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日本の「お家芸」製造業、実は「業務用製品」が世界から大絶賛されていた…! 202208

2022-08-25 00:55:17 | 気になる モノ・コト

日本の「お家芸」製造業、実は「業務用製品」が世界から大絶賛されていた…! 一般向けの大量消費製品ではなく
 現代ビジネス より 220825   大原 浩


⚫︎日本では「匠の技」を求めるから水準が高い
「日本品質」はよく使われる言葉である。もちろん、字句通りに解釈すれば、「日本」の「品質」であるから、良くも悪くもあるはずだ。だが、「日本品質」が意味するものはそのようなものではない。「匠の技」がベースとなった「最高級のクオリティ」ということだ。

 だが、諸外国で「日本品質」のような「最高級のクオリティ」が実現困難で、日本でだけそれを易々と実行できるのはなぜだろうか。

 昨年2月28日公開「1400年の歴史、世界最古の会社が日本に存在している…!」という「日本文化の継続性」に大きな理由があると考える。
 例えば、8月20日公開「中国、韓国『EV電池』の発火が相次ぐ一方、『何もしていない』ように見える『日本の製造業』はやはり凄かった」の冒頭で述べた電気自動車の(バッテリーの)発火事故を考えてみよう。

 日本のメーカーは、人命に関わる自動車の品質に妥協を許さず、その結果、日本製自動車の世界的評価は高い。だが、その高い評価を得るには数十年単位の長い年月のたゆまぬ努力が必要である。そして、実際に「高い評価」を得ることができるのは遠い将来だ。しかも「安全性」は目に見えにくい分野だから、さらに時間がかかる。

 つまり、日本のメーカーは「将来が必ずやってくる」と信じて、将来のためのたゆまぬ努力を続けているのだ。
 それに対して、中国や韓国は、その不幸な歴史の中で「将来がやってくるのかどうか全くわからないから、とにかく目の前の利益を得る」という文化を育んできた。
 その中韓製バッテリーを「安いから」と安易に使う米国も同様である。

「安全性(高い品質)のための費用は今のもうけにつながらない」と考える中韓製のバッテリー(自動車)は安いかもしれないが、前記記事のような発火事故を繰り返していれば、結局「自分や家族、恋人、友人の命が大事」な人々は将来購入しなくなる。

 長期的に考えれば「日本品質戦略」の方が明らかに正しいが、「将来がやってくることを信じられない人々」は、目先のわずかな利益のために評判を落とし、将来の大きな利益を失うのである。

⚫︎「日本」という修行の場
 日本における消費者の品質評価の厳しさは、販売台数ランキングにおいて世界5位(2019年)と、8位のホンダより上位に入っている現代(ヒュンダイ)を見るとよくわかる。2001年に日本進出を果たしたものの、販売低迷によって2009年にわずか8年で撤退したのだ。

 今年2月に、日本に再進出を果たすとアナウンスしたようだが、前記「中国、韓国『EV電池』の発火が相次ぐ一方、『何もしていない』ように見える『日本の製造業』はやはり凄かった」のような「バッテリー炎上騒ぎ」を続けているようでは、今回も目の肥えた日本の消費者に全く相手にされないであろう。
 むしろ、現代(ヒュンダイ)を購入する海外のユーザーは「命が惜しくないのか?」と疑問を感じてしまう。

 また、H&MやGAPなどの外資系アパレルが、最近次々と日本での事業を縮小・撤退している。彼らは「舶来」に弱い日本の消費者の心理をついて一時期業績を伸ばしたが、結局「日本品質」を提供する国産アパレルメーカーに駆逐されたといえよう。

 最初はH&MやGAPなどの目新しさに惹かれても、結局「日本品質」を提供できない企業は日本市場から淘汰されるのである。

 それでも、多くの外資系企業が日本に進出するのは、「(厳しい目を持った)日本の消費者に受け入れられた商品・サービスは、海外でも確実に売れる」からである。
 言ってみれば、多くの外資系企業にとって日本市場は、「自社の商品・サービスのクオリティを高める修練の場」=「道場」なのだ。

 厳しい修行に耐え切れず日本から撤退していく企業は多いが、成功する企業も少なくない。それらの企業の商品やサービスは「日本人のお墨付き」という、極めて価値の高いブランドも得ることができるから、実際の商品・サービスの価値向上と合わせて「一石二鳥」というわけである。

 日本の国内市場はテストマーケティング市場(あるいは「修行の場」)と考えるべきかもしれない。

⚫︎生産性の向上と匠の技の両立
 重要なことは、ユーザーが高い水準を求めるだけではなく、それに応える「匠」の精神があるからこそ「日本品質」になるということだ。

「大原浩の逆説チャンネル<第2回・特別版>安倍元首相暗殺事件と迫りくるインフレ、年金・保険破綻」、58:43頃、「4.日本経済の生産性向上」において、「日本における生産性」について述べた。

 日本の製造業の生産性は世界トップレベルだが、非製造業(ホワイトカラー、サービス業など)は残念な状態だ。
 製造業の生産性が高いのは、「匠の技」を巧みに「世界に通用する日本品質」として表現し、実際に海外市場に進出したからである。

 それに対して、非製造業においては、品質へのこだわりが諸外国に比べてかなり高いものの、もっぱら国内市場だけを相手にし、「世界に通用する日本品質」としてグローバルな市場に躍り出ていない。これが、生産性の低い大きな理由の1つになっていると考えられる。

 もちろん、「匠の技」のこだわりは、一般消費者には無用な「過剰品質」となる場合も少なくない。実際、日本経済の弱さもそこにある。

 日本市場における消費者の要望について日本企業は熟知している。だが、海外となると特に非製造業にはハードルが高い。
 しかし、世界的に消費社会が成熟しつつあり、「現地品質」から「日本品質」へと世界の消費者のニーズも変貌しつつある。

 各国の文化背景などは異なるが、「より高い品質」を求めることは、文化や経済の発展とともに必然的に起こる現象だ。
 これまで、収益に結び付きにくかった「非製造業の日本品質」の収益性を高め、生産性の向上に結び付けるチャンスがやってきているように思える。

⚫︎プロフェッショナルは「日本品質」の良き理解者
「匠の技」はプロフェッショナルの技量であり、その技を高く評価するのもプロフェッショナルである。

 日本の消費者の「選別眼」の鋭さは、まさにプロフェッショナル・レベルであるが、「匠の技」を最も必要としているのは、同じく匠(プロフェッショナル)である。

 業務用というものは、一般的向けの商品よりも、堅牢さ、精度、操作性などの分野でより高度な要求がなされる場合がほとんどだ。
 つまり、「業務用」には、一般向けよりもさらに高度な「匠」の技が必要であるということである。実際、そこそこ(あるいは劣悪)なレベルの製品を使っていては、企業間の厳しい競争に勝てない。

 昨年5月9日公開「日本の『お家芸』製造業、じつはここへきて『圧倒的な世界1位』になっていた…!」で述べたように、世界中のメーカーが製造する製品の多くに(インテル入ってるならぬ……)「ニッポン入っている」のは、世界のプロフェッショナルであるメーカーが、日本の「匠の技」を高く評価しているからだ。

 前記記事でも述べたように、たった3品目の「輸出管理規制強化」で、韓国で天地がひっくり返るほどの騒ぎが起こったのも、彼らが実のところ「日本の匠の技」無しでは生きていけないからである。

 このように、プロフェッショナル仕様の最先端商品において、世界を牛耳っている日本勢だが、その力は一般的な「業務用」製品にも及んでいる。

⚫︎「キャッチボール」が大事
 業務用は、壊れないことと、きめ細かなアフターサービスが重要であることは、あえて詳しく説明する必要が無いだろう。
 それ以外に、「業務用」の製品(サービス)の質を高めるためには、ユーザー企業との「キャッチボール」が大事だ。

 一般消費者向けの商品でオーダーメイドは例外的で、販売される商品をそのまま使うのが一般的だ。それに対して、「業務用」では細かな仕様をユーザー向けに調整(改良)することがごく普通である。ユーザー企業ごとにプロフェッショナルとしてのこだわりがあるし、そもそも他社との差別化も必要だからだ。

 そのため、企業間での「情報交換」が重要となる。社内での使用状況や、逆に製品の仕様の詳細までお互いに情報を交換して「共同で」製品の改良を行わなければならないからだ。また、このような作業が次の新製品の質を高めることにもつながる。

 だが、この「情報交換」は、企業同士・担当者同士の信頼関係が無ければ成り立たない。本来は「社外秘」の情報を相手に提供するのだから、目的外に使用されたり、外部に持ち出されたりしたら大打撃を受ける。

 このような「相手との信頼関係」は、ジョブ型雇用で人材流動性が激しい企業で構築することは難しい。担当者が明日も来年もその企業で継続的に働くことが信頼関係の基本だ。

 私が、2019年1月25日公開「バフェットが実践する『実力主義の終身雇用』こそが企業を再生する」以来、「終身雇用が大事」と主張し続けるのも、ビジネスの根本は「相互の信頼」に存在するからだ。

⚫︎工作機械や半導体製造装置だけではなく
 業務用冷蔵庫・製氷機のホシザキ,業務用エアコンのダイキン工業などプロフェッショナル向けの商品で成功している企業は多いが,一般消費者の目に触れにくいため,知名度が低い。
 だが、ダイキン工業の海外売上比率は79%、ホシザキの海外売り上げ比率は36%である。すでにインターナショナルに活躍しているのだ。

 その他にも、建設機械のコマツの海外売上比率は86%。世界最大かつ歴史と伝統を誇る米国の首位キャタピラーを追撃する世界第2位である。

「日本品質」が本来生かされるはずの医療機器での日本の存在感はこれまで薄かった。医療業界は、欧米の「学会」が支配していたからだ。「西洋医学」と呼ばれるくらいだから、その研究分野では欧米勢が圧倒的であったということである。
 しかし、近年は日本人の「学会」におけるプレゼンスも高まっている。

 例えば、「日本人のノーベル賞生理学・医学賞受賞者」を並べてみよう(参照:京都大学HP)。

1987年 利根川 進 (京大卒)   米国マサチューセッツ工科大学教授(受賞時)
2012年 山中 伸弥 (神大卒)   京都大学iPS細胞研究所長・教授(受賞時)
2015年 大村 智 (山梨大卒)   北里大学特別栄誉教授(受賞時)
2016年 大隅 良典 (東大卒)   東京工業大学特任教授(受賞時)
2018年 本庶 佑 (京大卒)    京都大学高等研究院副院長・特別教授

 医療機器のユーザーはもちろん医師(技師)というプロフェッショナルである。また、匠の技を最大限に生かせるバイオ製剤分野でもユーザーは、大手製薬会社というプロフェッショナルの場合がほとんどだ。
 このように、世の中にはあまり知られていないが、「日本の匠の技」は世界中のプロフェッショナルに高く評価されている。この「匠の技」をさらに磨き有効活用することが、日本の今後の発展につながるはずだ。



👄凄い!でも、若き研究者含め、雇用不安定問題が、影を…

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