旅の乗り物

片岡義男の小説は旅がテーマになっているものが多い。
その中で主人公はオートバイと車に乗って旅をすることが多いのだが、
小説の中でその二つの乗り物の取り扱いの違いがおもしろい。
まずオートバイはホンダCB500・カワサキ650W1・メグロスタミナK2など固有名詞が出てくることが多いのだが、車に関しては「ブルーのクーペ」「ステーションワゴン」「黒いセダン」などと車のタイプだけで書かれることが多い。
彼のスタンスはハッキリしていてオートバイは「命を預ける価値のある乗り物」「鉄の馬」と小説の中で評していて主人公と一緒に旅をする『相棒』という立場だ。
それに対し車は『彼女がステーションワゴンを停める場所』など車がタイトルになっている小説もあるのだがあくまで移動のための『道具』として扱われている。
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秋になったらどこかに旅行しようと友人たちが言っている。
10年ほど前に同じ店で働いていた気の合った仲間男女7人が店が閉店でなくなってそれぞれが別の支店に移ったり退社したりという中で今でも年に1回か2回1泊2日の旅行会をしている。
全員が都合がいいということがないのでいつも5人ほどのメンバーになる。
行き先は1泊しか時間がないので大体が東北の温泉だ・・今まで宮城・福島・秋田・岩手・山形・栃木・新潟と行ってきた。
いつも使われる車は自分のステーションワゴンである・・昔は他の人の車がセダンだったのでなんかワゴンの方が旅って雰囲気がするからというのが理由だ。
しかしミニバンがブームになり3列シートの7人乗りの豪華なミニバンを買った人がいて「これからはそっちだね」っていうことでミニバンで行ったのだけどあまり評判が良くなかった。
すごく快適だったのだが、なんか話しがはずまないというのだ・・たしかに3列目に座ると運転席の人と話すのも一列飛ばしなのでなんとなく・・。
よっていつもより静かな旅だった。
そんなわけですぐまた自分のステーションワゴンが『旅の道具』となった。
たしかに前後の距離が近いし天井もミニバンより低いので密着感がある。
5人で乗るといつも後席の真ん中に誰が座るかでもめる窮屈さなのだがその分確かに濃い空間ではある。
ちょっとした不便さや窮屈さは旅のスパイスなのかなぁ。

いつも久しぶりに会うので車に全員揃うと日頃たまってることをガンガン話し出すから目的地に着くまでの車内はうるさいくらい賑やか。
それが自分たちのドライブ旅行の一番の楽しい時間だ。
でもいつも帰りの車内は運転手の自分以外はみんな静かに眠っている。
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