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雌阿寒岳山行

2010-11-08 21:50:38 | 

                                                       2010年10月 記

                        雌阿寒岳山行 

 雌阿寒温泉から望む雌阿寒岳

  2010年8月19日から8月23日にかけて、わがファミリーは末っ子の3女が結婚して暮らしている釧路を中心に、行き慣れた道東への旅行を楽しんだ。今回は初めてファミリー総出で、長女、男孫二人(上は中学1年生、下は小学2年生)、次女そして連れ合いと、総勢6名、現地合流の3女夫婦合わせて8名の賑やかな旅行となった。 行った先は、長女ファミリーが北海道デビューとあって、阿寒湖、川湯温泉、硫黄山、屈斜路湖、美幌峠、摩周湖と定番コースを回り、さらには少しマニアックコースとして、釧路湿原を望む北斗展望台、サルルン展望台、地平線を見渡す900展望台などを回り、釧路市内では博物館や春採湖を見下ろす六花亭の春採店等にも寄ってきた。 今回の道東旅行では、雌阿寒岳登山に挑戦した。雌阿寒岳は標高1499メートルとそんなに高くは無いが、活火山であり時々は有毒ガスが噴出し入山禁止になることがある。今回は日帰りで、全行程4時間半の予定で、いつもの山行きのメンバーである連れ合いと次女、それに中学1年生の孫も山行に初参加した。   

   

   サルルン展望台から釧路湿原と塘路湖            細岡展望台からのサンセットの釧路湿原

 2010年8月20日朝7時、登山一行は宿泊しているホテル・ルートイン釧路駅前をレンタカーに乗って出発。同宿の長女と小学校2年の孫は後ほど迎えに来る三女夫婦と合流し、釧路湿原界隈を観光後午後2時に阿寒湖畔のアイヌコタンで合流の予定だ。登山一行は大楽毛(おたのしけ)でコンビニに寄り簡単な行動食を仕入れた後、一路雌阿寒岳登山口のある雌阿寒温泉を目指した。 8時45分雌阿寒温泉着。雌阿寒温泉は阿寒湖から西に足寄方面に走り、暫く走って側道に入る。数件の国民宿舎や旅館があり、山中のオアシスのような風情のある温泉。雌阿寒温泉で支度を整え、清潔なトイレで用を足し一通りストレッチも済ませ、いよいよ9時に登山口より入山。 はじめのうちは蝦夷松林の中を高度を上げていく。やがて9時28分に「2合目」の道標に出会い、少し早いが小休止。5分休止の後再び登り出す。順調に3合目を過ぎ4合目の道標を過ぎたあたりから振り返ると、下の視野が広がり右手に登山口の雌阿寒温泉、左の尾根越しにオンネトーの群青色の湖面が見え出した。ここからはオンネトーの一部しか見えないが、鮮やかな群青色はここからでも吸い込まれていきそう。     

       

5合目付近から振返るオンネトー           頂上稜線からカルデラを見る

 5合目付近から振り返ると群青色のオンネトー頂上稜線からのカルデラ  やがて10時10分に5合目の標識着。このあたりから森林限界で、標高は950~980㍍位か。眼下のオンネトーはほぼ全容が見え、鮮やかな群青色の半月のような形も神秘さを漂わせる。5合目で10分間の「中休止」。 5合目から先はガレ場、岩場。森林限界からやがて笹や這松も無くなり、つづれ折の地肌の山道となってくる。8合目あたりからは山頂の稜線が眼前に迫ってくるが、足下は火山礫でガレ場からザレ場へとなって登るのにも礫が崩れ歩きにくくなってくる。やはり普通のスニーカーやウォーキングシューズでなく登山靴のほうが良かったかと少し思う。それでも次女と孫は快調にピッチを上げ、連れ合いはそれに続いて行くが、私は若干遅れ気味。もっとも遅れるというわけでもなく「のんびりと」登っているといった感じだ。 11時少し前に頂上稜線に出た。目の前にバーッと頂上の大火口が大きく拡がり、大カルデラの底部には池が水を貯え、傍らのあちこちからは噴煙が上がり、硫黄の臭いが漂い、なんとなく息苦しくなってくる。風はかなり強い。ここは「風の通り道」なのだろう。頂上稜線から登ってきた道を振り返ると、すでにオンネトーは左側の西稜線の裏側に隠れて見えない。頂上稜線に出ると進行方向は左にとる。そして右側にカルデラが大きく迫る大絶壁の頂上稜線を辿るのだが、次女はフォトポイントとばかり、絶壁の頂部を動き回りながら写真を撮りまわり、見ているほうがハラハラ。      

  そうこうしながら頂上稜線を辿って行き、11時13分に「雌阿寒岳頂上 1499M」の標識に到着。一応計画の時間からは約13分の遅れだ。これくらいは「順調」のうちだ。雌阿寒岳は登頂してみるとさすが日本百名山の風格がある。頂上は大火口のカルデラであり、頂上稜線から大きく切れ込み、はるか下にある噴火口の底部には、青沼、赤沼といわれる妖しい雰囲気を持つ沼が色づいた水を溜め、あちこちからは噴煙が上がっている。天候はここに来て快晴だが風は非常に強い。頂上標識からカルデラの向こう、いわば「対岸の向こう」には、登行意欲をそそる優雅な姿をした阿寒富士が聳える。阿寒富士はオンネトーの対岸から見れば大変優雅な山容なのだが、登山をしていると、この場所まで来なければ「優雅な阿寒富士」は見られない。暫くの休憩や他の女性の単独登山者とのお互いの写真撮影交歓の後11時20分に頂上を出発し降りに入る。降りは登ってきた道ではなく、頂上カルデラ稜線を半周し、西稜線で登路の反対側をオンネトーのほうに降りる。 降りはザレ場で、登りより厄介だ。足元の火山礫がずるずると崩れ落ちるため、慎重に歩を進めなければならない。連れ合い以外は登山靴を履いておらず、余計に気を遣う。火山に登るときは大概こうなのだが、すこし考えが甘かったかと密かに反省しながら、慎重に降り続けた。やがてそのうち、あまり「山馴れ」していない孫が不調になりだした。「足が痛い、膝が痛い、歩かれへん・・・」などと言い出す。それでも誤魔化し誤魔化ししながら降り続け、やがて頂上火口稜線から離れ、左手目前に阿寒富士を見上げながらザレ道を下り続けた。

 山頂カルデラの青沼と阿寒富士

 11時50分、オンネトー側の8合目を少し降りたあたりで、大休止とし行動食を取ることとした。ここでも密かに反省。実は本日は朝9時に登山を開始し、一気に全行程4時間30分を歩き通し、昼食抜きで雌阿寒温泉に下山するつもりでいた。したがって大楽毛のコンビニでも「弁当」を仕入れず、「水気」だけを購入していた。しかし、幸いにも連れ合いと次女が軽食を用意しており、それを分け合って行動食とした。私の頭の中には、時間通りに阿寒湖畔で三女夫婦、長女と下の孫と合流することがイメージとなっていたのだ。登山を軽く見てはいけない、いい年してまた思い知らされた。  さて、20分の行動食後12時10分に出発。少し快調に動き出したが、再び孫の足が不調。誤魔化し誤魔化しゆっくりと下山。12時55分、5合目を過ぎたあたりで中休止をとり、孫に膝サポーターなどを与え下山の体制を整える。この辺はすでに樹林地帯で、蝦夷松やら一部広葉樹などが茂っている。足下もザレ場ではなく普通の山道になっており、快調に飛ばしたいのだがなかなか進まない。それでもなんとかゆっくり目で下山を続ける。3・2・1合目と徐々に高度を下げ、やがて14時20分、予定のイメージより約1時間30分遅れでオンネトー側登山口の湖畔のキャンプ場に到着した。わが一行は登山口の大きな木製標識を囲んで記念撮影。携帯メールが通じるので三女夫婦と長女一行には「当初の約束時間に1時間30分遅れ」と次女が携帯メールで連絡を入れている。昼早々には阿寒湖畔に着いて、うまい飯と阿寒湖観光を目論んだ計画は破綻したようだ。  

  14時35分に出発。ここからキャンプ場を抜けてオンネトーの湖畔に出、湖畔の道を辿る。木馬道やら整備された道を左手にオンネトーに触れながら歩き続け14時50分に右手の山道に入っていく「雌阿寒温泉分岐道」に至った。わが一行はオンネトーに別れを告げ、右手の山道へと入っていった。 ガイドブックにはこの道は「快適な道」と案内されている。ならば、普通は整備され林間の散策道かプロムナードと想像するが、そうではなかった。普通の山道だった。藪が茂っていることや獣の糞が(たぶん狐の糞だろう。熊でも鹿でもない。)あちこちにある分、この道を「快適」と思うのはきっと一般観光客ではなく「山が好きな人」なんだろうなと思う。 とにかく孫の足も元に戻ったようで、早足で歩き続けるとやがて木馬道が現れ、前方の森が明るくなってきた。15時10分、分岐から20分後(登山地図のコースタイムでは30分の行程)、目の前がバーッと拡がり、出発地点の雌阿寒温泉に到着。当初の目論見から1時間40分の遅れ。出発時に用を足した清潔なトイレで再び用を足し、軽くストレッチをしながら、駐車場へと戻った。 山行報告は以上だが、その後ワンボックスカーに乗り込み、阿寒湖畔のアイヌコタンへと行く。15時35分アイヌコタン着。三女夫婦一行とはすぐに合流。アイヌコタンにある喫茶店で登山後の美味しいコーヒーを飲んでいるとマスターが、 「雌阿寒岳でお会いしましたね。」 聞けば1日おきに雌阿寒岳を登っておられるとのこと。土産物屋さんをうろうろし、上の孫はマリモッコリなどを仕入れたりしながら、16時20分に出発。三女夫婦とは阿寒湖畔で別れ、わが夫婦、長女と孫二人、次女の総勢6名は本日のファミリー宿泊地の川湯温泉へと向かった。     (終わり)

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