遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ノーベル化学賞GPCR

2012-10-10 20:50:33 | BIONEWS
ノーベル化学賞、米2教授に…たんぱく質受容体(読売新聞) - goo ニュース
1994年に三量体Gタンパク質でギルマン博士とロッドマン博士がノーベル生理医学賞をとったので、この関連ではもうないと思ってたら、受容体が化学賞を取っちまったでございますよ。日本の新聞は『たんぱく質受容体』なんてあまりに不正確で専門家が聞いたら「なんだそりゃ?」という言葉を使ってます。正しくは、「Gタンパク質共役型受容体(G protein coupled receptor; GPCR)」ですな。文系の方々には、分かんなくていいから正確な名称を用いて文章を書いてほしい。分かりやすく書いてもどうせ気分的な効果しかないです。専門家が読んで、それが何か正確に分かる方がずっと大切ですから。
ヒトのような高等生物はいろいろとこの受容体を持っていますが、酵母菌だって持ってます。以前、分裂酵母のフェロモンのお話を書きましたが、そのフェロモン受容体もGタンパク質共役型受容体であります。
Wikipediaからのコピペで申し訳ないですが、だいたい6つに分類されてまして、ヒトは約350種類もゲノムにコードしてるらしい。全部使ってるかは知らんけど。w

クラス A ロドプシン様受容体
クラス B セクレチン受容体ファミリー
クラス C 代謝性グルタミン酸受容体
クラス D 真菌の接合因子受容体
クラス E サイクリックAMP(cAMP)受容体
クラス F Frizzled/Smoothened

受容体にくっついて刺激する物質をリガンドと呼びます。GPCRにくっつくリガンドの有名どころではアドレナリン、GABA、セロトニン、ヒスタミン等ですな。カフェインがくっつく受容体もGPCR。GPCRは細胞膜を貫通して存在してまして、表面に出てる部分でリガンドを受け止めます。細胞の内側の部分で三量体Gタンパク質とくっついてまして、リガンドによる刺激をこれに伝えます。酵母のフェロモン受容体ならフェロモン刺激を伝えられた三量体Gタンパク質がアデニル酸環状化酵素を活性化。ATPからcAMPが出来てAキナーゼがさらに活性化・・・てな具合で、細胞の外からの信号が細胞の中でダンダンダンダンとドミノ倒しのように伝わるのです。ヒト細胞でもほとんどおんなじ♪

三量体Gタンパク質のことから話しを始めたのは、受賞者の一人ギルマン博士が僕の働いていたダラスのテキサス大学サウスウェスタン医療センターの先生で、僕が帰国で離れたすぐ後に受賞されたからです。ギルマン博士の研究室では日本人研究者がいたので、ちょっと知っていたんです。しかも、そこの日本人研究者の先生が癌で若くして他界された直後のギルマン先生の受賞だったので、すごく惜しいことをしたという想いが今もあります。
たいした人生じゃないですが、あちこち渡り歩いていろんな人に出逢いました。ラッキーな人、アンラッキーな人、自業自得な人、王道を行く人、本物なのに認められない人、偽もんだけどまだバレてない人・・・分かったことは、他人は他人、自分は自分ってことです。w

今夜のお酒の沢渡は月産出荷本数300本という極少量生産の焼酎です。芋が違う。もう今僕の部屋は芋焼酎のかぐわしい香りでいっぱいになってます。香りで飲ます芋焼酎です♪ お値段もリーズナブル♪

本日の大酒:鹿児島芋焼酎 沢渡
コメント
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