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隠岐病院が「助産科」設置し島内出産対応

2007-02-19 19:22:10 | Weblog
隠岐病院が「助産科」設置し島内出産対応 2007年2月19日 山陰中央新報
http://www.sanin-chuo.co.jp/news/modules/news/article.php?storyid=345679006
 島根県隠岐の島町の隠岐病院は4月から、常勤産婦人科医の1人体制移行による島内分娩(ぶんべん)の対応策として、院内の助産師がローリスクの分娩を担う「助産科」を開設することを18日、発表した。山陰で初めての助産科設置は、産婦人科医不足の中で院内助産師を最大限活用して地元出産の機会を与える試みとして注目を集めそうだ。
 同院を運営する隠岐広域連合が同日、常勤産婦人科医1人体制移行に伴う本土・島内出産対応と同院の産科診療体制について、同町内で妊婦説明会を開催。その中で助産科設置を表明した。
 同院によると、常勤医1人体制移行に伴い、初産、多胎、胎児発育遅延、羊水過多、帝王切開などリスクのある分娩は本土出産にし、正常分娩で出産経験のある低リスク分娩だけを助産科による院内出産で対応する。
 助産科は、院内の助産師8人のうち5人で構成。産婦人科医と小児科医のバックアップ体制の中、妊婦検診と分娩、分娩後のケアを行う。分娩は助産師2人で当たり、緊急時は産婦人科医の指導の下で対応する。
 同院の産婦人科医は、県立中央病院(出雲市)が派遣。昨年11月から2人派遣してきたが、同中央病院自体の取り扱う分娩数に対する医師の絶対数が不足することから、4月から隠岐への2人派遣を断念し1人派遣に移行する。



 島根県では、県東部の松江圏(8施設・17人体制)、出雲圏(7施設・25人体制)以外の圏域は、2、3の出産施設しかなく、勤務する産婦人科医も4-5人体制。ちなみに他の地域は、雲南市を中心とした雲南圏では2施設・3人体制、太田市・邑南町を中心とした大田圏は2施設・3人体制、浜田市・江津市の浜田圏は3施設・5人体制、益田市・津和野町を中心とした益田圏は3施設・5人体制。
 産婦人科休診についても2003年以降は、一時中断の隠岐病院(隠岐の島町)以外に、邑智病院(邑南町)出雲市立総合医療センター(出雲市)飯南病院(飯南町)安来市立病院(安来市)で出産が中止に。来春には津和野共存病院(津和野町)でも出産ができなくなります。
 隠岐地域でもこれまで何とか2人目の産婦人科医を確保しようと努力していましたが、他の地域でもぎりぎりの体制で運営している中、このような助産科による院内出産という形をとらざるを得なかったようです。

 とはいえ、隠岐の島の場合、橋などで本土とつながっている島ではなく、完全に離れていますし、船も飛行機も出せない荒天候の場合は、身動きがとれなくなるだけに、多胎妊娠の場合や少しでも出産にリスクのある場合は本土での出産を選ばざるを得なくなるでしょうし、実際島の外での出産が7割―8割になるのでは…と言われています。
 島としては費用の一部を補助しているとはいえ、金銭的不安だけではなく、上の子供から見れば長時間母親あるいは家族と離れ離れの生活を強いられることになりますし、その子供達の心のケアなど課題は山積。 出産する側のお母さんも、本来ならば産後はしばらくはゆっくり休みたいところですが、(特に実母やお姑さんなど助けてくれる人がいない家庭では)中々そうはいかないのが現状ではないでしょうか。

 これは津和野共存病院副院長の木島氏が指摘していることですが、 「産婦人科医が東部に偏重しているのが問題だ。県立中央病院の医師も同じ県職員という立場なので地方への派遣はできるはず。それと中央病院と島根大医学部との連携がもっと必要。難しいかもしれないが中央病院の医師を地方に派遣し、大学の研修医を中央病院で受け入れるようにすればいい。また普通のお産は受け入れず、高度な医療に集中すれば医師を地方に派遣できる。隠岐については離島という悪条件なので絶対に産婦人科医が必要。本土で出産すればいいとの考えがそもそもの間違いだ。子宮外妊娠でも命を落とすことがあり、それに対応する医師がいる」 というのももっともだと思いますし、この医師配置のバランスの問題は確かに大きいと思います。
 職業選択の自由、好きな場所で働く自由がある以上、強制することは難しいとは思いますが、この問題は県の主要都市以外の地域に住む人は(離島以外にも積雪で陸の孤島状態になることもあるだけに)決して他人事とは思えない問題ですね。

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