超・殺人事件―推理作家の苦悩新潮社このアイテムの詳細を見る |
今回は、東野圭吾『超・殺人事件―推理作家の苦悩』を紹介します。本書でテーマになっているのは、出版界・文芸界のことである。あまり、卑屈にならずにブラックユーモアを楽しむつもりで読んでみるといいと思います。私は、出版界や文芸界を茶化したようなブラックユーモアは好きですので、結構楽しめましたね。私が好きなのは、「超長編小説殺人事件」ですね。くだらないなあと思っても、そういう現状なんだなという感じがする。
簡単に短編の紹介をしておきます。
・経費で落とすために、それぞれの経費に当たるものを小説の中に無理やり持ってくる「超税金対策殺人事件」
・研究者しかわからないような科学テクノロジーを如何なく登場させる「超理系殺人事件」
・意外なオチが待っている「超犯人当て小説殺人事件」
・人気ある作家は同じようなものであっても読んでもらえるし、売り上げが安定していることから、高齢になっても重用される「超高齢化社会殺人事件」
・その小説が上梓された途端に、同じような殺人事件がおきるという「超予告小説殺人事件」
・質よりも量(本の暑さ、ページ数など)でアピールを繰り広げる様が面白い「超長編小説殺人事件」
・残り5枚ときたところで、ラストをどう締めるかで苦労する「魔風館殺人事件」
・どういう風に書評を書くかに迷うときに救いになる機械の登場でどう出版界や文芸界が変わるかという「超読書機械殺人事件」
産みの苦しさというやつですかね。でも、ばかばかしいなあという感じですね。