世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫小学館このアイテムの詳細を見る |
今回は、片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ 』を紹介します。話題になった後からどういう作品かを知りたくて読んで見たいと思いました。本書は、映画化、ドラマ化、舞台化されている作品です。私は、映画もドラマも舞台も見たことがありません。私の感想は、本書がそれほどもてはやされるほどの価値があるようには思えない作品のような気がするなあ。情景描写がそれほど巧だということでもないし、作品にのめりこむことができなかったなあという感じがしました。無人島で2人っきりになっているところで2章が終わっているのに、突然3章でアキが白血病で入院しているシーンがあるというところで、話の展開がわかりずらいなあという感じがしました。
本書は、朔太郎の回顧録みたいな形式で書かれているので、キーポイントごとに章立てがされています。もっと、アキと朔太郎の純愛の編年紀みたいにしたほうがいいのではと思う。アキと朔太郎の純愛の歴史と2人で白血病を乗り越えていく過程というのを時系列で並べていったほうがいいように思えるなあ。
本書のテーマは、愛する人を亡くしたときにどう振舞うかだと思う。本書の表現にあるように「不在は残されたものに悲哀をもたらす。」ということだろう。死んだ人(アキ)の形見や面影というものがその人(朔太郎)の中に息づいているということだと思う。
しかし、本のタイトル「世界の中心で、愛をさけぶ」はぜんぜん違うような気がする。オーストラリアで、愛をさけんでいたわけではないだろうしね。