新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより・66(0103)

2015年06月13日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2015.6.12配信)
第115回「がん哲学学校」
がん教育~「21世紀の新渡戸稲造」の時代的出番~

先日、順天堂大学保健看護学部(静岡県三島市)の3年生に講義「ターミナルケア」をする機会が与えられた。全員の真摯なレポートを拝読して、学生の日々の思いを垣間見て大いなる学の時となった。また、国立障害者リハビリテーションセンター学院では、講義「病理学」を依頼された。学生と、日々勉強である。

下記のようなコメントが送られて来た。『「がんサポート」6月 号の先生の「がん哲学外来」を読ませて頂いた後、本当に心が落ち着きました。ありがとうございました。「ただ寄り添って見守ることも大事なこと」そして 「いつでも自分がついているぞ」と、自らの存在をさりげなく伝えておくことが必要。という意味が本当に腹に落ちた感じがしました。そして「大いなるお節 介」と「余計なお節介」の違いについても、ようやくわかったような気がします。 「がん哲学外来」は本当に奥が深いですね。』。涙なくして語れない! 大いに感激した。日々のさりげない文章の訓練・意義・大切さを、改めて、痛感させられた。

『医系小論文』(2015年 第1学期)(代々木ゼミナール)が送られて来た。「死と医療」の項で、拙著『がんと暮らす人のために』(主婦の友社)よ り抜粋された箇所から「次ぎの文章を読んで、下記の問いに答えなさい」との小論文が掲載されていた。このテキストは、「国公立大、私立大の医学部(学 科)・歯学部(学科)・薬学部(学科)の小論文入試に対応できる学力を習得するために編集されたもの」であるとのことである。入試問題に取り上げられると は、驚きである。

新渡戸稲造を師とする、『わたしのランターン』の著者:河井道が創立した恵泉女学園中学・高等学校で、中学3年生を対象とした「がん教育講演会」で、「がん哲学外来~馬の上から花を見る vs 馬を下りて花を見る~」を話す機会が与えられた。生徒190名に加えて、保護者約50名、理事長、校長、副校長、教師も聴講されていた。これは、今年度から文科省が進める「がん教育」の一貫でもあり、恵泉女学園の「速効性と英断」には、大いに感動した。今後、全国の小中高で、「がん教育」が、展開されることであろう。日本国には、「広々とした、賢明な教養人、国際人、教育者:21世紀の新渡戸稲造」が時代的出番となろう。

がん哲学校たより・65(0102)

2015年06月08日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2015.6.7配信)
第114回「がん哲学学校」
「置かれた場所で咲く本物の人間」~人生の不条理に生きる~

先週、ノートルダム清心学園を訪問する機会が与えられた。高木孝子学長と昼食しながら、有意義な対談の時を頂いた。その間、授業をされていた、 88 歳の渡辺和子理事長(1927~)とは、昼食後、面談の機会が与えられた。1936年2月26日、9歳の時、いわゆる、二・二六事件に遭遇され、陸軍教育総監だった父(渡辺錠太郎陸軍教育総監:1874~1936)が、自邸の居間で、青年将校に殺害されるのを目撃された模様を伺った。この悲劇を体験された渡辺和子理事長の『置かれた場所で咲きなさい』(2012年発行)は、今や160万部のベストセラーとのことである。人生の辛い出来事にあっても、境遇に関わらず「置かれた場所で咲く本物の人間」の有り様を深く学んだ。人生の得難い貴重な出会いとなった。

日刊ゲンダイ(2015年6月4日付け)に「がん哲学外来~求められる死の質に応える~」が、大きく取り上げられていた。多数の温かい、激励の反響を頂いた。

日 本家族性腫瘍学会学術集会(石田秀行会長)、日本がん疫学・分子疫学研究会総会(椙村春彦会長)・日本がん予防学会総会(石川秀樹会長)の3学会合同の会 に出席した(「ラフレさいたま」に於いて)。日本がん疫学・分子疫学研究会総会・日本がん予防学会総会では、「人工がん創生100周年~Oncodem: 遺伝と環境~」を講演する機会が与えられた。今年は、山極勝三郎の人工がん創生(1915年)から100年である。筆者は、「遺伝性がんの研究から環境発がんのアスベスト・中皮腫の研究に繋がった経緯」を話した。日本家族性腫瘍学会学術集会では、特別講演1. 「日本家族性腫瘍学会20年の歩み」(野水整先生)、2. 「日 本家族性腫瘍学会の現状と将来展望」(冨田尚裕先生)の司会を仰せつかった。大変感銘を受けた。3学学会合同全員懇親会では、筆者は、終わりの挨拶のご指 名を受け、「純度の高い専門性と社会的包容力」の大切さを述べた。翌朝、モーニングセミナー「リンチ症候群における免疫組織化学的スクリーニングの有用 性」(元井紀子先生、鈴木興秀先生)の司会を務めた。また、家族性腫瘍の患者・家族の交流会「ハーモニー・ライフ」に参加する機会が与えられた。人生の不 条理である「遺伝病も単なる個性である」・「病気であっても病人でない」社会構築が、これからの人類の方向であることを、改めて実感する時であった。

がん哲学校たより・64(0101)

2015年06月03日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2015.6.2配信)
第113回「がん哲学学校」

第5回がん哲学外来コーディネーター養成講座in 大阪 ~人間学の法則~

先週は、常陸宮殿下ご夫妻ご臨席の下、「第18回比較腫瘍学常陸宮賞」授賞式(クラブ関東に於いて)に出席する機会が与えられた。受賞講演:東京大学大学院 <http://www.asahi.com/topics/word/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E9%99%A2.html>理学系研究科教授武田洋幸『小型魚類を用いた脊椎動物の器官形成原理の解明』を拝聴した。『生物学の法則』は、日々勉強である。

 

週末は、「第5回がん哲学外来コーディネーター養成講座in 大阪」(実行委員長:東英子/大阪がん哲学外来メディカルカフェあずまや・あずま在宅医療クリニック院長)(クロス・ウェーブ梅田に於いて)(【主 催】一般社団法人がん哲学外来市民学会http://www.shimingakkai.org/)に出席した。今回の【テーマ】は、『生から死、そして死後に寄り添う』であった。養成講座は、医師、看護師、医療従事者、患者、市民と多種の参加者があり、会場は、熱気溢れる、満席の大盛況であった。改めて、関心の高さをと時代的必要性を強く実感した。

ガイダンス:『がん哲学外来コーディネーターとは』(村島隆太郎/佐久市立国保浅間総合病院院長)、講座『苦しみとは何か ~ 聴くこと・語ることの本当の意味~』(佐藤泰子/京都大学大学院 人間・環境学研究科研究員)、特別講演『共に支え共に生きる』(沼野尚美/市立宝塚病院 チャプレン)、パネルデスカッション『地域の力とがん哲学外来』、グループワーク『私の考えるがん哲学外来の寄り添いの在り方』、2日目は、『グループ発 表』、『総括』(安藤 潔/東海大学医学部 血液・腫瘍内科教授)、引き続いて『各地のがん哲学外来カフェのひとこと紹介』が発表された。各グループの真摯な姿には感動した。「丁寧な、心優しい、本 質的な人間の見直し」である。次回は、石巻赤十字病院で、開催される。

筆者は、「一般社団法人 がん哲学外来理事長」として、『修了証授与と閉会挨拶』の機会が与えられた。『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子著;ノートルダム清心学園理事長)の 文章・エピソードを紹介した。一見、不条理に見える、人生の辛い出来事にあっても、境遇に関わらず『置かれた場所で咲きなさい』とは、まさに、「がん哲学 外来コーディネーター養成講座」の『人間学の法則』である。明朝、「ノートルダム清心学園」を訪問するタイミングが与えられている。

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。