遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

ミトコンドリアと悪性化

2012-10-05 21:12:46 | BIONEWS
良性腫瘍が癌化する仕組みを解明(ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト) - goo ニュース
ショウジョウバエを使った研究成果です。ハエや線虫や酵母のようなモデル生物を使った研究は昨今生き残りが医学系では厳しい感じがします。頑張ってほしいなぁ。

ショウジョウバエの幼虫の複眼前駆組織に癌遺伝子rasを導入して活性化させ、良性腫瘍を作る。良性腫瘍に約3000種類の遺伝子変異をランダムに1つずつ導入して観察した結果、ミトコンドリアに機能障害を起こす遺伝子変異が導入されると、良性腫瘍自身ではなく近隣にある細胞の増殖能が高まることを発見しました。これらの近隣細胞でRas遺伝子の活性が高まっていると、近隣細胞は悪性化して神経組織への浸潤・転移もみられた。

原著論文読んでないから(今、自宅にいるんで・・)はっきりせんけど、ショウジョウバエの細胞で『約3000種類の遺伝子変異をランダムに1つずつ導入』ってのはトランスポゾン使ったんかな? まあ、重要なのはそこから何を見いだすかだ。そこら辺が遺伝屋の腕のみせどころやね。そこでミトコンドリア。最近は癌細胞のエネルギー代謝関係はすごくちうもくされておるのですよ。どうもミトコンドリアが壊れると炎症性サイトカインと細胞増殖因子を放出しちゃって周りの細胞の増殖能を高めるらしい。『炎症』ってとこも重要なのですよ。腫瘍の悪性化には。
記事ではさらっと「浸潤・転移もみられた」なんて書いてあるけど、浸潤・転移がやばいんですよ。癌で死ぬときゃ、これが・・・・ね。

本日のお酒:KIRIN 淡麗 GREEN LABEL + VINA ALBALI RESERVA 2007
コメント
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