津市美杉町多気に北畠氏の本拠地、多気御所の跡地がある。
館跡と共に霧山城砦の遺構が中世の当時を忍ばせる。
ここを中心に北畠氏は240年程の権勢を振るっていた。
この本拠地は美杉の山中にあり、周囲を険阻な山々が取巻いている。
行き来できる峠道は限られた数しかない。それが七つ峠と言われているところだ。
ここは津市が「史跡多気北畠氏城館跡保存管理計画」として、
その保護を目的に、発掘調査、整備事業などを行っている。
同計画の資料の一部に下表がある。
七つ峠がその対象にリストアップされている。
この七つ峠については以前より諸氏によって取り上げられている。
代表例が下図である。
原図は樋田清砂氏作成とある。
この中の峠の部分だけをズームアップしてみる。
峠が御所を取巻いて、北畠氏の本拠地を守る上で重要な要素であったということが、
作者の意志として感じることが出来る。(樋田氏は8カ所としている)
この内の一つ、白口峠については訪れたことがある。
峠のピーク付近に削平地が3~4段並んでいた。
これらの七つ峠について横並びで調べてみることが、意味があるのではないかと考えるようになってきた。
どの峠に力を注いでいたのかとかが見えてくるのではないだろうか。
早速、場所を地図に落とし込んでみた。
実際は、訪れるのが困難な所もありそうで、全ヶ所の踏査は出来ないかもしれない。
或いは、現在でもこれらの峠は地勢上、重要な地点であって大幅に改変が行われている可能性が高い。
目標は半数ぐらいだろうか。訪れてみたい。
地図の右上隅には七つ峠以外の”八頭峠(仁王峠)”がある。
ここにも番所跡らしき削平地が複数確認できる。
地図の6番右の上小川町に七つ峠以外の”中峠”があり、その様子が下の写真である。
写真は峠の道を中心に写したもので削平地を狙ってはいないが、写真左側の一段高い
段の上は、削平地が幾つかの境界線で仕切られ存在している。
多気を中心とする山中には、七つ峠以外の峠にも番所が設けられていたのではないだろうか。