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日本の「適正な人口数」は何人か…少子化対策に悩む日本人に伝えたい"人口問題"という言葉の危うさ 202404

2024-04-17 23:46:00 | 気になる モノ・コト

日本の「適正な人口数」は何人か…少子化対策に悩む日本人に伝えたい"人口問題"という言葉の危うさ
  プレジデントOnline より 240417 内田 樹


 日本はこれから急激な人口減に直面する。
神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんは「人口減を“病”と考えることには懐疑的だ。
そもそも日本の人口は何人が適正なのか、私が知る限り、その数字を示してくれた人はいないし、ある数字が国民的合意を得たこともない」という――。
※本稿は、内田樹『だからあれほど言ったのに』(マガジンハウス新書)の一部を再編集したものです。

⚫︎少し前まで「人口問題」とは「人口爆発」だった
 ある媒体から「人口減少社会の病弊」という標題で寄稿依頼された。
論じてほしいトピックとして「子どもを産み育てる社会的環境がなぜ整備されないのか」「このままではどのような将来が想定されるのか」「解決策はあるのか」が示された。

 そういう寄稿依頼を受けておいて申し訳ないが、「人口減」を“病”と考えること自体に私は反対である。
「反対」というのはちょっと言い過ぎかもしれないので、「懐疑的」くらいにしておく。

 若い方はご存じないと思うが、少し前まで「人口問題」というのは、「人口爆発」のことであった。1972年に国際的な研究・提言機関ローマクラブが『成長の限界』という報告書を発表したことがある。
 このまま人口増加が続けば、100年以内に人類が及ぼす環境負荷によって、地球はそのキャリング・キャパシティの限界に達すると警鐘を鳴らしたのである。

 人口を減らすことが人類の喫緊の課題であるということを私はその時に知った。
たしかにその頃はどこに行っても人が多過ぎた。高速道路の渋滞に出くわすたびに、「もっと日本の人口が減ればいいのに」と心から思った。

⚫︎急に「人口が減りすぎてたいへん」と言われるようになった
 その後、大学教員になってしばらくしたところで教員研修会が開かれた。
そこで「18歳人口がこれから急減するので、本学もそれに備えなければならない」と告げられた。
 ちょっと待ってほしい。「人口が多過ぎてたいへん」という話をずっと聞かされていたのが、いきなり「人口が減り過ぎてたいへん」と言われてもそんなに急に頭は切り替えられない。
 それに納得のゆかない話である。ある年の日本の18歳人口がどれほどであるかは何年も前にわかっていたはずだ。
 人口動態というのは統計の数字のうちで最も信頼性の高いものの一つである。
だったら、「18歳人口がこれから減るので、それに備えなければならない」という話をなぜもっと早くから議論しはじめなかったのか。

⚫︎「18歳人口が減少したら困る体制」をコツコツ作り上げていた
 ところが調べてみると、どこの大学もそれ以前は「臨時定員増」で、学生定員を増やし、教職員数を増やし、財政規模を大きくしていたのである。

 たしかにその時点での18歳人口は増えていたのであるから、それに適切に対処したのかもしれない。けれども、そうしたせいで「18歳人口が減少し始めたら、たいへん困ったことになる体制」をコツコツと作り上げていたのだ。

 いったい、当時の大学経営者たちは何を考えていたのであろうか。
たぶん「18歳の人口が減って困り始めるのは私が退職した後だし、とりあえず今は『稼げるうちに稼いでおく』ということでいいんじゃない」というくらいの考えだったのだろう。
私だって、その時代に大学にいたら同じように考えたかもしれない。「洪水よ、我があとに来たれ」である。

⚫︎「人口問題=人口減」なのは一部の先進国だけ
 その時に私が学んだのは「人々は人口問題についてあまりまじめに考えないらしい」ということだった。
 なにしろ「人口問題」の定義自体が「人口増」から「人口減」に変更されたが、それについて誰からも何の説明もなかったからである。

 それ以後、私は人口問題について、「周知のとおり」という口ぶりで話を始める人のことは信用しない。だから、「人口減」をいきなり「病弊」として論じるということにも抵抗を覚えてしまう。

 そもそも今も人類規模では、人口問題は人口減ではなく人口増のことだ。

 人類の人口は現在80億。これからもアフリカを中心に増え続け、21世紀末の地球上の人口は100億を超すと予測されている。
 この予測が正しければ、今から80年、グローバルサウスは引き続き人口爆発による環境汚染や飢餓や医療危機の問題に直面し続けることになる。

 つまり、人口問題が専一的に「人口減」を意味するのは、今のところは一部の先進国だけなのだ。

 私たちがこの事実から知ることができるのは、人口はつねに多過ぎるか少な過ぎるかどちらかであって、「これが適正」ということがないということである。
人口については適正な数値が存在しない。それが人口問題を語る上での前提であろう。

 日本の人口として、いったい何人が適正なのか、私が知る限り、その数字を示してくれた人はいないし、ある数字が国民的合意を得たこともない。

 果たして、日本列島の「適正な人口数」を知らないままに、人口について「多過ぎる」とか「少な過ぎる」とか論じることは可能なのだろうか。

⚫︎マルサスの人口論における2つの前提
 人口論の基本文献として私たちが利用できるのは、イギリスの経済学者トマス・ロバート・マルサスの『人口論』である。

 マルサスの主張はわかりやすい。「適正な人口数とは、食糧の備給が追いつく人口数である」というものだ。
 食糧生産が人口増に追いつく限り、人口はどれだけ増えても構わないというある意味では過激な論である。

 マルサスの人口論は「人間は食べないと生きてゆけない」と「人間には性欲がある」という二つの前提の上に立っている。

「性欲に駆られたせいで人口は等比級数的に増加するが、食糧は等差級数的にしか増加しない。だから、ある時点で人口増に食糧生産が追いつかなくなり、飢餓が人口増を抑制する」というのがマルサスの考えである。

 これは自然観察に基づいている。ある環境内に棲息できる動植物の個体数は決まっている。環境の扶養能力を超える数が生まれた場合には、空間と養分の不足によって淘汰され、個体数は調整される。その通りである。

⚫︎人間の場合は餓死して淘汰される前に人口抑制がかかる
 ただし、人間の場合はもう少しリファインされていて、餓死して淘汰される前で人口抑制がかかる。

 困窮の時期においては、「結婚することへのためらい、家族を養うことの難しさがかなり高まるので、人口の増加はストップする」「自分の社会的地位が下がるのではないか」、子どもたちが成長しても「自立もできなくなり、他人の施しにすがらざるを得ないまで落ちぶれるのではないか」といった心配事があると、文明国の理性的な若者たちは「自然の衝動に屈服するまいと考え」て結婚しなくなる。
 マルサスはそう予測した。

 これは現代の日本の人口減の実相をみごとに道破している。
それに、男性の性欲を生殖に結びつけずに処理する装置(不道徳な習慣)が文明国には完備されていることも人口抑制に効果的であるともマルサスは指摘していた。
 炯眼の人である。

 マルサスの人口論は今の人口問題についても大筋で妥当すると思う(人口は等比級数的に増えるという予測は間違っていたし、人間の環境破壊がここまでひどいとは考えていなかったが)。

⚫︎200年かかって明治40年頃の人口に戻る
 人類全体の人口は21世紀末に100億超でピークアウトして、それから減少する。もっと早く減り始めるという予測もある。その後どこまで減少するかはわからない。

 19世紀末の世界人口が14億だから、そのあたりで環境の扶養力とバランスがとれて人類は定常状態に入るのかもしれない。先のことはわからない。

 しかし、さしあたり先進国は(アメリカを除いて)どこも急激な人口減に直面する。その趨勢のトップランナーは日本である。

📗内田樹『だからあれほど言ったのに』(マガジンハウス新書)

 日本の人口は最近の統計では2070年に8700万人にまで減ることが予想されている。
現在が1億2600万人であるから、今から年83万人ずつ減る計算である。
83万人というと山梨県や佐賀県の人口である。それが毎年ひとつずつ消える。

 2100年の日本人口について内閣府の予想は、高位推計で6400万人。
これはかなり楽観的な数値である。中位推計が4900万人と予測されている。

 いずれにせよ、21世紀末に日本の人口は今の半分ほどになることは間違いない。
日露戦争の頃が「生霊五千万」と言われたから、二百年かかって明治40年頃の人口に戻る勘定である。


▶︎内田 樹(うちだ・たつる) 神戸女学院大学 名誉教授、凱風館 館長
1950年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。2011年、哲学と武道研究のための私塾「凱風館」を開設。著書に小林秀雄賞を受賞した『 私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)、新書大賞を受賞した『 日本辺境論』(新潮新書)、『 街場の親子論』(内田るんとの共著・中公新書ラクレ)など多数。
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ここにきて「世界の富裕層」から大注目を浴びている「世界レベルの美しさ」を誇る「日本のリゾート」 2024/04

2024-04-17 23:13:00 | なるほど  ふぅ〜ん

ここにきて「世界の富裕層」から大注目を浴びている「世界レベルの美しさ」を誇る「日本のリゾート」
 現代ビジネス より 240417 山口 由美


 コロナ禍で一時失速したものの、円安の追い風などもあり、再び勢いを増しているインバウンド需要。
 日本経済の起爆剤としても期待されている一方で、海外観光客は大都市圏に集中しており、オーバーツーリズムの問題なども深刻化しつつある。

 大都市圏に集中する海外観光客を地方に呼び込み、かつ、観光客過多のオーバーツリーズムを避け、経済的にも地域に寄与するにはどうすればよいか?
 そのヒントとなるのが「ラグジュアリー観光」だと、世界の富裕層観光地に自ら足を運んだ経験のある作家・山口由美さんが『世界の富裕層は旅に何を求めているか?「体験」が拓くラグジュアリー観光』(4月17日発売・光文社新書)で指摘している。
 安全や快適さだけではない、旅に大金を投じる世界の富裕層が求めている「本物の体験」を描き出す本書より、ラグジュアリー観光による地方創生の可能性を紹介する。

※本記事は山口由美著『世界の富裕層は旅に何を求めているか?「体験」が拓くラグジュアリー観光』から抜粋・編集したものです。

⚫︎ラグジュアリーエコツリーズムで注目される国立公園
 大都市ではなく地方が注目される観光と言えば、エコツーリズムを忘れてはならない。
自然の中で楽しむことが主体のエコツーリズムは、必然的に目的地が大都市ではなく地方になる。つまり、エコツーリズムの浸透は、おのずと観光客の大都市偏重を解決することになるのだ。

 なかでも注目すべきは、国立公園の活用だろう。

 日本の誇るべき美しい自然のほとんどは、国立公園の中にあるからだ。

 その積極的な活用を目的として環境省が2016年から始めた取り組みが「国立公園満喫プロジェクト」である。設立趣旨として以下が掲げられている。

 国立公園の保護と利用の好循環により、優れた自然を守り地域活性化を図ります。

1.日本の国立公園のブランド力を高め、国内外の誘客を促進します。利用者数だけでなく、滞在時間を延ばし、自然を満喫できる上質なツーリズムを実現します。

2.地域の様々な主体が協働し、地域の経済社会を活性化させ、自然環境への保全へ再投資される好循環を生み出します。

 設立時に選出されたのが、
阿寒摩周国立公園、阿蘇くじゅう国立公園、十和田八幡平国立公園、日光国立公園、伊勢志摩国立公園、大山隠岐国立公園、霧島錦江湾国立公園、慶良間諸島国立公園である。
 その後、外国人利用者数が上位を占める支笏洞爺国立公園、富士箱根伊豆国立公園、中部山岳国立公園などが加わり、全12公園が対象となっている。

このラインナップの中に日本の至宝とも言える自然が網羅されている。

⚫︎国立公園が秘めるポテンシャルとは
 たとえば、大山隠岐国立公園には、先に紹介した隠岐諸島の海士町が含まれる。
支笏洞爺国立公園や中部山岳国立公園には「ジャパウ(ジャパン・パウダースノー)」として世界的に評価の高いスノーリゾートが含まれる。
沖縄の慶良間諸島国立公園に広がる海域には、アジアでトップレベルの美しさを誇る珊瑚礁がある。

 実は、慶良間諸島の美しさが世界レベルであることを「発見」し「発信」したのは、環境省よりもフランスの『ミシュラン・グリーンガイド』が早かった。
 国立公園に指定されるより先に『グリーンガイド』の2つ星に選ばれ、欧米人観光客が激増していた。

 北欧から来た若者と私が出会ったのは、民泊スタイルのダイバー宿だった。早くから英語のウェブサイトを整備した以外、外国人観光客向けに特別なことをしていた訳ではない。
それでも、日本へのインバウンドが激増する前の2015年当時、すでに宿泊者の外国人比率が9割を超えていた。

 海の美しさと素朴な島の佇まいに満足していた彼の言葉が忘れられない。

「タイのプーケットに行こうと思ったけれど、有名で観光地化されているから、ここに来たんだ。期待以上に素晴らしい。来て良かった」

 若い彼はシンプルな宿に満足していたけれど、慶良間諸島に小規模でサステナブルなラグジュアリーリゾートがあったなら、まさに日本の国立公園のブランディングに寄与するに違いない。

⚫︎国立公園内に「憧れ」の宿を
 2023年、環境省は国立公園に高級ホテルを誘致し、質の高い自然体験の提供をめざす方針を打ち出した。これにより日本の国立公園のブランディングを図るという。

 誘致するのであれば、大都市にあるような大型ホテルではなく、ラグジュアリーエコツーリズムを実践する上質なリゾートであってほしい。

 国立公園が生まれた国であるアメリカでは、高い人気を誇るアイコニックなホテルがいくつかある。グランドキャニオン国立公園のエルトバホテル、ヨセミテ国立公園のアワニーホテル、イエローストーン国立公園のオールド・フェイスフル・インなどだ。

 いずれも歴史あるクラシックホテルであると共に、国立公園内の最高のロケーションに建ち、ハイシーズンには1年前から予約が埋まる。
 インバウンドにも人気はあるが、それ以上にアメリカ人にとって、一生に一度は泊まりたい憧れの宿である。そもそも国有地として管理されているアメリカの国立公園では公園内の宿が限られている事情もある。

 これらのホテルでダイニングルームに集う人たちの幸せそうな笑顔が忘れられない。

 念願の夢が叶った喜びと最高の大自然の中にいる至福に彼らは満たされていた。
だが、食卓のテーブルにあったのは、無骨な感じのアメリカ料理だった。

 日本の女性誌で取材に行った時、料理撮影でカメラマンがシャッターを切るのを躊躇していたことをよく覚えている。日本人が満足する「ご馳走」ではなかったからだ。

⚫︎国立公園の宿には何が求められるか
 だが、国立公園の宿というのは、基本はそれでかまわないのである。
求められているのは、最高の自然を「体験」することなのだから。

 日本の国立公園は、アメリカと異なり、私有地も含まれるため、既存の宿泊施設も少なからずある。新規のホテル誘致に限らず、こうした宿をラグジュアリーエコツーリズムのニーズにあわせて整備していく方法もあるだろう。
 たとえば、日本ホテル史の黎明となった2軒のクラシックホテルは、いずれも国立公園内にある。日光国立公園の日光金谷ホテルと富士箱根伊豆国立公園の富士屋ホテルだ。

 かつては外国人が長期滞在し、周辺の自然を満喫した。現在はクラシックホテルの雰囲気と美食を求める日本人シニアが主な客層だが、アクティビティの開発などで、新たなインバウンドを誘致することは可能だろう。

 日光金谷ホテルでは、かつて日光周辺にあった修験者の道が敷地内にもあるという。
富士屋ホテルには、かつて敷地内から続くトレイルが整備され、富士山が望めることから途中の展望台は「フジビュースタンド」と呼ばれ、外国人客に親しまれた歴史がある。
このルートは、複数の登り口がある浅間山への登山道のひとつであり、鎌倉時代の古道である湯坂路にもつながっている。

 こうした道の整備や魅力の発信があれば、クラシックホテルが新たなラグジュアリーエコツーリズムの拠点となるかもしれない。

 2023年の観光庁による「サステナブルな旅アワード」では、株式会社やまぼうし(Explore Hakone)というインバウンドをターゲットにしたアウトドアツアーの会社による「日本遺産・箱根八里で古の旅路の追体験~地元民の語りが深める箱根の歴史と文化~」が特別賞を受賞した。
 主なターゲットが知的好奇心にあふれたラグジュアリートラベラーであることは言うまでもない。

 さらに連載記事<「ニューヨークタイムズ紙」が「2024年に行くべき52ヶ所」で第3位に選んだ「意外な日本の地方都市」>も、ぜひご覧ください。
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最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに 202404

2024-04-17 21:25:00 | ¿ はて?さて?びっくり!

最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに
 Newsweek より 240417  ジェス・トムソン
  UC San Diego Biological Sciences/YouTube


<火山の熱や深海の水圧、真空の宇宙空間さえ生き延びるクマムシは、驚くべきDNA修復メカニズムを備えていた>

 クマムシは想像を絶するほどの過酷な環境を生き延びることができる生物だが、その生命力の謎が解明される可能性が出てきた。

 クマムシはその愛らしい姿から、水グマやコケブタと呼ばれているが、極端な高温や低温、高圧・低圧、空気不足、放射線、脱水、さらには宇宙の真空状態に至るまで、ほとんどの生命体にとって死を招く環境に耐えることができる。

 最近、学術誌『カレント・バイオロジー』に掲載された論文によれば、この頑健な生物が放射線を生き延びるメカニズムが解明された。

 体長わずか0.5ミリのクマムシは、さまざまな環境で生息している。
コケ、落ち葉、淡水や海洋の堆積物などに生息していることが多いが、高温の沸騰泉、ヒマラヤ山脈の頂上、水深4000メートルの深海でも発見されている。

 クマムシは信じられないほど極端な環境に耐えることができる。
150度の高温、-270度の低温でも数分間生存可能だ。
何十年もの間、食べ物や水なしで過ごすことができるが、これは水分含有量を通常の1%以下にまで減らし、クリプトビオシスと呼ばれる状態に入って、代謝活動を実質的に停止させることができるからだ。

⚫︎放射線にも負けない
 この奇妙な生物は、高レベルの放射線にも強く、ほとんどの生物を死に至らしめる放射線量の1000倍以上の放射線を浴びても生き延びることができる。
 放射線は生物のDNAを傷つけ、突然変異、ガン、組織死などを引き起こし、生物の死を招く。

 今回の論文によれば、ドゥジャルダンヤマクマムシというクマムシの一種は、DNA修復遺伝子を増幅させることで、放射線によるDNA損傷を修復している可能性があることがわかった。

「私たちは、目にしたものに驚いた」と、ノースカロライナ大学(UNC)チャペルヒル校のクマムシ研究者、ボブ・ゴールドスタインはこの論文の序論でこう述べている。「クマムシは予想もしなかったことをしている」

 クマムシのDNA修復分子は体内にあふれ,強烈な放射線被曝による損傷を迅速に修復する。人間にもDNA修復遺伝子はあるが,クマムシに比べると発現のレベルは,はるかに低い。

「クマムシは放射線に対して驚くべき反応を示した。それが驚異的な生存能力の秘訣のようだ」と、UNCアッシュビル校の生物学助教授で、ゴールドスタインの研究室の博士研究員だったコートニー・クラーク=ハッテルは、論文の序論で指摘した。
「クマムシが放射線ストレスを克服する方法について私たちが学んでいることは、他の動物や微生物を有害な放射線から守る方法に関する新しいアイデアにつながる可能性がある」

 また、クマムシのDNA修復遺伝子は常時大量に発現しているわけではなく、放射線を検出したときに反応して発現量が上昇していることもわかった。

「クマムシは電離放射線を感知し、特定のDNA修復経路遺伝子を大量に亢進させている。この能力は、DNAの完全性を維持する解決策の進化形を表しているかもしれないという仮説を立てている」と、論文は述べる。

 科学雑誌イーライフに掲載された査読前論文によれば、フランスの研究者たちも、まったく独立した実験で同様の結果を得ており、その結果、放射線損傷からDNAを保護する可能性のある新しいクマムシタンパク質も発見したという。

「各研究所の結果が独立した形で、互いの研究結果を裏付けていることに、感動している」とゴールドスタインは語った。
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まもなく「新聞がなくなる日」がやって来る…"部数激減"より深刻なヤバイ数字 202404

2024-04-17 21:14:00 | なるほど  ふぅ〜ん

まもなく「新聞がなくなる日」がやって来る…新聞協会の報告書が明かした"部数激減"より深刻なヤバイ数字
 プレジデントOnline より 240417  水野 泰志


⚫︎新聞の総広告費はピーク時の2割台に激減
 底なしの落ち込みにあえぐ新聞広告の窮状を打開しようと、日本新聞協会が新聞広告とネットの連携について初めて本格的な調査を行い、「新聞広告とネットの組み合わせで相乗効果を発揮できる」とする報告書を3月末にまとめた。

 メディアの広告市場は、グーグルやヤフーに代表されるネット広告が席巻し、新聞の総広告費はピーク時(1990年)の1兆3593億円から、2020年には4000億円を割り込んで2割台にまで激減、さらに縮小トレンドが続いている(2023年は3512億円)。

 広告媒体としての新聞力が著しく低下し、新聞全盛時代のような広告効果を見込めない中、ライバルと目してきたネットとの協業で活路を開こうという訴えからは、新聞界の藁にもすがりたい必死さが伝わってくる。
 悲鳴にも似た叫びは、はたして広告主を新聞広告に振り向かせることにつなげられるだろうか。

⚫︎報告書に書かれた新聞業界の悲痛な叫び
 新聞協会の報告書を精査してみる。もっとも、新聞界の視点に立った調査であることを事前に指摘しておきたい。

「新聞×ネットが生み出す広告シナジー~多メディア時代における新聞の役割とメディア接触者の動向調査」と銘打った今回の調査は、2023年秋、全国の15歳以上79歳以下の男女1200人を対象に実施。
 調査対象者を、メディアの利用実態に応じて①新聞・ネット利用者②新聞・テレビ利用者③テレビ・ネット利用者④ネット利用者⑤テレビ利用者または全部使わない人の5群に分けて、それぞれの意識や行動を調べたことが特徴だ。

 新聞広告が「ネット利用者」にリーチする実態を詳細に調べて、広告主に新聞広告の強みを再認識してもらったうえで、ネットと組み合わせた広告戦略を再構築してもらうことに力点が置かれている。

 まず、メディアを評価する際に重視するポイントを聞いたところ、

新聞のベスト3は
「安心できる」47%
「情報が正確で信頼性が高い」46%
「情報が整理されている」39%
と答えたのに対し、

ネットは、
「日常生活に役立つ」50%
「自分の視野を広げてくれる」49%
「親しみやすい」43%
がトップ3となった。

 この違いを受けて、新聞とネットはメディアとしての評価軸がぶつかる対立関係ではなく、互いに補完する関係にあることが明らかになったと強調した。


出典=日本新聞協会「 新聞×ネットが生み出す広告シナジー」

 新聞広告は「ネット広告の効果を高める」と主張するけれど…
そのうえで、新聞広告とネットの関連について尋ねたら、ソーシャルメディアで新聞広告に関する投稿を見たことがある「ネット利用者」が46%と半数近くに上り、さらに「いいね」や「リポスト(リツイート)」など何らかのアクションをした人は28%もいたことが判明。
 しかも、いずれも、ネットに精通する若年世代(15~39歳)が中高年世代(40歳以上)より高いスコアを記録した。

 これらの数字から、日常的に新聞に接しない若年層にも、新聞広告がソーシャルメディアを通じてリーチできる可能性があると力説した。

 さらに、ネットで見た広告を、新聞でも見た場合に「理解が増す」と答えた人は39%、「信頼性が増す」が32%に上った。これに対し、テレビはそれぞれ34%、23%。雑誌36%、22%。ラジオ31%、21%にとどまったことから、ネット広告の効果をもっとも高めるメディアは、新聞であることが立証されたという。


出典=日本新聞協会「 新聞×ネットが生み出す広告シナジー」

⚫︎新聞広告の強みは「高い信頼性」
 一方、「ネット利用者」の約半数が、ネットで入手するニュースの提供元をチェックしており、「信用できる提供元」として挙げたのは、新聞社56%、テレビ局49%、雑誌17%、ネットメディア16%の順だった。

 また、「情報が信頼できる」と評価する広告メディアは、新聞が44%に上ったのに対し、ネットは17%しかなく、両者の間には著しい乖離があった。

 新聞社発の情報が高い信頼を得ていることがうかがえ、「信頼」というキーワードが新聞広告の強みになっていることが確認されたという。

 報告書は、こうした一連の調査データを踏まえ「新聞広告をネットと組みわせることで、新聞広告の強みがより発揮され、広告の訴求力を高めることが期待できる」と結論づけたのである。

⚫︎広告主から見向きもされていない
 だが,新聞広告の窮状をみると,こうした訴えが,どこまで広告主に刺さるかは見通せない。

 電通が2月末に発表した「2023年日本の広告費」をみると、国内の総広告費は前年比3.0%増の7兆3167億円と、2年連続で過去最高を更新。
 中でも,新聞やテレビからネットへのシフトが一段と進んでいることが明らかになった。


▶︎出典=電通リリース「 2023年 日本の広告費」
 ネットは、7.8%増の3兆3330億円で、全体の半分近い45.5%を占めるまでに飛躍的に成長した。
 一方、新聞は5.0%減の3512億円、テレビも3.7%減の1兆7347億円にとどまり、雑誌1163億円とラジオ1139億円を合わせてもマスメディア4媒体の総広告費は2兆3161億円(前年比3.4%減)に過ぎず、束になってもネットにはかなわない状況だ。

▶︎日本新聞協会「 新聞広告費、新聞広告量の推移」参照
 新聞の総広告費は、1990年の1兆3593億円をピークに、2006年に1兆円を割り込み、リーマンショック後の09年には半減、コロナ禍を経て23年はさらに半減、今や広告費全体の5%にも満たなくなってしまった。

 肝心の新聞の総発行部数が、1997年の5376万部から2023年10月には2859万部と、ほぼ半減。新聞の影響力が低下しているだけに、新聞広告の媒体価値が下がるのはやむを得ないだろう。

⚫︎新聞には「信頼性の高さ」があるが…
 新聞協会の今回の報告書は、新聞広告の復権を主眼にしているため、一定のバイアスがかかっていることは否めない。

 そこで、あらためて新聞広告の特性を客観的に見てみたい。

 まずメリットから。

 先に挙げた「信頼性の高さ」は、新聞に掲載されるためには新聞社の広告審査基準をクリアしなければならないことで裏打ちされ、紙面で見られる広告情報は一定の安心感を共有できることを意味する。
 それは、掲載企業や商品の価値を高める「ブランディング」にもつながる。

 ほかにも、「不特定多数の人に読まれる」「中高年世代へのアプローチに適している」「高収入層へアプローチしやすい」などが挙げられる。

 一方、デメリットとしては、

・さまざまな読者に同じ情報を提供するため、きめ細かいターゲティングができない
・情報の流れが一方通行のため、認知や購買につながったかどうかを測ることが難しい
・読者が中高年層に偏っているため、若年層向けの商品やサービスには向かない
などが指摘される。

 裏を返せば、いずれも、ネット広告のメリットということになる。

⚫︎きめ細かいターゲティングも、効果測定も難しい
 広告主にとって広告を出稿する最大の狙いは、最終的に商品やサービスを購入してもらうことにある。そのためのコストが低ければ、なおよい。

 そうした観点に立てば、ネット広告は、年齢、性別、エリア、趣味趣向、デバイスなど、対象を細かくターゲティングできるため、広告情報のリーチ度は新聞広告とは比較にならないほど高い。

 また、広告の表示回数、クリック回数、自社サイトへの誘導、購買の可否まで正確に計測できるため、効果測定の差は歴然としている。

 新聞広告とネット広告の特性は真逆であり、リーチ度と効果測定というネット広告のメリットは広告主がもっとも把握したい情報であるがゆえに、ネット広告にシフトするのは自明だろう。

⚫︎ネットにもテレビにも太刀打ちできない新聞広告
 実は、新聞協会の今回の調査では、「メディア別の広告の印象・評価」について18項目の設問を設けており、その結果は、新聞広告の現在地を示している。

 新聞の折り込みチラシを除くマスメディア4媒体の中で新聞がトップだったのは、「情報が信頼できる」44.0%、「ゆったりと広告を見聞きできる」36.5%、「地域や地元の情報が多い」30.2%、「企業の環境問題への取り組みがよくわかる」24.4%、の4項目のみ。

 一方、ネットは「必要な情報を改めて確認できる」40.3%、「知りたい情報が必要十分に得られる」40.0%、をはじめ10項目で新聞を上回った。

 12項目でトップを占めたのは、テレビだ。「印象に残る広告が多い」57.6%、「見聞きした、読んだことが記憶に残る」42.9%、「広告を行っている企業に関心を持つ」39.3%、「情報がよく理解できる」39.1%、「商品やサービスの内容などを的確に伝えている」37.8%、「役に立つ広告が多い」28.5%、などだ。


出典=日本新聞協会「 新聞×ネットが生み出す広告シナジー」

 利用者目線に立てば、なおテレビに一日の長がありそうだが、ネットメディアの勢いを押しとどめることができるかどうか。

 いずれにせよ、新聞広告は、もはやネットにもテレビにも太刀打ちできないのが現実なのである。

⚫︎新聞広告が生き残る方法はあるのか
 では、新聞広告は、このまま朽ちていくのだろうか。

 ネット広告は、あらゆる広告主にとって、使い勝手がいいことは間違いない。ただ、ネット上には、フェイクの情報があふれ、真偽の定かでない広告や悪意のある広告が大量に出回って、社会問題化している。ネット広告の最大の弱点といってもいい。

 それだけに、新聞広告の「信頼性の高さ」は魅力的に映るはず。ネットで見た広告を「新聞でも見た」となれば、より大きな安心感を生み、広告効果を高めることにつながりそうだ。

 広告主にしてみれば、ネット広告が新聞広告との連動で広告価値を最大化できるなら、新聞広告を活用する方策をあらためて検討することもありえよう。

 新聞協会の報告書は、そこに一筋の光明を見出そうとしている。

⚫︎このままでは読者にも、広告主にも見捨てられる
 広告市場で、新聞がネットに抜かれたのは2009年(テレビは19年に逆転された)。その時、それでも現在の倍近い6700億円以上の広告費があった。
 だが、当時の新聞界は、ネットを目の敵にしていて、ネット広告と連携しようとする動きはほとんどなかった。ネットの軍門に降るようで潔しとしなかったのである。
 その時点で、新聞とネットのシナジー効果を強力に打ち出していれば、広告主のネットシフトを押しとどめ、新聞の広告費はもっと早く底打ちしていたかもしれない。

 成功体験を引きずった新聞経営陣の不毛なメンツやプライドと先見性のなさが、新聞界の衰退を招いたことは隠しようもない。
「新聞から広告がなくなる日」が来る前に、ネットとの連動で新聞広告が活性化するなら朗報に違いないのだが……。


▶︎水野 泰志(みずの・やすし) メディア激動研究所 代表
1955年生まれ。名古屋市出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。中日新聞社に入社し、東京新聞(中日新聞社東京本社)で、政治部、経済部、編集委員を通じ、主に政治、メディア、情報通信を担当。2005年愛知万博で博覧会協会情報通信部門総編集長を務める。日本大学大学院新聞学研究科でウェブジャーナリズム論の講師。新聞、放送、ネットなどのメディアや、情報通信政策を幅広く研究している。著書に『 「ニュース」は生き残るか』(早稲田大学メディア文化研究所編、共著)など。 ■メディア激動研究所: https://www.mgins.jp/
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🚶…隠元橋…向島清水🚌〜向島…左岸堤防道…観月橋〜 240417

2024-04-17 20:49:00 | 🚶 歩く
🚶…右岸堤防道…隠元橋…向島渡シ場町…同清水町🚌〜向島駅…3号承水溝沿(東定講…新上林…大河原)…左岸堤防道43km碑…観月橋南詰…観月橋〜🚉…Alp…右岸堤防道…>
🚶12797歩2kg+29歩

☁️黄砂で霞む空:隠元橋&観月橋=24℃
 風心地よく,遠望黄砂で霞む。
 旧巨椋池農地跡を歩く



見立)立ち上がる獅子?

左岸堤防道43km碑より霞む周辺

黄砂で霞む醍醐山系





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