠との接地面積はクハ103-790転用品よりも狭い。
微調整は苦戦すると予想され一旦1エンド側TR62非動力台車を取り外した。
ゴム系接着剤塗布量を増やしどうにか垂直姿勢まで持ち込めたが将来的な不安は隠せない。
それでも最終LOT品ダミーカプラーを廃せた効果は高くクハ103-790に近い前面見附へ辿り着けたと思う。




クハ103-779(戸袋窓黒Hゴム支持・側扉窓金属押え面支持化,TR62非動力台車交換,集電方式変更施工)。
※車体更新。

点灯試験の結果色味が異なる表示器用プリズムは特に点灯色温度へ影響を及ぼさないと判った。
最終LOTライト基板装着台枠を転用しており照度も高く良好な答を得られた。
通算4両目となる台車集電板反転取付施工車も通電状態は良く安定した点灯を見せている。
クハ103-779(ラシ320F)は異例のメーカー塗装車体からメーカー塗装車体への更新が行われた。
油性ペイントマーカー式による側扉窓金属押え面支持再現は旧クハ103-790と変わっていない。
しかし黄色5号Hゴムモールドを直接塗り潰せたためすっきりした窓周りになったと思う。

なお旧クハ103-779,旧クハ103-790(元ラシ320F)はクハ103-779の竣工により廃車となった。
部品供出予備車として待機させていた元クハ103-790は全く出番が無いまま終焉を迎えている。
両車に装着した最終LOT品TR62非動力台車は排障器取付非対応の初期LOT品が更新種車となった場合に転用される。
またKATO製A形防護無線アンテナも再用対象で元クハ103-473,元クハ103-474に代わる部品取車とする。
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