DON'T WORRY BABYが効いてる洒落たラストシーン『デジャブ』(2007年9本目)

  
あ~やっぱりビーチボーイズはいいな~!
そう思いながら劇中に流れる名曲『ドント・ウォリー・ベィビー』に
聞き入っていると・・・

突然、ドッカーンとこの曲にはまったく似つかわしくないフェリーのド派手な爆破シーン。

この出だしは、ものすごく意外性と迫力があった。

「ドリームガールズ」を観賞したときに予告編を観ただけで、
公式サイトも見ずに、ほとんど予備知識がない状態で観賞したせいもあり
この予想外のイントロのシーンで完全にこの映画の世界に引き込まれた。

観る前、予告編とタイトルの「デジャブ」から、
「もしかして超能力モノかオカルト系?」と思っていたから
この冒頭のシーン後のSFチックな展開はちょっと予想外だった。

『過去を見る機械』というのも、
いままでのタイムマシンモノにはない発想。

でも話はタイムマシンモノの常道で過去にさかのぼって
そこから未来で起こることを変えるというもので、
最近では『バブルでGO!』で観たばかり。

しかもこの『デジャブ』に出てくるタイムマシンも、
ドラム式かどうかは不明だが、なぜか『丸窓』。

だけど映画の内容は、あまりSF的なところ振らずに
サスペンス主軸を貫き通しているところがとてもよかった。
最後までテンポのいいハラハラドキドキが続き、
とてもスリルが楽しめた。

そしてタイムマシンモノの一番の見せ場というと、
最後のオチ。
もともとが不条理な話なわけで
どんな形で終わらせるかで映画の印象がだいぶ変わる。

オレのこの映画の評価が高いのは、
ラストシーンの出来映えがとてもオレ好みだから、
冒頭のシーンに画面が戻り、二人の乗る車のカーラジオから流れるのは
映画の冒頭と同じ、ビーチボーイズの
DON'T WORRY BABY

冒頭のシーンでは曲と起きる出来事がアンバランスで印象に残り
ラストシーンでは実に二人にピッタリの選曲となる。

これはなかなかお洒落な演出でとても気に入った。


映画館を出た後もこの曲が耳に残ってしまい、
家に帰りビーチボーイズのCDをおもいっきり聴いた。

※ちなみにビーチボーイズの『DON'T WORRY BABY』は1964年全米チャート24位のヒット曲

『デジャブ』公式サイト

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観るミステリー小説:相棒Ⅴ第二十話『サザンカの咲く頃』

今回はSeasonⅤのラストを飾る2時間スペシャル。

脚本は警察内部モノがお得意の櫻井さん。

殺人事件を追いアクションシーンの多い前半は【動】の展開。
事件の隠蔽を図る勢力との戦いの後半は【静】の展開。

コントラストのハッキリしたサスペンスだった。
(あらすじは相棒公式サイトで)


『日本版CIA設立を企てた若手キャリアグループによる連続殺人』

誰も反論できない正論を掲げ、
その正論のために非道なことや違法なことが正当化されるという
最近の現実社会の流れにも似たテーマが描かれる。

急進派若手キャリアと後見役の岩佐警察庁長官と
特命係プラス小野田官房長の対決は見応えがあった。

捨て身の戦法で逆転勝利に打って出る杉下と亀山は
さすが『しがらみのない警察官』である。

やはりスペシャルは毎回、小野田官房長の存在感が光る。

警察の査問会議への登場のしかたは見事。
岩佐長官を退官へ追い込むところは凄みを感じた。

この方は『理性と謙虚さ』を持ち合わせていると信じたい。

ラストで小野田に伴われ岩佐長官と見送る右京と亀山。
この四人の出会い・・・今後の展開の伏線になりそうな予感。
岩佐長官はいつか、息を吹きかえす気がするな~。

これでシーズンⅤが終わった。
相棒がなくなると水曜の夜の楽しみが減るが、
いいモノを長く続けるには、十分な休養も必要。
十分に充電して、ぜひとも秋には
『シーズンⅥ』として復活してほしい。

映画化を望む声も多いようだけど、
意外とテレビ番組の映画化、特に刑事モノは、
単にエキストラの数だけを多くしたような
安易のモノが多いように思う。

それに相棒は屋外ロケの多い映画より、
役者さんの演技が絡み合う舞台劇のような雰囲気が強い。
これは案外テレビに合う持ち味だと思うのだ。

テレビから得られる上質なエンターテイメントとして
これからも末永く続いてほしいものである。

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毒のあるおとぎ話『パヒューム・ある人殺しの物語』(2007年8本目)

    
いい香りと官能的な匂いは根本的に違うんだろうな~

原作は世界的なベストセラーのようだけどを読んでいないので、
これは映画からのみ受けた感想。


まずオレは、この映画を観た人の映画の感想よりも、
「この映画を観た人が想像した【究極の香水】の香りはどんな匂いなんだろう?」
ということの方により興味があるな~。


いい香りならバラの花から作れるんだろうけど、
官能的な匂いとなると、やはり動物から出るフェロモンの方だろうとは
なんとなく想像できる。

gooの辞書で【フェロモン】を調べると
動物の体内で生産され体外へ分泌放出して
同種個体間に特有な行動や生理作用を引き起こす有機化合物。

とある。

となると人間の同種個体といえば・・・必然的に人間。

主人公グルヌイユは風貌や幼少の頃からの行動、
超能力的な嗅覚などまさに動物であり、
彼には体臭がなかったというが
彼の作る『究極の香り』こそが
彼の体臭であり、フェロモンそのものような印象を受けた。

彼を産み落とした母親から始まって、
彼に関わった人間が全てが不幸な死を遂げるオカルト的なことや
おぞましい誕生の仕方などから、
あのジャッカルの腹から生まれた
オーメンの悪魔の子ダミアンをちょっと連想してしまったけど、
グルヌイユは『究極の香水』を使って
ダミアンのように世界制覇をたくらむことはなかった。

『究極の香水』作りために犯す殺人にも、悪意は感じられないし、
殺人や死体に快感を覚える性的異常者という感じも受けない。

だから最後に自分が魚のはらわたの悪臭の中に産み落とされた
パリ一番の悪臭のする場所の魚市場に戻り
自分の作り出した究極の香水を浴び
至福の表情を浮かべて、この世から消えていくという行動からも
悪魔というよりは、不思議なフェロモンをだす生き物といった感じを受ける。

『それは昨日まで人だったもの』って宣伝キャチコピーだけど
彼には生まれた時から消えていくまで
人間らしさを感じることはなかったな~。
最初から人間ばなれした異質な生き物だった。

あの『究極の香水』作りも
自分をこの世から消すためだったように感じた。
その匂いを作るためにのみ、ひたすら生きたように感じる。

映画ではこんな不思議な生物が生まれてもおかしくないなと思わせる
中世のヨーロッパの怪しげな雰囲気がよく描かれていた。

この世にも不思議な物語に
現実世界から異空間へトリップできた。

『パヒューム』の公式サイト

PS:まさか、あの最後の一滴から続編なんてことは・・・・ないとは思うけど...

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観賞したシネコンの109シネマズ富谷には
こんな立体パノラマの宣伝ブースがあった





ブースの中央の台の上には
撮影で使われたのと同じ【究極の香水】が置かれていた










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観るミステリー小説相棒Ⅴ第十九話 『殺人シネマ』

泣けた~

いつもながら岩下悠子さんの脚本の醸し出す切なさは一級品。

このシーズンⅤでは岩下脚本は第三話の『犯人はスズキ』
第八話『赤いリボンと刑事』、第十四話『貢ぐ女』に続いて4作目。

岩下脚本はいつも、オレの感性のツボにハマっちゃうんだな。


全体に昭和ノスタルジーを感じさせる映像トーンの中で演じられた今回の話は
心に染みるミステリー短編といった風情の作品。

名画『海峡の虹』を撮影した不治の病で
余命いくばくもない老映画監督が
「自分の撮った映画を観ながら死にたい」という願いどおり
自分の映画が上映中の映画館の中で何者かに殺される。
(あらすじは相棒公式サイトで)


女優になる夢を途中であきらめ、今は映画館で働いている中年女性

その彼女と共に映画に出ていたかつてのスター女優

名画をリバイバル上映する古びた映画館を経営する男

そして老監督の四人の映画と『海峡の虹』にかける愛情の深さ、
この映画が初公開された当時への思い入れの大きさを背景に
ストーリーが展開される。
謎解きそのものはシンプルな仕掛けで、
犯行の裏のこの四人の心情がメインデッシュの話だ。

優しさゆえの犯行は、哀しくく切ないものを感じるけど
最後に右京が、のぶ子が自首することで刑が軽くなるよう誘導することで、
切なさの中にも、明日への希望と人の温もりを感じさせる余韻を残して終わる。

この感じは杉下右京のたまきさんに語った
「人生とは、生きるに値する素晴らしいものである」という
名画『海峡の虹』に対する感想と同質のもののように感じるし
オレの岩下脚本への感想そのものでもある。

ゲストの星由里子、森山周一郎、松本留美のキャスティングもよかった。

さらに今回は脚本を活かす演出が素晴らしい。

まず事件の現場になったあの古びた映画館。

今のシネコンと違い古い映画館の椅子は狭く
この映画館と同じ赤い色が多かったな。

入口からロビーの雰囲気も懐かしい。

そして映画『海峡の虹』。
60年代の映画らしく、フイルムのキズで画面がチラチラするところまで
再現してありすごく雰囲気がでていた。

犯人ののぶ子が一番輝いていたこの映画のラストシーンの部分が
ドラマの中でとても効果的に使われていて、
ラストで現在ののぶ子がこのシーンを見つめる場面は特に印象に残る。
そして最後のエンドロール。
すごい洒落てました。

それに『海峡の虹』の映画音楽がこれまた良かった。
このベタな話にピッタリの音楽。

最後のシーンで流したオレの涙の半分は、
この音楽のせいだといっても過言ではない。

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観るミステリー小説相棒Ⅴ:第十八話『殺人の資格』

強烈キャラのゲイバーのヒロコママが久々に登場。
薫との絡みから、コメディ仕立てか・・・と思わせといて
意外や意外・・・シリアスな展開。

いきすぎたマスコミの加熱取材や捏造。
それに警察の強引の取調べによる冤罪事件。

これらの最近多い社会的な事例を題材にした社会派ドラマだった。

(あらすじは相棒公式サイトで)

前回の『女王の宮殿』と同じで、今回も犯人というより
犯罪(事件)そのものが、なかなか正体を見せない展開。

殺人シーンが録画されたビデオテープが送られてくるなど
ショッキングな展開で始まり、最後は非常に重い余韻を残す。

前半の複雑で進行の遅い展開のわりに、
田ノ上啓の部屋で簡単に犯行の手がかりになる写真が見つかるなど
なんかアンバランスだな~と思って観ていたのだが、
殺人未遂の現場で右京が人ごみの中の啓に呼びかけるシーンから
取調室で芝木と啓が向かい合うまでの終盤のシーンに
たっぷり時間をかけられていた。

1時間という限られた時間枠の中で何を描くか
単なる謎解きではなく、事件の『真相』を描くことこそ相棒の真髄。
その視点で観ればやや進行に不自然さはあったけど
実際に手を下しても、下さずに自殺に追い込んだとしても、
「誰にも殺人の資格などない」という今回のテーマを描くには
メリハリを利かせた納得のいく時間配分であった。

こういう重い話だとイタミンをはじめ、トリオ・ザ・捜一との絡みが
ドラマの中でいい息抜きというかオアシスとして効いてくる。

イタミンの言葉に
三浦「珍しく正論だな」
芹沢「でも大人気ない」の掛け合いは笑えた。

今回を含めあと三話でこの相棒シーズンⅤも終わり。
右京と薫の活躍のよかったが、数々の事件、その犯人、
そして犯行の裏に隠された真実と人間ドラマ、どれもが印象に残る。

いよいよあと2話・・・最後まで堪能したい。

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映画ファンも音楽ファンも楽しめる名作『ドリームガールズ』(2007年7本目)

  
この映画、映画ファンとしてより、音楽ファンとして観てしまった。

シュープリームスとモータウンレーベルからインスパイアされて作られた
ブロードウエイミュージカルの映画化。

主人公カーティス・テイラー・Jrは、
1960年代中期以降、それ以前は黒人にしか受け入れられなかった
R&Bやソウル音楽を人種を問わず受け入れやすい洗練された音楽に変え
さらにそれを歌う黒人歌手に上品できれいな衣装を着せ、
それまで白人歌手に独占されていたテレビの音楽番組などにも進出させ
アメリカの音楽業界とショービジネスの世界を変えた
モータウンレーベルの創始者であり、
アメリカンドリームの体現者のベリー・ゴーディ・Jrがモデル。

映画には現実のアメリカ音楽界で起きたいろいろな出来事が
モチーフとして使われていて
音楽ファン、特にR&Bやソウルミュージック好きには
とても感慨深く観れる作品である。

まず映画のタイトルにもなっているドリームガールズ。
モデルはシュープリームスらしい。
正式デビュー前の名前が『ドリームメッツ』というのも
シュープリームスがデビュー前『プリメッツ』と名乗っていたのと同じ。
でもサウンド的にはシュープリームス一辺倒ではなかったよ。

ドリームメッツ時代の歌はシュープリームスというよりロネッツの雰囲気。
(そういえばビートルズと会って写真を撮ったのも『Mrポストマン』のロネッツだ。)

リードボーカルがディーナ(ビヨンセ・ノウルズ)に代わってからは
ダイアナロス&シュープリームス風味。

さらにサウンドがディスコ調になってからは、
ソウルシンガーとしては声と歌い方に深みがなく
本国アメリカで成功せず、失意の中渡ったヨーロッパで
逆にその透明感のある凛とした声が、当時ダンス音楽に使われ始めた
シンセサイザーなどの電子楽器とのマッチングがよく
ミュンヘンサウンドとして売れ出し
故郷アメリカに戻りディスコクイーンとして大ブレイクした
ドナ・サマーを連想させるなど、グループのサウンドの変化で、
アメリカの黒人女性ボーカルの流行の移り変わりを再現していた。

いや~、もうどれもこれもノックアウトされる音の連続だった。

エディ・マーフィが演じた『ジェームズ・“サンダー”・アーリー』は
名前からみてモデルは『ジェームス・ブラウン』のようだが
歌い方はマービン・ゲイを連想させるところもある。
ステージアクションが実に素晴らしい!

この映画はドリームガールズのリードシンガーが
エフィ役のジェニファー・ハドソンのソウルフルな声から、
ディーナ役のビヨンセ・ノウルズの凛とした声に代わるところや
ジェームスブラウンのようなジェームズ・“サンダー”・アーリーが
ファンキーなR&Bの泥臭いシャウトする歌い方を止めて
『ブラックコンテンポラリー』と呼ばれる
洗練されたメローな音楽に変っていく様子で
当時の黒人音楽が白人に受け入れられるために変質していく過程が
とてもよく描かれている。

それは、エルビスが黒人ブルースシンガーの
ビック・ママ・ソーントンの曲を
『ハウンドドッグ』として歌ったり
ビーチボーイズがチャック・ベリーの『スイート・リトル・シックスティーン』を
『サーフィンUSA』と白人に受けるサウンドに作り変えてカバーし、
それぞれ全米ヒットチャートでオリジナルを大きくしのぐ大ヒットにさせるという
それまでの白人に美味しいところをもっていかれることに対する
黒人音楽業界の反転攻勢でもあったと思う。


現実にモータウンレーベル以外でも、
あの激情的なシャウトを売りにした黒人歌手オーティス・レディングさえも
R&Bチャートではなく、全米チャートNO1ヒットを狙い、
白人に受けるためにシャウトを封印した曲『ドッグ・オブ・ザ・ベイ』を
作り歌うなどの動きがあった。(これはこれで、名曲だけど)

しかしその流れの中でどんどん黒人らしさ、ソウルミュージックの本質が
失われていったのも事実。

自分たちの音楽が、白人に受け入れられように洗練をされていく中で
自分たち黒人の アイデンティティーが失われていくことに対する葛藤や苦悩を
ジェームスや彼の古いプロデューサーが良く表していたと思う。
そして成功の陰で次々失われていった大切なもの。

その大切なものが、彼らのルーツともいうべき小さなクラブのステージから
ソウルミュージックとともに再生していく終盤のストーリー展開は
ソウルは死なず!友情も死なず!でベタだけど感動的。

やっぱりソウルは黒人の魂の音楽だな~。
誰も彼らから魂の叫びを奪うことは出来ない。
彼らのソウルミュージックのスピリットに感激。

ソウルミュージックは永遠に生き続けるって映画だったよ。


さらにこの映画の魅力は、
オールディズファンや黒人音楽ファン涙モノの多数の仕掛け。

少年期のマイケル・ジャクソンを連想させる
『ジャクソン5』にそっくりのグループ。
『チビ』と呼ばれるBBキング風のギターを聴かせるブルースシンガー。

キャディラックを題材にしたジェームスの歌をパクって
甘いアメリカンポップスに作り変えて歌うパームスプリングスの
トロイ・ドナヒュー風味のアイビールックのシンガー・・・etc


まさにお宝のシーン続出!

ポピュラー音楽ファンにお薦めの映画である。

※ディーナ役のビヨンセ・ノウルズの所属するガールズグループの
『デスティニーズ・チャイルド』自体がグループのマネージャーである
ビョンセの父親が彼女をギャラや待遇面でえこ贔屓することに
他のメンバーが不満を爆発させたら
その父親に脱退させられて裁判沙汰になっているなど
現実は映画より奇なりの部分もある。
(今年の初夏にデスチャは現在のメンバーで来日するらしい)


『ドリームガールズ』公式HP

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今月は映画ブログ状態

今年はお正月映画に興味を惹くものがなかったので
1月は1本しか映画を観なかったけど、
今月は注目作が目白押し。

今週末は『ドリームガール』を観たい。
そんなわけで今月のブログは映画のレビューばかり。

ところがこれが、なかなかか書くのが難しい。
毎回悪戦苦闘である。

面白くなかった映画はスンナリ書けるのだが、
本当に感動したやつほど書くのが難しい。

感動を言葉にして説明するって難しい作業だな~

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深みのある人間ドラマだった・・・『守護神』(2007年6本目)

アメリカの沿岸警備隊の海難レスキュー隊員の物語。

深みのある見応えがある映画だった。

迫力ある映像、師弟愛、友情、恋愛、夫婦間の問題、世代交代・・・
まさにハリウッド映画の十八番ともいえる内容。

沿岸警備隊という設定は目新しいが、
Aスクールと呼ばれるレスキュースイマーを養成する学校で
若い訓練生が厳しい訓練を経て一人前に成長していく過程は
軍だったり警察だったりと舞台こそ違うが
これまでも多くのハリウッド映画で使われてきたストーリー展開。

でも、そんな奇をてらわない作りが、
逆に骨太でハートフルな人間ドラマを作りだしていた。

この映画、『守護神』などという邦題がついたせいか
邦画の『海猿』のような映画と勘違いされたりもしているが
似ているのは海洋レスキューという設定だけ。

ティストはまったく違う映画である。

レスキュースイマーの訓練でも、エリートを育成するというより
この厳しい訓練を終了しない者に、救助などできないという考えが前提だ。

さらにここを修了してもエリート部隊などになるのではなく、
それほどいい待遇でもなく、日々のハードな救助活動に従事するのである。
だから訓練の内容もとてもハードで現実的なものが多い。

訓練生を教える教官のベン(ケビン・コスナー)も
『守護神』という邦題から連想される神がかった存在ではない。

「救助を求める人が目の前にいるのに、自分は何も出来ない。
波にもまれ、苦しみ悶え、絶命していく様を、ただ見ているだけ」・・・

・・・そんな自然の力の前で

「自分が救うことができることなど、ほんの一握りしかいない」

「救った人間の数より、救えなかった人間の数を覚えている」
と自分の非力を嘆き、また私生活では
夫婦間の問題で悩む人間くさい男である。

この役にケビン・コスナーの渋く哀愁を感じさせる雰囲気がよく似合う。

さらに救助シーンも豪華客船の沈没などという大掛かりな設定ではなく
もっとも海難事故の対象になりやすい小型船やカヌーなどからの
乗員救出のシーンだ。

しかしこれが豪華客船の沈没シーン以上に
嵐の海の怖さを味あわせてくれるからスゴイ。
もうこの先二度と船に乗るのが嫌になるくらいの恐怖感がある。

救助活動にあたるレスキュー隊員の演技にも大袈裟な感じはない。

映画の宣伝では日本人好みの『死んでも守り抜く』の
キャッチコピーだけが一人歩きしているけど、
この言葉は神の言葉でも、スーパーマンの言葉でもない。

自然の前での自分の力を知っている伝説のレスキュースイマーが
「救えると信じた人間を守る」時の覚悟を決めた重みのある言葉だ。

ベンが人生最期の救助活動に出動し
ジェイクの手をはなし自ら落下して最後の救助を行なうラストシーン。

ベンは自分が救うことができる人間を死んでも守り抜いた

大仰なセリフを残すわけでもなく
静かに海の中へ消えていったベン。

きっと守ったジェイクが、
またいくつもの命を救ってくれることを願ってだろう・・と
ここまでの展開から、自然とそんな連想をしたくなる。


秋に葉が散り、春に新芽がでる・・・・
まるで自然の摂理のような感じの世代交代だった。

淡々としているからこそ、より深いものを感じる。

☆ケビン・コスナーの私服のアメリカンカジュアルの着こなしも渋くてよかったな~

『守護神』公式サイト

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※この映画はハリケーン・カトリーナの際の
沿岸警備隊の救助活動にインスパイアーされて作られた作品だという。
映画の中で海軍の兵士に馬鹿にされるシーンがあったから
アメリカ国内で軍より格下的な見方がされてい<るかな?
だとしたら劇中の歌の中で海軍さえも救助するといった内容の歌詞
もあったから沿岸警備隊のアピールになるだろう。







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第30回日本アカデミー賞

最優秀作品は「フラガール」…日本アカデミー賞(読売新聞) - goo ニュース

日本アカデミー賞もいつの間にか今年で30回になる。
この賞にはいろいろな意見があるけど、
邦画の活性化のためにも、
これからさらに歴史を重ねてほしいと思う。

ただ毎年この授賞式の演出が悪いな~と感じる。
まぁ今回の放送開始直後の音声が聞こえないという事故は
いたしかたないものだったとしても、
インタビュアーに南海キャンデーズの山ちゃんの起用は首をひねる。

相方のしずちゃんが『フラガール』で新人賞にノミネートされているから
二人の絡みが期待されての起用なんだろうけど、
そこ以外はなんかハズレの印象が強い。

テレビの視聴率の関係もあるのだろうけど、
なんでもかんでも『お笑い系の人』に頼らずに
自分で笑わす人よりも受賞者の声をうまく引き出せるインタビューアーを起用した
オーソドックスなスタイルの方がいいと思う。

賞の内容に関しては
最優秀助演女優賞の『フラガール』の蒼井優。

これは本当に納得。演技も良かったし、
なによりもあのダンスはすごかった。

「えっ?彼女って主演じゃないの?」って人が多いくらい
映画の中で存在感があった。

主演の松雪泰子が喰われたというよりも、
映画の中での存在感の配分が、
ストーリー上、W主演のような感じだったからだと思う。
その点、松雪は主演女優賞争いに不利だったと思う。


助演男優賞は『武士の一分』の笹野高史。
彼が出ていないあの映画を考えると恐ろしい。
他のノミネート者の映画を観ていないのでなんともいえないが
彼にはとても似合っている賞。
取れてよかったな~と思う

あと印象に残ったのは主演男優賞の渡辺謙。
『明日への記憶』は本当にいい映画だった
この映画でこの賞を受賞したことがうれしい。

最近はハリウッド俳優の面ばかりが注目されるけど
この映画の渡辺謙は本当に好き。
特に前半部分の彼が広告代理店のやり手部長の部分は
昔オレが好きだったテレビドラマ『君たちがいて僕がいる』(三谷幸喜脚本)
の渡辺謙を思いださせる好演だった。

そしてアカデミー賞最大の権威、最優秀作品賞は

『フラガール』・・・これには納得。

やはり映画の持つ魅力を昨年一番表現した映画だったと思う。

大手以外の独立系の映画会社が10年ぶりに受賞したということでも
意義の大きい受賞だ。

それと一番印象に残ったのは最優秀監督の発表で
ライバルのフラガールの李相日監督が呼ばれた瞬間、
ヤケ酒を一気飲みであおる三谷幸喜監督の姿。

いいですね~!こういう反応が出来る人は素晴らしい。
これぞ権威ある賞の授賞式パーティにふさわしい映像!
やはり映画の賞の授賞式・・・これくらいのシーンはほしいものである。

2007年も、いい日本映画がたくさん観れることを期待。

第30回日本アカデミー賞公式サイト

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本当にいい映画でした~

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夢を追う男の話『世界最速のインディアン』(2007年5本目)

しかし、すげーじいさんだな~!

実はテレビの映画紹介で内容を知るまで、
てっきりこの映画は西部劇だと思っていた

『インディアン』はオートバイの名前だったとは・・・
勘違いして、あやうく見逃すところだった。

この映画の上映館は仙台地区に2ヵ所しかなく、
しかも公開週を外してしまったため、
今週は日に2回しか上映をしていないため
観るのにすごく苦労した。

正直な感想は・・・
映画そのものよりも、この映画のモデルになった人物のすごさに驚いた。

たぶんこれだけのスピードが出せた裏には、
かなりマシンのチューニングに力を入れていたんだろう。
タイヤを削るシーンとかはあったが
そこらへんを映画では、さらっと流していた感じ。

オレとしては人情話のロードムービーに仕上げるよりも
21歳の時のインディアン号との出会いから
レース出場を目標にするまでの
バートとバイクの関わりあいの部分や、
彼のバイクオタクの部分を中心に描いてほしかった。

そうすれば彼のバイクにかける愛情やレースへの強い思いの
背景がもうちょっと表れたのではないだろうか。

そちらの方面からあの最後のレースへと進む展開の方が個人的には好き。

そんなわけでアンソニー・ホプキンスの好演もあり
すごく主人公の生き方やピュアな人柄には共感を覚えるのだけど
映画そのもの出来に関しては世間の評判ほど自分は感じるものはなかった。

『世界最速のインディアン』公式サイト



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