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パライソメッセージ20131206 no.34

2013-12-07 21:28:25 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.12.06 N0.34

 Mail : isokawas@goo.jp

   Blog : http://blog.goo.ne.jp/isokawas

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  「パライソメッセージ20131206 No.34」を送ります。本メールが「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

 『特定秘密保護法』が2013年12月6日の深夜に強行採決されました。この背景には、私は2月に迫っているアメリカのディフォルトの猶予期限との関わりが極めて強いと確信しています。まさしくこれは日米国家権力者による、戦後日本の原理・原則を根底から覆すクーデターであると思います。

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:アメリカのデフォルト(債務不履行)が発するサジェッション④

(アメリカのデフォルトの最大の原因は、軍国主義と新自由主義③)

 アメリカには新自由主義者、つまり今だけ良ければ、自分だけ良ければと言う人たちにとってのパラダイスがある。つまり税金が0のエリアだ。このことは、以前に『一押しBook』で紹介した、堤美果さん著の『㈱貧困大国アメリカ』の第4章にレポートが記載されている。富裕層やヘッジファンドや投機筋たちが集まり、共同体での暮らしを営んでいる『町』には福祉も公的教育も公的扶助も何も無い。福祉や公的扶助などといった、社会的コストは徹底的に排除して、住民達が雇った武装ガードマン達が治安維持を請負い、貧困層は寄せ付けず、水道、電気などのインフラも調達し、教育も企業が請け負っている。受益者負担とはいえ、負担割合など一定のルールがあるのだろうが、それがどうなっているのかは分からない。

 一方では、デトロイトのように破産して福祉も公教育も公的扶助も無くなり、大変な凶悪犯罪の多発や治安の悪化、不衛生、教育崩壊で末世の様相をしている『都市』も全米で7市ある。それが今日の『貧困大国』アメリカの実相なのだ。今日のアメリカにおいては、新自由主義者のエゴイズムの本性は、まるでアメリカを胎内から蝕むインベーターのようではないか。

(もう一度、アメリカのデフォルトは“対岸の火事”では決してない)

 本章では、アメリカのディフォルトの最大の原因は、軍国主義と新自由主義だと言ってきた。10月末に緊急にドル国債の発行枠が拡大されることが決定されたが、その猶予期間は4ヶ月である。2014年2月末には再びデフォルトに直面するのは確実であるのに、いまや内外の世論は、過ぎ去ったトピックようにそのことをフォローしない。私は、この間の経済・政治等の動向を意識しながら見ている。そこで特徴的な最近の動向で、気になることを指摘したい。

(特定秘密保護法とアメリカのディフォルトは実は密接な関係があるのではないか)

 2013年12月5日の夜遅くに『特定秘密保護法』が国家安全保障特別委員会において自・公両党により採決が強行され、参議院本会議に送付されることとなった。『特定秘密保護法』については別途思うところを述べたいと思うが、この法案がまさにクーデターとでもいうようなやり方で強引に採決が強行されようとしている背景には、アメリカのデフォルトがあると、確信している。

 前に述べたように、アメリカは一貫して軍事大国であり、冷戦後も世界秩序をアメリカンスタンダードで、軍事力を行使しながら自らの世界戦略を構築してきた。しかしその戦略の欺瞞と誤りが、これも前にも述べたようにベトナムやイラクを始めとして検証され、汚点の歴史として記録されてきている。それが本年の化学兵器所有を介入への好日としたイランへの武力行使を、世界の世論に包囲され断念した事実となって繫がっている。しかしアメリカの本質的部分での軍国主義立国は全く変わっていない。アメリカは未だに圧倒的な軍事力を背景に、その使用も含めてアメリカンスタンダードの世界戦略構築を確固として目指している。

 今回の『特定秘密保護法』の秘密の対象は、安全保障、テロ、外交、スパイと言われてる。何ゆえに大急ぎで、クーデターとでも言うような強権で成立させるのか。それはつまり、財政破綻=デフォルトの一方の巨大な重石である軍隊も含めた軍事費を日本に肩代わりさせる。そのために集団安全保障の名の下に、アメリカの軍事戦略に組み込み、高度な軍事機密も日本に漏出させる。そのためには高度で極めて厳格な機密保護が必須となる。アメリカでの秘密保護に関わる法令どころではないもっと厳格な法令が必要となる。なぜなら、アメリカは徹底的に自国と自国の富裕層の利益を追求するし、他国の犠牲など全くいとわない。アメリカの共和党やティーパーティなどを見れば、極端なアメリカ至上主義が露骨である。アメリカが自国民を対象とする国内法よりも日本国民への法適用は、およそ人間性を持たないほどに厳罰を課し冷酷であるのは、この国の国民性の歴史を見れば明らかである。従って、待ったなしで『特定秘密保護法』を強行し、情報公開であったとしても『機密漏洩』として万死に値する極刑で日本国民を威圧・弾圧しながら軍備や軍事行為を日本に肩代わりさせることが、アメリカにとって喫緊のことである。

 アメリカのデフォルトの猶予期限が2月末に迫ってきており、日本の株価も乱高下の様子であるが、マスコミはあまり大々的には取り上げない。おそらくドル国債からヘッジファンドや多国籍企業の投機資金が日本の国債やら株にもシフトしてきているのだろう。株価の乱高下をセンセーショナルに取り上げると、どうしてもドルやドル国債売り、そしてアメリカのデフォルトが連想されるので、マスコミでは『そっと』しておいているのかもしれない。

  いずれにしても、アメリカのディフォルトが決して“対岸の火事”などではなく、それは、われわれの生活のみならず、日本国憲法や日本の平和をも重大に踏みにじろうとしているのであり、われわれがあきらめてしまえば、戦前の治安維持法の時代、ファシズムの時代への逆戻りの危険性も現実にありうることではないかと、大変に憂いている。私は、物言わぬ諦めと虚無感には決して埋没するまいと、心に決めている。

 (この章おわり。次回は『特別秘密保護法』について思うところを)

 

「一押しBook」

書名:戦後史の正体

著者: 孫崎 享(まごさき うける)1943年生まれ。東京大学中退、外務省入省。駐ウズベキスタン大使、国際情報局長、駐イラン大使を経て防衛大学校教授。著書『日米同盟の正体‐迷走する安全保障』(講談社現代新書)『日本の国境問題‐尖閣・竹島・北方領土』(ちくま新書)

出版社:創元者

書評:本書を読んだのは今年の1月で、その時から何らかの形で本書を広く紹介したいと思っていたが、やっと適った。

 孫崎氏は、経歴どおりずっと外務官僚権力の中枢におり、イラン・イラクや紛争地域の現場最前線でもトップの外務官僚として働いてきた人物である。本書では、戦後の戦勝国アメリカによる『敗戦国』日本に対する『占領政策』から、東西冷戦時のアメリカの世界戦略のための日本の利活用、高度経済成長を経て先進国となった日本への圧力や謀略・戦略について、その歴史と事実を述べている。

 60年安保と仕組まれた岸首相(安倍首相の祖父)の退陣や、田中角栄がロッキード事件で刑事犯罪人となり失脚した闇の部分とキッシンジャーの怒り、1980年代ではプラザ合意やBIS規制の思惑とそれを契機に日本経済が、がんじがらめにアメリカに従属させられていく背景などは興味深い。

 彼のメッセージは、誇りも無く卑屈にアメリカに従属する属国日本の権力者への告発である。しかし決して絶望することなく、独立国として誇りを持った日本の再生が可能であることも述べられている。本書は高校生が読めるようにと大変平易で分かりやすく、文体も“ですます調”で書かれてあり好感が持てる。今の教育では戦後史を学ぶ機会が少ない若者達に、分かりやすく戦後史を伝えたいというのも、孫崎氏のメッセージの一つであるのだろう。

 『特別秘密保護法』が強行採決された。施行されれば孫崎氏は『外交』『安全保障』等の秘密事項の漏洩で苛酷な刑事罰を課せられる危険性が大だ。是非この本を読んで、『特別秘密保護法』の暗闇の背景にも想いを至らせて欲しい。

 

イソの評価:★★★★★

蔵書:イソ蔵書。貸し出しOK

 

コメント
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