下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫) | |
内田 樹 | |
講談社 |
今回は、内田樹『下流志向』を紹介します。本書は若者論について書かれたものです。自己責任の結果進んで下流社会に向かっているということなんでしょう。経済合理性により学びや労働から避けるというような行動をとる若者が出てきたようです。それにはどういう背景があるのかということやどうしてこういうことになったのかということを解明しています。
著者の言いたいことから、若者たちの一部が進んで学びや労働から避けているというニュアンスが読み取れます。なぜそういうものから避けようとするのかということの説明が弱いような気がしました。消費者意識というキーワードは確かに出てきたけど、それでは正直説得力はないなという感じですね。
どちらかというと古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』のほうがピンとくるものはありましたね。
<目次>
第1章 学びからの逃走
・無知のままでいられることに生きる不安を感じずにいられる
・子供たちは就学以前に消費主体としてすでに自己を確立している
・教室は不快と教育サービスの等価交換の場(消費者として学校教育に対峙している)
第2章 リスク社会の弱者たち
・階層化→リスクの少ない社会階層(より努力する層)とリスクが高い社会階層(努力する動機づけを失う)
・リスク社会には自己決定・自己責任を貫けるような強者はいない→いるのは自己決定・自己決定の原理に忠実な弱者だけ
第3章 労働からの逃走
・自己決定したのであれば、それが結果的に自分に不利益をもたらす決定であっても構わない
第4章 質疑応答
絶望の国の幸福な若者たち | |
古市 憲寿 | |
講談社 |