滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

光触媒コーティング

2008年03月15日 | 建築
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先日京都市内に行ったときに、6年前に設計させて頂いた京都府衣料国民健康保険組合事務所ビルの外壁の様子を見てきました・・・。
というのも1年半ほど前に、外壁(室町通りに面した外壁です。)の汚れがひどいので何とかならないかと組合の理事長さんから相談を受け、光触媒によるコーティングを施したからです。事務所ビルがある場所は、御池通りから室町通りをほんの少し下がったところにあり、前面に駐車スペースを確保するために建物が通りから入り組んだ配置となっています。
予想以上に外壁の汚れが早かったのは、交通量の多い室町通りの排気ガスやホコリが前述したように入り組んだ建物配置になっているので、前面の駐車スペースがホコリだまりの役目をしてしまったのが主な原因のようです・・。

光触媒は簡単にいうと、光のエネルギーを化学反応のエネルギーに変換する物質です・・。
具体的には、光触媒に光があたると、そのエネルギーによって内部でそれまできっちりと並んでいた電子が自由に動き出します。それと同時に、その電子がもともといたところには「正孔」と呼ばれる電子とは逆の+の電荷をもつものが発生します。そして、この電子と正孔が光触媒ちかくにある空気中の水や酸素と反応し、活性酸素を作り出し、これが強い反応性をもっているため、この活性酸素が汚れの元となる有機物や有害な細菌などを分解します。

光触媒の反応によって有機物を寄せ付けなくなった表面に水の分子が吸着し、分子レベルの水の膜が形成されます。このように水分子の膜で覆われた表面では、従来の無機質材料などよりはるかに水になじみやすい状態になり、これを超親水状態といいます。この状態では、汚れのもととなる物質が表面に付着しても、水の膜が汚れの成分と光触媒の間に入り込み、汚れを浮かび上がらせるような状態になるため、非常に汚れにくくなります・・。

難しい話になりましたが、この光触媒のコーティングをすると太陽光のあたる場所なら、一切手入れをしなくても汚れることがないという事です。(メーカーの保証期間は5年ですが、実際は10年程度効果があるそうです・・)、建物を設計した6年前は、光触媒はそれほど普及していなかったので(タイルは普及していましたけど・・)、コスト的に高かったので使えませんでした。しかし、最近では普及が進み、種類も豊富でコスト的にも使いやすくなってきています。この事務所ビルの場合でも、打放しコンクリート面やガルバリウム鋼板面、押出成形セメント板及びガラス面といろいろな部位にそれぞれ適応する光触媒のコーティングを施しています。

それで、先日外壁の様子を見に行ったときも(今までにも何回か経過を見に行っているのですが・・)、ほとんど目立った汚れはありませんでした。
光触媒の効果は凄いです・・・!









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