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脱ネガティブを計るべく、浮きつ沈みつ漂う女の戯言日記

犬神

2013-02-12 | 芝居
今年最初の観劇。
中野劇場MOMOにて青蛾館の犬神を観た。

寺山修司の初期一幕劇連続上演という事で「白夜」「狂人教育」「犬神」の三作品の舞台。
全部観たかったけど日程等の都合で、私は最後の犬神だけを観た。

雅楽の調べの中お面をつけた役者達が静かに現れた瞬間、その世界に引き込まれた。
山で犬に襲われ気が狂れた母親が産んだ子は、犬神憑きと村中から疎まれ、母は鎌で
自殺し父は若い女と夜逃げし、祖母と2人で誰とも接する事なく孤独に育つ。
ずっと相手を捕まえられないかくれんぼの鬼を一人続けながら。
最後に彼に山向こうの村から嫁が来る事になり、やっと永遠のかくれんぼに終わりを
告げられるかと思いきや、物語は突然の悲劇で幕を閉じる。
とてもとても切なく悲しい、そして淡々と美しいお話。
一時間という短い舞台ながら、観た後に何とも言えない余韻が残った。

物語を引っ張って行く女詩人こもだまりの独特な語り、しゃがれ声が抜群の存在感な姑の
丹羽克子、麗子像のようなおかっぱ頭の不思議な黒子三人組、個人的には取上婆の岩倉
金太郎が妙に気になった。
そして何と言っても、犬のシロを演じた点滅。
丸刈りで白塗りの人の形で犬を演じるその姿は、人だけれど確かに犬なのだ。
鍛え抜かれた肉体の美しさと表情や動きの迫力に、思わず目が釘付けになった。

青蛾館の舞台は初めて観たけれど、またぜひ他の作品も観てみたい。
秋には毛皮のマリーを上演するそうなので、今から非常に楽しみだ。

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