怪談(2007年18本目)

ズバッと直球のそのもののタイトルのこの映画
原作は落語家というより講談師に近い雰囲気をもつ三遊亭円朝の怪談噺『累ヶ淵』(かさねがふち)

ストーリーはオーソドックスな日本の怪談で
男女間の感情のもつれからくる愛憎のはてに、
やがて女の情念が男に対して恐ろしい怪奇現象を生み出すというもの。

この映画、ちょうど観たのが厳しい猛暑の盛りの先月のお盆の頃。
暑気払いのつもりで軽い気持ちで観にいったのだけど、
期待以上に面白い映画だった。

なによりキャスティングがよかった。
物語の中心になる男女の男の方新吉の役は歌舞伎界のプリンス尾上菊之助。
その新吉に惚れる年上の女の豊志賀に黒木瞳。

まず尾上菊之助、さすがに梨園の御曹子だけあって和風な顔立ちで
和の男の色気がムンムン。男の魔性を感じさる。

対する黒木瞳に方はというと、スレンダーなボディで顔もキレイなのだが
いわゆるフェロモンというかドロドロの女の情念を感じさせるタイプではない。


この二人の持つキャラクターの違いが実にいい効果を映画に与えていたように思う。

それは、まず男の魔性を感じさせる尾上菊之助の雰囲気が日本古来の「怪談」、
クールビューティな黒木の方が「モダンホラー」とそれぞれ違ったティストをこの映画に与え
非常に古典的な『幽』を感じさせる怪談でありながら
サスペンスとプロットによって生み出されるモダンホラー的な恐怖感を併せ持つ作品に仕上がっている。

監督があの日本モダンホラー映画の金字塔『リング』の中田秀夫氏であればそれもなるほどといった感じだ。

あくまでも『怪談』でありながら、決して泣かない赤ん坊の天井を見つめる目の描写などに、
モダンホラーの風味がバッチリと効いている。
そんな心理的な恐怖と暗闇で急に後ろから「ワッ!」と声をかけられたときに驚くような即物的な恐怖がうまくブレンドされている。

個人的には監督がタイトルどおり「怪談」にこだわり、
ホラー要素を入れながらも日本古来の『幽玄』の世界を失わなかったことに好感を覚える。

逆に『リング』のようなホラー的な恐怖感を求めた人には不満がでるかもしれないけど、
そのあたりは評価に個人差が出るだろうと思う。

ラストの浜崎あゆみの歌は、映画のテーマが愛ということで選ばれたのかもしれないけど雰囲気が合ってなかった。
ここだけは余計なことをしたな~という感じ


映画館のロビーに作られた『怪談神社』


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