新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
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10月例会の様子です(0074)

2014年11月07日 | 集まりの様子
林先生です 集まりの様子です。<写真はクリックすると拡大します>


去る10月25日(土)、14時から日本医療大学 保健医療学部看護学科の林美枝子先生をお迎えして「医療人類学の紹介・病い、健康、死を相対的に見るためのセミナー」というタイトルで講演を行いました。

今回は医療人類学なる聞き慣れない分野のお話でして、これは一種のカルチャーショックと言っても大げさではない? 話は多岐に渡っていて最初は?でしたが「ジェンダー」の説明以降、なるほど、林先生の研究というか志というものはこういうものか、というのが見えてきました。
それは1946年に発効したWHO(世界保健機関)憲章における健康の3定義(①身体的健康、②精神的健康、③社会的健康、に1998年改定による4番目の健康・・・Spiritual Health・・・魂・霊的健康(文化的健康)への注目と「真の健康に奉仕する医療であるためにはこれからの医学は女性的(ジェンダー)なものによる補完が必要である(ジーン・アクターバーク)」という問題提起と実現であると思いました。というのは「健康とは究極のバランスを意味し、癒やしとは全体性の回復を意味する(ジーン・アクターバーク)」からです。

そしてさらに癒やしとは何か、を考察していくと、①全体を目指す生涯の旅、自己の全体性の探究、②万物のつながり、相互依存という失われた記憶の回復、③最も恐れているものの包容、④命への信頼感を体得することになるとのことです。

で、これらを実現していこうとすると女性的なるもの、つまり生物的な性差以外の女性的要素(ジェンダー)が重要だという指摘です。
時代は医療とは単なる生物的治療ではなく、癒やし(人間としての全体性の回復)に向かっていかなくてはならず、それを追求しているのが医療人類学という学問であるというお話でした。

がん患者さんはもちろんのこと、私たちは日常の様々な局面で癒やしを必要としていますが、それはやはり魂・霊的健康(文化的健康)を抜きにしては実現できない。つまり人を単に生物として見立てての診察や治療だけでは真の健康は取り戻したことにならないのだ、という点を今回の講演を通して勉強しました。
さっぽろがん哲学外来も大上段に振りかぶれば、第4の健康(魂・霊的健康(文化的健康))に微力ながら貢献している、ということになるのでしょうか。・・・かくありたいものであります。

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