安芸の家具作家、小原典子さんの工房、OHARA WOOD WORKSへ行ってきた。枝を使った家具から始まり、轆轤を使った引き物をはじめ、作家の手の跡が見える、手彫りの家具も多くあり、楽しいアトリエになっている。手間を惜しまず作った作品は、思ったより手頃な値段なのに驚く。こんな値段で生活が出来るのかと心配するほどだが、地方の町での販売は厳しいそうだ。これは丸太の家を創っている私自身も痛切に感じているが、安芸の人は、こんなスタジオがこの町にあることを、もっと誇りに思って良いのではないかと思う。良い物を選び買って使う文化が無い町は、やがて大都市のチェーン店に埋め尽くされるだろう。そうなると町と同じ味気ない風景になり、住民の郷土愛も無くなってしまうだろう。自然の風景、町にある独特の風習、その地方ならではの民家群。それは強烈な郷土愛を育む。都会に憧れるのは若い時は仕方ない。しかし誇れるものがあれば、何時かは帰りたいと思う物だ。地方にある良い物を、大切に使う事は、その地の文化を育てる。最初は無骨でもやがて洗練され、新しい風景を作る事につながる。土地の産業を育てるのは、住民なのだ。悪い所は指摘し、良い所は褒め伸ばす事が大事。木は丁寧に使う事で美しさを増す。理解が必要な素材。私たちが建てるログハウスは、50年後、建てた時の値段以上の価値を持つようにしたい。いや、してもらいたい。美しく錆びた素材はとても魅力的だ。お金に換える事は出来ないが、それを大切にしたい事が文化なのだ。ゴミになる物は買わない。こんな文化のある県にしたい。
写真は安芸の左官松本さんが塗った土佐漆喰の壁。自然の風合いが飽きない。今見ている我が家の内壁、15年前に塗った土佐漆喰、は触っても眺めても気持ち良いし飽きない。最初少し手間がかかっても、決して高い物ではない。文化を育てる上で大事なのは、ゴミになる物は買わないと言う事だと思う。長く使える物は、良い物だと思って間違いない。
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