テン・アローズ、創業家らがMBOへ 株式非公開化目指す 2008年9月19日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080919AT3B1900F19092008.html
大証2部上場で婦人下着販売のテン・アローズは19日、創業家一族を中心とするMBO(経営陣が参加する買収)により株式の非公開化を目指すと発表した。モルガン・スタンレーグループの投資ファンドが創業家の資産管理会社を通じTOB(株式公開買い付け)を実施。創業家が同ファンドに再出資する。婦人下着事業の業績が悪化する中、MBOで経営判断の迅速化を図る。
三笠製薬がMBO 非上場企業目指す 2008年9月18日 日経産業
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2008091708257b1
ジャスダック上場の中堅製薬会社、三笠製薬は17日、MBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表した。18日からTOB(株式公開買い付け)を実施し、非上場企業になることを目指す。3分の2を取得した場合の買収額は約73億円。中長期戦略に基づく経営に取り組む。
緒方巧社長がMBOのため設立したミカサ(東京・杉並)がTOBを実施する。投資ファンドなどの協力は得ず、資金は創業一族が用意する。買い付け期間は10月31日まで。買い付け価格は過去1カ月間の平均終値を49%上回る1株800円。買い付け株式数に上限は設定していない。TOBが成功すればジャスダック証券取引所の上場廃止基準に基づき、2009年2月にも上場廃止になる見通しだ。
MBO(経営陣が絡む買収)が実施された後で、すかいらーくでは創業者一族が追い出され、レックス・ホールディングスでは買取価格を巡って裁判でもめているのですが、世間では投資ファンドが絡むMBOの怖さというものがわかっていないのか、相変わらずMBOを使った株式非公開化がブームなようで…(滝汗
ちなみに、三笠製薬の場合は、薬価基準の引下げ改定や原材料価格の高騰、人件費や販売促進費の増加などが原因で、通期業績予想も、売上高が88億から84億900万、営業利益が8億から5億6300万と利益が急降下していますし、投資ファンドは活用せずに、資金も創業一族が用意し、買取価格も過去1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の3つの単純平均を元に日興コーディアル証券の意見も聞きながら決めている(店頭公開も1980年とかなり以前のため、短期間で上場を廃止したと文句を言われることもないでしょう)上、独立した法律事務所からの助言も受けているため、後から裁判でもめる可能性は少ないと思いますが、問題は投資ファンド主導のテン・アローズのケース。
ちなみに、テン・アローズ(旧シャルレ)といえば、2004年に三屋裕子氏を三顧の礼で社長(4月に顧問として入社、6月29に社長就任)に迎えながら、わずか3年後の2007年6月27日に三屋氏及び取締役7人を解任する形で追放した、よく言えばアメリカ並みに経営者に対して厳しい成果を求める会社、露骨な言い方をすればスカウトした相手に対して実に失礼極まりない態度を取る会社として、世間の注目を集めてしまったのですが、その後も昨年(2007年)11月末にエニシルを会社分割の上、シャディに売却。今年の10月1日には会社分割を行い、現シャルレ事業をテン・アローズが承継して社名をシャルレに変更。分割後の旧シャルレは解散を前提に清算処理を進めるなど(創業家が経営に介入してから)ますます経営が混迷している感さえあるのですが、今度は株式非公開化…。外から見ている身としては、『一体何がやりたいの?』とさえ聞き返したくなりますね…。
まあ、テン・アローズの場合、投資ファンドと創業家一族など、大株主だけで63.85%の株式を保有しているため、『少数株主を追い出してリストラを進めたい』というのがホンネなのだとは思いますが、少数株主から見れば年間30円の配当と株主優待が受けられなくなり、買取価格も過去1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の単純平均と比べれば、いずれも4割強から5割5分近いプレミアはついているものの、800円という買い付け価格にはたして少数株主は納得するのでしょうか…。(大雑把にいえば、2000年以前の長期保有株主や、2004-2006年に株式を購入した方の大半は損切りを余儀なくされることになります)
加えて投資ファンドがMBOに参加する場合は、自己資金だけでなく、他人の資金も取り込んで出資するため、どうしても2-3年の短期間で結果を求めます(スティール・パートナーズが勝手に株を買い占めておきながら、執拗に増配を求めたり、企業のリストラを迫るという 一般的日本人の感情を逆撫でするような言動を繰り返すのも同様の理由からです)し、一歩間違えば、こちらの創業家もすかいらーくの経営陣のように2年で追い出されかねないかと…、
まあ、三屋裕子氏をあのような形で放逐したような冷徹な一族ですから、2-3年後にもし創業者一族が同じ運命を辿ることになろうとも、個人的には同情する気にもなれませんが、創業者が追い出されるだけならまだしも、現場まで無理なリストラで社員の負担が増えたり、あるいは顧客に強引な販売を迫ったりしたら、顧客の側だって迷惑しますし、それだけは勘弁してもらいたいところですね。
テン・アローズの創業者一族は、本当に投資ファンドを使うデメリットを十分に理解しているのでしょうか…。経営者ならば、『投資ファンドは、メインバンクよりもずっと冷徹に経営者の首をすげ替える』ことくらいは理解した上で外部の資金を借り入れた方が良いと思うんですけどね…。
テン・アローズのニュースリリースはこちら
http://www.ten-arrows.com/press/pdf/20080919-1.pdf
http://www.ten-arrows.com/press/
三笠製薬のニュースリリースはこちら
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/pdf/other/20080917_upd.pdf
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/pdf/other/20080917_sando.pdf
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/pdf/other/20080918_upd.pdf
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20080919AT3B1900F19092008.html
大証2部上場で婦人下着販売のテン・アローズは19日、創業家一族を中心とするMBO(経営陣が参加する買収)により株式の非公開化を目指すと発表した。モルガン・スタンレーグループの投資ファンドが創業家の資産管理会社を通じTOB(株式公開買い付け)を実施。創業家が同ファンドに再出資する。婦人下着事業の業績が悪化する中、MBOで経営判断の迅速化を図る。
三笠製薬がMBO 非上場企業目指す 2008年9月18日 日経産業
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/top/index.cfm?i=2008091708257b1
ジャスダック上場の中堅製薬会社、三笠製薬は17日、MBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表した。18日からTOB(株式公開買い付け)を実施し、非上場企業になることを目指す。3分の2を取得した場合の買収額は約73億円。中長期戦略に基づく経営に取り組む。
緒方巧社長がMBOのため設立したミカサ(東京・杉並)がTOBを実施する。投資ファンドなどの協力は得ず、資金は創業一族が用意する。買い付け期間は10月31日まで。買い付け価格は過去1カ月間の平均終値を49%上回る1株800円。買い付け株式数に上限は設定していない。TOBが成功すればジャスダック証券取引所の上場廃止基準に基づき、2009年2月にも上場廃止になる見通しだ。
MBO(経営陣が絡む買収)が実施された後で、すかいらーくでは創業者一族が追い出され、レックス・ホールディングスでは買取価格を巡って裁判でもめているのですが、世間では投資ファンドが絡むMBOの怖さというものがわかっていないのか、相変わらずMBOを使った株式非公開化がブームなようで…(滝汗
ちなみに、三笠製薬の場合は、薬価基準の引下げ改定や原材料価格の高騰、人件費や販売促進費の増加などが原因で、通期業績予想も、売上高が88億から84億900万、営業利益が8億から5億6300万と利益が急降下していますし、投資ファンドは活用せずに、資金も創業一族が用意し、買取価格も過去1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の3つの単純平均を元に日興コーディアル証券の意見も聞きながら決めている(店頭公開も1980年とかなり以前のため、短期間で上場を廃止したと文句を言われることもないでしょう)上、独立した法律事務所からの助言も受けているため、後から裁判でもめる可能性は少ないと思いますが、問題は投資ファンド主導のテン・アローズのケース。
ちなみに、テン・アローズ(旧シャルレ)といえば、2004年に三屋裕子氏を三顧の礼で社長(4月に顧問として入社、6月29に社長就任)に迎えながら、わずか3年後の2007年6月27日に三屋氏及び取締役7人を解任する形で追放した、よく言えばアメリカ並みに経営者に対して厳しい成果を求める会社、露骨な言い方をすればスカウトした相手に対して実に失礼極まりない態度を取る会社として、世間の注目を集めてしまったのですが、その後も昨年(2007年)11月末にエニシルを会社分割の上、シャディに売却。今年の10月1日には会社分割を行い、現シャルレ事業をテン・アローズが承継して社名をシャルレに変更。分割後の旧シャルレは解散を前提に清算処理を進めるなど(創業家が経営に介入してから)ますます経営が混迷している感さえあるのですが、今度は株式非公開化…。外から見ている身としては、『一体何がやりたいの?』とさえ聞き返したくなりますね…。
まあ、テン・アローズの場合、投資ファンドと創業家一族など、大株主だけで63.85%の株式を保有しているため、『少数株主を追い出してリストラを進めたい』というのがホンネなのだとは思いますが、少数株主から見れば年間30円の配当と株主優待が受けられなくなり、買取価格も過去1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の単純平均と比べれば、いずれも4割強から5割5分近いプレミアはついているものの、800円という買い付け価格にはたして少数株主は納得するのでしょうか…。(大雑把にいえば、2000年以前の長期保有株主や、2004-2006年に株式を購入した方の大半は損切りを余儀なくされることになります)
加えて投資ファンドがMBOに参加する場合は、自己資金だけでなく、他人の資金も取り込んで出資するため、どうしても2-3年の短期間で結果を求めます(スティール・パートナーズが勝手に株を買い占めておきながら、執拗に増配を求めたり、企業のリストラを迫るという 一般的日本人の感情を逆撫でするような言動を繰り返すのも同様の理由からです)し、一歩間違えば、こちらの創業家もすかいらーくの経営陣のように2年で追い出されかねないかと…、
まあ、三屋裕子氏をあのような形で放逐したような冷徹な一族ですから、2-3年後にもし創業者一族が同じ運命を辿ることになろうとも、個人的には同情する気にもなれませんが、創業者が追い出されるだけならまだしも、現場まで無理なリストラで社員の負担が増えたり、あるいは顧客に強引な販売を迫ったりしたら、顧客の側だって迷惑しますし、それだけは勘弁してもらいたいところですね。
テン・アローズの創業者一族は、本当に投資ファンドを使うデメリットを十分に理解しているのでしょうか…。経営者ならば、『投資ファンドは、メインバンクよりもずっと冷徹に経営者の首をすげ替える』ことくらいは理解した上で外部の資金を借り入れた方が良いと思うんですけどね…。
テン・アローズのニュースリリースはこちら
http://www.ten-arrows.com/press/pdf/20080919-1.pdf
http://www.ten-arrows.com/press/
三笠製薬のニュースリリースはこちら
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/pdf/other/20080917_upd.pdf
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/pdf/other/20080917_sando.pdf
http://www.mikasaseiyaku.co.jp/pdf/other/20080918_upd.pdf
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