心のハンドル操作方法 幸せに生きるための教習所

旧精神科医療は思想警察なのか?

なぜ看護師は辞めるのか?過酷な交代勤務・夜勤対策による待遇改善から考える

2019年03月20日 | IM理論

久しぶりのIM理論の更新となります。

<警察学校、管区学校で行われる、無駄な機動隊、警備実施訓練>


看護師の定着率の悪さは、陰湿なイジメなどが表面的にはありますが、実際は日勤と夜勤が入ってくる「交代勤務」によって「体調不良を起こしたり、気力が奪われていくこと」ではないでしょうか?

ですから、私の感覚から意見をすると、「警察組織のような当直制にすればいい」と思います。

警察官(この場合、幹部を除く地域警察官)は3交代勤務をしていますが、病棟の3交代とは違います。

1当直が24時間勤務で8時半~翌日の8時30分つまり、8+8+8勤務で3日間勤務したことにする、夜勤明けを非番とし、翌日を休日とするシステムです。

「1当直したら非番休日合わせて2日休み」というのが地域警察官の美味しいところです。

1か月30日とすると、「1か月10日しか出勤しなくていい」計算になります。

さらに上半期・下半期それぞれ3当直(1当直24H=日勤換算で3日勤務として、3日×3回=9日となる計算)ずつ有給がとれますから、1当直有給をとると、6連休となるので、6当直有給をとれば、6連休を6回も取れるという計算になります。

警察官は内勤(刑事、生安、交通、警備、刑務)などに異動したがらないのは、安定の3交代制度があるからです。

しかしここ最近問題になっているのは、ノルマ(窃盗、占有離脱物横領罪)=刑法犯検挙数が足りない職員は「当直明けの非番に取り締まり」を半ば強制的にさせていることにあります。

これでは警察官が疲弊してしまいますし、そもそも不人気職になってしまいます。

「夢の3交代勤務のはずが当直明けに取り締まりに行け」

これが警察の現実なのかもしれません。

とは言っても、なんだかんだ内勤よりは休みが多く、責任分担されているのが交番勤務、パト係ですから警察やるなら交番に限るでしょう。

私が内勤をしていたころは6直といって、6日に1回事件当直がありました。

日勤やってそのまま当直に入り、当直明けもそのまま日勤する32時間ぶっ通しスタイルです。

さすがに直明けは意識朦朧としているので、朝礼が終わって10時頃になったら「朝ごはん食べてきます」といって、昼まで休憩していました。

12時まで働いて、「直明けなので失礼します」ができればラッキーでした。

行事や用事が当たると、普通に日勤して帰っていました。(鬼畜ですね)

 

話題を看護師に戻します。

看護体制が7:1体制などあるため、表向きは「日勤にスタッフが必要」に思えるかもしれません。

しかし、7:1体制はパート看護師を雇えば問題解決します。

パートを雇うにはどうすればよいか?

答えは簡単で「時短勤務」「院内民間保育園」を導入すればよいだけです。

「9時~15時勤務(時給1200円)」をベースにシフトを作り、人出不足の平日は「9時~16時30分(時給1400円)」にすればいいだけです。(シフトを組みづらいためこれを嫌がる管理職師長がいますが、管理職の仕事とは第1にシフト管理です!)

そして、「院内民間保育」を始めれば、ママさんナースも働きに来れますね?

保育所問題は切実です。

仮に認可保育園に子供を預けていたとしても、こどもの急な発熱や体調不良があれば、朝から預ける事ができなかったり、途中でお迎えに行かなくてはならなくなります。

これでは仕事どころではありませんし、保育料もバカになりません。

潜在看護師は別にお金に困っているわけではありません。

「勤務時間と育児」に困っているのです。

 

続いて、簡単な話ですが、

「平日日勤は8割パート看護師+日勤常勤看護師+管理職」

で7対1基準を満たすことができるように回します。

そして、ここからが本題です。

常勤=夜勤常勤というくくりにしてしまいます。

まずはA,B,Cという勤務を作ります。

Aシフトは月・木・日

Bシフトは火・金・

Cシフトは水・土・

アンダーラインの「月曜と火曜」は夜勤者が被ることになりますので、日勤者に振り分けます。

Aシフトはオール夜勤で16×3=48H(週8H残業、月32H残業代加算)

B,Cシフトは夜勤2、日勤1の16×2+8×1=40H

 

2交代夜勤ですと「準夜+深夜=16H」ですから、2回夜勤をすると32Hで1回日勤8Hすると、23+8で、その週は40Hになります。

 

つまり「月10夜勤制度」ととらえても良いし、

「2夜勤1日勤=8夜勤4日勤」制度と考えても問題ありません。

 

これは働く人に合わせられます。

ABCシフト各3名、9名で夜勤を回すことになります。

すごく、スッキリすると思いませんか?

 

これが、人出不足対策の私なりの「仕組みづくり」です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(看護職員の現状と推移 厚労省)

平成24年度、厚労省調査では

看護職員就業者数154万人

新規免許取得者数5.1万人

年間再雇用者数 14万人

年間離職者数 16万人

潜在看護師71万人

となっている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)

1年間で、16万人辞める

新規免許取得者が5万人

再雇用が14万人

19万人が働き始める、16万人が止めるつまり

単純計算で毎年3万人ずつのプラスになっています。

「看護師足りてるじゃん!?」

その通りなのです。

ここで問題なのが、「看護基準的に問題ない」だけだということです。

つまり、ベテランナースと新人ナースも「同じ看護師1人」とカウントされるため、病棟の実態としては、責任ある業務ができるナースに育成するのに最低3年は必要とされますから、配置基準を満たしていても、病棟業務という観点からみれば、一部の経験のあるベテラン、中堅ナースに業務のしわ寄せがいっていることになります。

つまり、最低でも3年のタイムラグを見越して採用計画を立てていかないと、「配置基準は満たしているが、業務が回せない」という問題にいつも直面しながらストレスフルな職場環境で仕事をさせられることになるのです。

 

ですから「再雇用対策+育成」の2本柱が必要となります。

人件費対策で考えれば、長く勤めているとベースアップしていくため医療経営的観点だけで見れば

「ベテラン2割、新人8割」のほうが人件費は安く抑えることができます。

しかし、2割のベテランに責任と業務負担がのしかかるため、体調不良や結婚などのライフイベントで組織崩壊してしまうと考えられます。

職員が長く続けられる環境について見ていくと、離職理由にあります。

その退職理由として挙げられる「体調不良(心身)」について見ていきたいと思います。

職場環境・人間関係もあると思いますが、「働き方」に注目してみましょう。

 

ここからは、「なぜ夜勤が体調に影響するのか?」を見ていきたいと思います。

少し長い文章ですが、これだけ調査されている貴重な資料だと思います。以下転載。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(仙台錦町診療所産業医学センター夜勤と健康)

§はじめに
 今年9月、第15回国際夜勤交代制勤務シンポジウムが18年ぶりに我が国で開催されました。私も、種々の夜勤調査や過労死相談の経験から組織委員の一人に選ばれ約2年その準備にあたってきました。6月のプレシンポジュウム(特別セミナー)では「夜勤と健康」の報告をし、本シンポでは、みやぎ生協夜勤者の生活実態についての報告本シンポに引き続いて開催された日本医労連主催の国際シンポジュウムにも報告しました。そうした企画の準備や報告・討論の中で明らかになったことをまとめてみました。


§夜勤の健康影響に関する調査の歴史的到達点
 夜勤が健康に良くなさそうなことは、昔から考えられてきましたが、沢山の調査にもかかわらず意外にそのことを示す結果は多くありませんでした。

そのことと関係あるかどうか分かりませんが夜勤に従事する労働者は増える一方です。

一部には夜勤の方が病気を持った労働者に向いているとの主張すらあります。

それだけ日勤が厳しいとも言えましょうし、ある意味では、日勤のはずなのに、深夜まで働かざるを得ない方の方もかなり厳しい労働条件下にいます。労働省(旧)の調査でもそのことは示されています。
 最近になって、夜勤による健康障害が示され難かったのは、夜勤によって健康を害した労働者は、措置としてあるいは自主的に夜勤から外れる為日勤との差が出にくかったこと等の背景が明らかにされてきています。

例えば、国際夜勤交代勤務シンポの中心的研究者であるイタリアのロタ大学のコスタ博士は、前回のシンポの中での「夜勤と健康:20世紀から伝承されたもの」の中でその点を詳しく検討しています。

彼によれば、70年代迄は睡眠、消化器、精神面の健康障害を指摘し、その後はサ-カディアンリズム、心理状態、社会的状態の乱れやストレス増大に関するものになっている。この変化は働く場の改善や労働者が夜勤を拒否したり選択したりするようにとしています。

さらに、人間工学面での改善や夜勤シフトの検討も進んでいる、と指摘しています。

その上で、「夜勤を継続できる人は健康な人」の影響で、同一集団での経時的研究が現実には困難であり、対象集団の規模が大きいと統計上の信性頼は高まるが対照集団との比較ではバランスを欠きやすい、とも述べています。(参考資料P96参照)。

 

§仙台錦町診療所・産業医学センタ-の夜勤と健康に関する調査活動
 私共は、そうした「夜勤調査の限界」に対し、「夜勤の影響を同じ労働者を対象に経時的観察する」「夜勤帯を含む検査で影響を観察する」そして「何を制限(犠牲)にして夜勤を続けられているか」を調査してきました。

その代表的なものは、
 ①常夜勤パン製造工の血圧変化
   常夜勤継続による血圧上昇と3交代や仮眠(2時間)による改善変化を夜勤者健診にて確認しました。

ある労働者は、全く正常の血圧から年々上昇し、5年目に眼出血して退職を余儀なくされています。彼らの24時間血圧記録(以下ABPMと略す)労働時間後半にかなりの高値を呈しています。

昼の測定ではこのことは気づかれません。フリッカ-という点滅識覚試験で疲労を測定すると2時前後の低下は共通しています。そこで、作業工程を改善しその時間帯に2時間の仮眠を入れて貰うことにし、明らかな血圧降下効果を得ました。


 ②惣菜工場に育児しながら働く女子労働者の血圧変化
  5時からの早朝労働を皮切りに3時から、そして0時からと深夜へと移行していくにつれて健診血圧で全く正常域から数年で著明な高血圧症となった労働者が生まれました。

ABPMでみますと、3時からのシフトで半数が境界域か異常域にありました。

生命保険勧誘での日勤では、働く時間帯で140/80mmHg位であった方が、深夜勤務後3ヵ月では3時から7時の間に170/100mmHg を超す高血圧で働く事例も見出されています。


 ③タクシ-労働者における不整脈多発
 15年間8時から翌日3時迄およそ隔日に働いてきた運転手に24時間心電図で、心室性期外収縮の多発が見られました。夕方から脈拍数は減少し睡眠を求めていることを示しています。それに抗して運転し、車の清掃すると深夜帯を中心に約1万もの不整脈が現れていました。夜勤から離すだけで薬無しでたった8個になったことからみても夜勤の負担が原因です

 

§最近の文献による考察
(1)循環器への影響
 ①循環器全体
  *循環器疾患有病率:石油精製工場男性。交代制19.9%、日勤7.4 %、元交代制14.7 %
  *夜勤離脱者で心血管系愁訴率高い。心血管系疾患全体で交代制が日勤より高い
  *多数調査:スウェ-デン;心血管系疾患の危険度1.25
       :デンマ-ク;心血管系疾患の危険度1.2 虚血性疾患
 ②虚血心疾患:
  *デンマ-ク;(同上)相対危険度1.3
  *虚血心疾患:製紙工場での相対危険度。11-15 年2.2 。16-20 年2.8
  *冠疾患:米看護職;12万人、6 ~14年で相対危険率(多重変量調整後)1.6 ~1.66 ・③不整脈
  *夜勤タクシ-運転手:休日に比して勤務日での極端に心室性期外収縮多発
  *銅精錬工:QTc延長のリスクは3.38~8.15
  *パン製造工(常夜勤)で心室性期外収縮、連発が多く見られる
 ④高血圧
  *トラック運転手、タクシ-運転手、塗料製造・充填工、食品製造工、サッシ製造工等で有意に多いとの報告。(「夜間のみ=可逆性」の反論もある)
(2)糖尿病
  *9000人の工場で夜勤者には、糖尿病も、境界型も多い(図8)
  *製鉄所労働者で、対糖能異常者は、現業系交代制勤務者、現業系日勤、事務系日勤の順
  *交代制勤務看護職での「低血糖発作」は、事務職より明らかに高率
  *反時計回りの3交代群で糖尿病状態(フルクトサミン)が悪い
  *睡眠不足実験で糖代謝の低下、コルチゾ-ル増加、インスリン抵抗性増加
(3)消化性潰瘍
  *化繊労働者で日勤より有意に高率
  *約1万男子労働者(多産業)で、月10~12回の夜勤者は有意に高率
  *ピロリ陽性者では、夜勤者に胃潰瘍、十二指腸潰瘍有意に高い。除菌をすると夜勤者でも潰瘍患者が減少する(図9)。

 

§夜勤継続による生活影響(調整・犠牲)調査について
(1)みやぎ生協惣菜工場女子夜勤労働者
  2000年秋の夜勤者健診を受診した40名の女性を対象に健診時に直接ヒアリングにて聴取しました。生活調査項目は、休養-3、食事-8、運動-4、団欒-2、趣味 -3、近所付き合い-3、社会活動-3(数字は細項目)です。

各々の労働者毎にシフト変更の前後の変化について減らす方向、増やす方向か、同じ、判定困難かを聞きました。回答数は、無職又は日勤から5時開始に働き出したのは16人(A群)無職又は日勤から 3時開始に働き出したのは21人(B群)5時開始から3時開始に変わったのが15人、(C群)、3時開始から0時開始に変わったのが12人(D群)です。

「健康状態の悪化」は、D群で4割、B、C群で1/3 「疲労、疲労回復悪化」は、D群3/7 、B群2/3 、C群1/3 に見られました。「睡眠状態」の変化では、「時間減少」がD群2/3 、A、B、C群が3割前後、「睡眠の深さが増した」がA、B、D群で7割前後、C群でも半分に見られ「睡眠時間減少」を大きく上まわりました。

生活内容の変化でどの群でも1/3 以上の労働者が制限しているのは、「休養」「食事」関係でした。制限する項目の多いのは、A、D群であり、生活上の対応(犠牲)が余儀なくされていることが示されました。

まとめとしまして、より深夜近い時間から働くことによってかなりの労働者で睡眠時間が減り、健康状態や疲労回復に影響しているが、それでも夜勤が続けられているのは睡眠の深さを得られていることと、運動、食事、付き合い、役員への活動等を減らしている為と考えられました。


(2)全医労東北地協での超長時間夜勤の生活影響調査
8時間三交代から16時間又は12時間夜勤に変更した看護職に調査票を送り、51名から回収されました。調査項目、回答方法は、(1)と同様です。その中で、更に、8時間三交代制に復した19名のうち、40、50代の女性のみ12名を別途解析しました。主な結果は、・超長時間夜勤に変更後、食事や睡眠の悪化が60%台と高く、団欒、趣味、付き合いや社会活動が半数以上が悪化したこと・全ての項目で、改善が悪化を下回ったこと。

睡眠の深さや明け番の休養は改善が多い細項目であったこと・再度三交代に復した12名では、超長時間夜勤後の変化は全体同様であり、三交代に復して家族と一緒の食事、睡眠時間、睡眠深さ、団欒休養全般、付き合いが改善率が高く、超長時間夜勤の負担であったことが考えられること・再度三交代に復した後に、健康状態の悪化(50%)、将来への不安(83%)が見られ、「3交代制」は、多数が受け入れられる「良い夜勤」では無いことを示唆しました。


(3)福祉施設での超長時間夜勤の実態と健康・生活への影響 
    ①職場・仕事の様子
最近16時間夜勤の導入が話題になっているが実はもう何年もその形での労働に従事して来た職場があります。

昼働きつつそのまま当直に当たる医療機関も多くそうですが、交代制勤務の形では福祉医療施設が該当します。

仙台に2つの障害者で入所の形で種々の介護を提供する施設を運営する社会福祉法人があり、2つの施設は、定員で80名と50名の入所者と40名、23~4名の職員がおり、4名、2名の看護職の他はほとんどが介護職員です。

医師は双方を担当する形で1名が常勤でいる。夜間は夕方4時半から9時半の16時間労働で各々男女2人づつ「同性介護(男は男、女は女を担当)」を原則としているそうです。

対象者は「身体に障害を持ち家庭介護が無理で、医療的処置の必要な方」です。車椅子の方がほとんどで、移乗には介助が必要な方ばかりです。家族が施設内にいないので、介護を求める際は、本人がコールする訳です。

作業所とは異なり、生活の一環として趣味の範囲での自主活動的「作業」を行っている方はいるそうです。夜間のあらゆる介護、摘便、浣腸等の排泄の介助や清拭や体位交換等にあたりほとんど仮眠も取れないのが実態のようです。


②働く労働者は
この福祉施設に組織されている労働組合の協力で3人の方にヒアリングの機会を得られました。30才の女性で事務職から転職され3年目の方、21才の男性で就職3年目の方、40才の女性で主任であり労組役員でもある方の3人です。夜勤で大変なことを聞くと、仕事はいくつかの棟に渡り、冬や雨天に暗闇の中の移動も大きな負担です。介護は夜、昼の区別無いことばかりながら人員はまるで違うわけだから忙しさが大変とのことです。先にも触れたが男性が男性患者、女性が女性患者を担当するので、どちらか一方に手の掛かる人が多いと負担は一層集中するし、家族の付き添いは全くいないので仕事は全て職員の手に拠っているそうです。
実は、2つの施設は同じ法人ながら夜勤のシステムには大きな違いがありまと。一方は16時間勤務の明け番の翌日に公休日を組み入れているのに対し他方は原則としては日勤になっています。この2つは同じ長時間夜勤であっても疲労状態やその回復に大きな差があるようです。前者の場合は公休を疲労回復に当てられる分大分助かると3人とも話しますが、後者では日勤に就業した直後の身体の状態は普通でなく不安が多いまま働きだすそうです。最も長い方は双方経験しての感想であり、後の2人は、夜勤・空け・公休のシフトしか経験が無いが、他のやり方、つまり空けの翌日の公休が無いやり方ではとてもついていけないだろうと真顔で語ってくれました。

③蓄積する疲労、ストレス
16時間労働であるので、職員の誰か又は家族が病気や事故、不幸にみまわれれば代わりの職員が予定外にその勤務に着くので実際は年に数件ですが、いつあるかと頭の片隅にあるのが結構疲れるといいます。実際、夜勤の前は先に述べた忙しさに対応せんと相当に気を使うそうです。特に前日の夜に会合や友人に誘われる機会があっても大抵は断り家でじっとしているとのことです。夜勤の当日も夕方の出勤にそなえて外出を慎重にしてきているといいます。慣れてくると日中空いている利点を生かして買い物や理髪・美容院に行けるようになるが、1~2年はそういう余裕は無かったと話します。明け番の日は、帰宅後すぐに寝ようとしても仲々眠れないといいます。

又、そこで眠ると夕方に起床することになるのです、次の夜間睡眠が不充分になりがちで、翌朝の目覚めが悪いそうです。3年目の2人は、勤務体制が明けー公休の為次の日の日勤には何とか間に合うが、それでも働き始めははっきりせず仕事への対応がうまくいかないといいます。もしこれがもう一つの苑のように明けの次の日に日勤ならば辞めざるを得ない、と口をそろえて話します。ベテランの主任さんは敢えてその勤務を体験しようとその体制の苑に移り、主任業務と組合の任務もこなしているが、かなり仕事の精通していてのことのようであり他の人ができるとは決して言えないと語ります。


④夜勤により生活影響・健康調査
細目で高率なのは、「疲労回復の悪化」が8割、「睡眠時間が減少」「食事で外食・出前が増えた」「運動機会・時間の減少、内容の貧弱化」「趣味の機会の減少」それに、「疲労状態の悪化」「健康状態の悪化」が6割と目立っています。

逆に「改善した」という人が見られたにのは、極めて少なかったのですが、「休養」の3細項目、朝食回数、朝食抜き、趣味時間、内容、社会的役割の時間のみで、休養の3項目以外は1名いるだけでした。

これらを先に紹介したヒアリングの内容と関係付けてまとめれば、「労働以外の時間は疲労を取り次の仕事に備えて休んでいるしかないので休養時間は増えるが、睡眠、食事の量、質は低下せざるを得ない」のが現実のようである。

ヒアリングでの彼らはとても真剣で自分の仕事に打ち込んでいる様子とその仕事を続ける為に生活全般に注意を払い、多大な犠牲を払っている様子が我々にひしひしと伝わってきました。

と同時に、彼らが異口同音に言っていた「この労働条件が続くならば、これから先介護を要する人が増えるのに、この仕事に参加してくれる労働者が増えて来ないのではないか心配だ」という言葉がいつまでも耳に残りました。

 

§第15回国際夜勤交代制勤務シンポジウムの内容
 同シンポジュウムには、海外100名以上、国内から60名以上の参加があり、10程の招待講演、口演60程(日本から7つ)、ポスタ-発表100程(日本から16)で多彩な報告と活発な討論が繰り広げられました。紙面の都合でおおまかなことだけを紹介しますと、多かった主題は「疲労」「睡眠障害」「虚血性心疾患」「胃腸障害」「筋骨格系」「代謝」「生体リズム」「高血圧」でした。内容的には、年代、性、家族構成等対象者の細かな検討の上での調査・解析が目立ちました。特に女性で家事・育児負担の解明が注目されてきています。睡眠では、質問紙法の限界が強調され、ポリグラフの導入が増え、関連して、メラトニンの関わり、コ-ヒ-、光照射等の研究が多く報告されました。高血圧に関しては、日本からABPMの報告が多く、我々の先行調査の生きていました。シフトの改善研究はかなりの数に昇り、この何回かの傾向が更に強まっています。私が強い印象を受けたのは、確かに、ヨ-ロッパでもフレックスタイムやパ-ト化による時短がかなり広がっていますが、研究者と労働者が主体的に関わり、生活と健康を守る手段として検討し、結果を公表している点で、我が国のような企業・資本家からの主に経済的要請からの検討・導入とはかなり異質の面も伺うことが出来ました。

§夜勤による健康障害の予防対策
 プレシンポとポストシンポの課題を通じて私が感じ、提案したのは以下の諸点です。
 ①労働者が自ら夜勤があることを知って応募するのに比べて途中から夜勤に変わる場合はより十分注意を要すること
 ②深夜帯(2時を中心に)2時間(以上)の仮眠確保が極めて重要なこと
 ③深い睡眠を得る為、「静けさ」「暗さ」「寒すぎ、暑すぎ解消」等の条件確保が夜勤を健康破壊を最低限にして継続するにはどうしても必要なこと
 ④夜勤を含む生活に密着した検査による検査による評価が重要なこと
   特に、高血圧でのABPM、循環器疾患での24時間心電図等
 ⑤「一病息災」は東北地区過労死事例分析や厚生省(旧)の「急な病死調査」からみてもそのままでは決してありえないこと。既往歴のある労働者は確実にその後短期間に死亡する比率が極めて高いという結果からみて、「一病」は、そのままでは「息災」で無く、例えば、「夜勤者が消化性潰瘍を放置すれば、吐血等で急死することもあるが、ピロリ徐菌等きちんと対処すれば、夜勤継続も可能」という理解が重要です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(転載ここまで)

簡単に言えば、長時間勤務と夜勤によって、不整脈や高血圧といった循環器への影響、血糖値という内分泌系への影響が出る事いなります。

さらに、消化器系の疾患が増加します。

つまりいつもだるい状態が続くのだと想像がつくと思います。

交代勤務をさせると、そのだるさ、倦怠感の中で仕事をしなくてはならないため、次第にモチベーションがそがれてしまうことが分かると思います。

週休二日制では到底夜勤による心身へのダメージや疲労対策にはならないと予測されます。

ですから、ABCシフトによる、「1か月10夜勤シフト、1か月8夜勤+4日勤シフト」ぐらいのインターバルがないと心身の回復ができない=長く働くことができないことが分かると思います。

 

日勤+夜勤の不規則ミックスは確かにシフトを組む側は組みやすいかもしれません。

しかし、実は夜勤をしている看護師の心身は日々蝕まれているのです。

『私が強い印象を受けたのは、確かに、ヨ-ロッパでもフレックスタイムやパ-ト化による時短がかなり広がっていますが、研究者と労働者が主体的に関わり、生活と健康を守る手段として検討し、結果を公表している点で、我が国のような企業・資本家からの主に経済的要請からの検討・導入とはかなり異質の面も伺うことが出来ました。』(諸悪の根源は看護基準というものを作っている「厚生労働省」かもしれませんね。)

看護師不足は起こっていない、起こっているのは、「ベテラン+新人」という構成による日勤業務が滞っていることではないでしょうか?

そして、拍車をかけて中堅への業務負担増加+結婚出産という女性ならではのライフイベントでの退職、子育てしながら働くことの困難さの仕組み改善、看護スタッフの男女比の是正によって改善に向かっていくことも予想されます。

 

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