写真の天窓は、新居浜市の旧家の物。昔ガラスが高価な頃の物で、ゆがみもありました。昔明るさは、富の象徴だったのです。しかし明るさが、誰でも安価に手に入れる事が可能になった現在、程好い暗さに、なにかほっとする事があります。茶室が、世界的に評価されるのも、広すぎる空間より、狭く暗い方が、本能的に安心したりする所は、どんな人間にも共通するのかも知れません。子供が押入れの中に入ったり、ロフトの狭い空間に必ず行きたがるのも、危険な外敵から、狭い空間に逃げ込み身を守った頃の記憶が、DNAに刷り込まれているからかもと、思ったりします。それとも年をとって、昔住んでいた家を無意識に、懐かしがっている為かもとしれませんが。
ようやく寒波もひと段落しました。四国は暖かいイメージがありますが、それは海沿いの地域に限られます。他の殆どは、四国山地の山の中にあり、けっこう雪も積もります。写真は、高速高知道の、新宮インターで撮ったものですが、一度積もったら、そのまま暫く解けません。寒波が来ると、一番に通行止めになるのも、この地域です。岡山のM邸に通っていた時も、寒波が来ると、帰れるか心配した物です。四国中央市のS邸は、春から通う事になりますので、その点は安心です。地域によって、建築のしかたも違っていましたが、近頃は何処へ行っても、同じ風景になって来て、寂しい限りです。もっと地域性があっても、良いのではと思います。アイビーログ工房は、地域の形も参考にして行きたいと、考えています。
木で家を作る理由は何?と問われると、一番身近な素材だから。持続可能な素材で、環境破壊にならないから。軽いから、調温,調湿してくれる素材だからと、理由は色々付けれるけど、やはり好きだからが、一番好い返事かもしれない。住み心地も良いし、刻む時も、良い匂いもあるし、手入れした刃物で刻むと、気持ち良く、仕上ります。一つ一つの素材が、均質でないのも、私には魅力的ですらある。工業的には弱点ではあるが、少し大きめの素材を使う事により、問題はクリヤー出来、魅力は増します。そう言う事で私は、欠点も多いのですが、今日も丸太を、一生懸命刻んでいます。
先日四国中央市で、S邸の地鎮祭が行なわれました。土地の神に、家を建てる事を報告し、工事の安全と、家が末永く建ち続けますようにと、祈願しました。これから、いよいよ建築工事が始ります。シンプルな二世帯住宅ですが、少し面白い事も、トライして見たいと思っています。この家の立地は素晴らしく、南に四国山地の高峰が連なり、西には、四国中央市の町並みが見え、北には、北風を防ぐように山並みが連なって瀬戸内の潮風も、塞いでくれるように立っています。ただこの地方には、冬場、やまじ風と言う強風が吹くのだそうです。まだ味わった事が無いのですが、高知の台風を想定していれば、問題は無いと思っています。完成は6月末の予定です。この所大寒気が、日本を覆っていますが、この日も山は真っ白。昔、長野県で仕事をした時見た、南アルプスのように見えました。
ちょっとした心使いで、心が和みます。道路に面した家の角、黒い焼き杉をバックに、青竹を使い生け花。こんな花が、いたる所にある町並みは、凄い建築や景勝地が無くても、又行って見たくなります。不況、不況と言って嘆くより、深呼吸して、前向きに、今自分に出来る事を、考えてやって行く事が、自分で、未来を作る事に繋がるのだと、思います。心に、花を生ける、余裕を持ちたいものです。