新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより・29(0058)

2014年06月08日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです。(2014.6.8配信)

第62回「がん哲学学校」
「吉田富三」と「南原繁」の特別な存在~ 「がん哲学への道」 ~

先週、「吉田富三」の娘様が訪問され、順天堂のレストランでお茶を飲む機会が与えられた。癌研時代の「吉田富三生誕100周年記念事業」(2003年) 以来の再会である。お父様のエピソードなども伺い、本当に楽しいひとときであった。先人の学びは、「俯瞰的な大局観と、ぶれぬ基軸」を与えてくれる。「が ん哲学」原点は、「吉田富三」の「風貌を見て心まで診る=病理学」にある。偶然にも、癌研時代の友人から、「樋野先生のような特別な存在の方は、貴重です ね。他人の評価にぶれない、信念は尊敬しております。」とのメールが届いた。

作 家・吉本ばなな氏と、御茶の水で、ある雑誌の対談の機会が与えられた。初対面であったが、「がん哲学・がん哲学外来」の成り立ちの経緯と思いに、話は大い に弾んだ。「このような考えの方がいるなんて、まだまだ日本には希望があると思えました。」との心温まる激励の感想を頂いた。『スナックちどり』と『花のベッドでひるねして』の、2冊の本が送られてきました。早速、拝読した。

筆者は、第50回日本肝癌研究会に参加し、座長の機会が与えられた。肝癌の研究・治療の最前線の学びの時となった。本当に、日々勉強である。それに、先立ち、「がん哲学外来 京都桂 メ ディカルカフェ」(京都桂病院)で、「がん哲学への道」で講演する機会が与えられた。思えば、京都での浪人時代の経験が、「がん哲学への道」となった。南 原繁の東大法学部時代の教え子に出会い、戦後初代総長:南原繁の演述についての感想を,毎日のように、聴き、教わったものである。その後、『南原繁著作集10巻』を古本屋で安価で購入し、さらに、「新渡戸稲造・内村鑑三・矢内原忠雄」の読書遍歴に入った。40年後に、上記のタイトルで、京都で講演の機会が与えられるとは、人生不思議である。

翌日、「第24回がん臨床研究フォーラム」(主催:全国がん(成人病)センター協議会、国立がん研究センターに於いて)のワークショップ (主題:がんサバイバーシップ支援) で、「がんと生きる~がん哲学外来からの学び~」で、講演する機会が与えられた。患者の為に、いよいよ、日本国の癌研究のメッカである国立がん研究センターでの「がん哲学外来」開設の時代的要請を肌で感じた。

樋野先生テレビ出演のお知らせ
【放送日】
6月10日(火)
日本テレビnews every.
every.特集 18時15分頃~放送予定(放送は約20分)
放送エリア:関東ローカル(東京・千葉・神奈川・茨城・栃木・群馬)のみ

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。