観るミステリー小説相棒Ⅴ:第十六話 『イエスタディ』

口の中の傷、取れたコートの袖のボタン、
知らない間にポケットに入っていたナイフとロッカーの鍵・・・・
・・・・・・『俳句作品展のチケット』

人のいい心優しい青年が、なぜ『昨日の記憶』を失ったのか
事件との関わりは?・・・その裏に隠された真実と記憶喪失の原因。


前回は『これぞ相棒!』と思ったけど

今回も『これぞ相棒!』って思える余韻が心に染みる出来映え!

前回が質の高い社会派犯罪ドラマなら
今回はサイコのエッセンスをうまく取り入れたミステリーの秀作だ!
(あらすじは相棒公式サイトで)



一見、『多重人格が原因の犯罪では?』と思わせておいて
いかにも杉下右京らしいロジックな謎解きで真犯人暴きだし

『記憶喪失』や『多重人格』というサイコ的なエッセンスは
人のいい優しい青年が愛する人を守るという人間ドラマの部分で
使われる。

これが良かった・・・個人的には大好きなパターン。

『本格』と『サイコ』『謎解き』と『人間ドラマ』
というエッセンスのバランスがとてもよく取れていた。

キーワードになった『左利き』。

オレは『康江の写真の箸を持つ手』は完全に見逃していたし
経理係の真犯人が『左手で似顔絵を書くシーン』は
トリオ・ザ・捜一と亀山刑事のやり取りに気を奪われ
ここも完全に見落とし

今回の話は生で観られなかったので、録画を観たのだが
この謎解きを検証しながら二度観を楽しんだ。

二度目の観賞では謎解きの検証だけではなく、
音楽や映像、俳優の細かい演技などもよく見えてくる。
『相棒』は二度目でも十分に楽しめる噛むほどに味のでる
スルメのようなドラマである。

今回はいつにも増して音楽が
ドラマのアクセントとして効いていたように思う。
特に留置場の中で、狭間が前日の記憶を取り戻していくシーン
狭間の顔と涙を流す康江の顔が交互に映る映像と
バックに流れる映画サスペリアの音楽は
サイコの匂いがプンプンで雰囲気を盛り上げる。
ここはシビレました。

それ以外にも、取調べ室や署内の廊下での全体にやや青味がかった暗めのトーン、
宇田川の部屋で警棒を振り回す右京の顔、
細かい部分にもサイコ風味がキッチリと散りばめられていた。
これはこのドラマが、ミステリー好きでミステリーの造詣が深いスタッフの手による仕事なんだな~って感じられてうれしくなる部分だ。

最後に残った『俳句作品展のチケットの謎』
これは今回のとどめ。
宮部みゆきや乃南アサの小説のラストシーンを思わせる見事な出来映え。
良いミステリーを一冊読み終えたような満足感が残った。


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