新興国にも株安の波 原油・為替の値動き変調 2008年9月6日 朝日
http://www.asahi.com/business/update/0906/TKY200809050356.html
5日の東京株式市場は、前日の米株価急落を受けて全面安になり、日経平均株価の下げ幅は一時390円を超えた。終値も3月以来の安値を記録した。世界経済の減速が欧州や新興国にも及び、各国で株安が進行。外国為替相場や原油先物価格にも変調が目立ち始めている。
4日のニューヨーク株式市場では、大企業で構成するダウ工業株平均が前日比344.65ドル安と大幅に下落。5日も、8月の失業率が事前予想より悪かったことから、一時下げ幅が150ドルを超えた。
5日の東京市場は、午前中から株価が急落。33業種中31業種が値下がりした。市場では「含み損を抱えた個人投資家が手持ちの株を『投げ売り』している」(大手証券)との見方もあり、比較的業績が堅調な大企業の株式にも売り注文が相次いだ。
日経平均の終値は前日比345円43銭安い1万2212円23銭で、3月18日以来5カ月半ぶりの安値水準。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は30.81ポイント低い1170.84に下げた。出来高は22億7千万株。
これまで、景気減速の原因の一つは原油高とみられてきた。しかし米原油先物価格は、ピークの7月の1バレル=145ドル台から、5日は一時105ドル台に下落。インフレ懸念が和らぎ、株価上昇の要因となってもおかしくはない。
ところが株価の動きは逆だ。市場では「世界的な景気後退が進んでいるとの認識が広がっている」(三井住友銀行の宇野大介・チーフストラテジスト)。原油安もその結果と受け止められれば、株を買う材料にはなりにくい。比較的堅調とみられていた新興国や欧州の株価も下落傾向を強めている。
さらに、原油安が株安に直接つながる可能性も指摘されている。原油先物の急騰局面では、投機的な売買をするファンドが多額の利益をあげたとされる。ところが、急落に転じたため「大きな損失を被ったファンドが相次ぎ、手じまいのため、保有する株式も売却しているとの見方がある」(市場関係者)という。
投資資金の引き揚げは、外国為替相場の動きにも表れている。金利が低い日本円で資金を借り、各国通貨に換金して株や商品市場に投資していた投資家が、「景気後退を受けて投資資金を回収している」(大手銀行為替担当者)。資金返済のため、各国通貨から円に換金する動きが広がり、外国為替市場では円高が進行。3日以降、対ユーロでは5円以上円高の151円台、対ドルでも2円以上円高の106円台になった。
金融市場の現状について、野村証券の岩沢誠一郎・チーフストラテジストは「市場は米政府が金融システム不安を解消する政策を打ち出すことを『催促』している状態だ」と指摘する。ただ、11月の大統領選までは当局も動きづらいとの見方が多い。市場では、日経平均が3月17日につけた年初来安値(1万1787円)を割り込む可能性もささやかれている。
「ロシア売り」に拍車 株・債券・通貨のトリプル安 2008年9月6日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080906AT2M0503O05092008.html
グルジア紛争をきっかけとした「ロシア売り」に拍車がかかってきた。株・債券・通貨ルーブルの「トリプル安」が鮮明となっており、株価下落の勢いは1998年の経済危機以来で、通貨当局がルーブル安に歯止めをかけるため為替介入に動いている。欧米の批判をよそにグルジア各地の占領を続けるなどロシア政府は強硬姿勢を続けるが、原油価格の下落傾向が続く中、資金流出による経済への影響がどこまで深刻化するか読めない情勢だ。
ロシアの代表的な株価指数であるRTS指数は南オセチア自治州を巡る武力衝突ぼっ発直前と比べ23%下落。5月中旬の高値と比べると下げ幅は40%を超えた。国内外の投資家がロシア売りを強める中で、債券相場も下落しており、指標のルーブル建て30年債の利回りはこの1カ月で1%強上昇(価格は下落)。ルーブルの対ドル相場は7月半ばの高値から約9%下げている。
欧州の景気悪化が鮮明になってきたことで、先週後半の日米欧の株式相場が総崩れ&為替相場も大荒れになったこともあり、ついついそちらの方にばかり目がいきがちになるのですが、実は新興国の株価も大きな影響を受けていて、1年前の株価水準と比べると、インド市場で3割弱、中国上海市場に至っては、6割近い下落率となっているようです。
この背景には、勿論これまで新興国市場に過剰なまでに投資資金が入り込んだ反動もあると思いますが、それに加えて、今回は急激に存在感を強めた投資ファンドが、大きな損失を蒙り、急いで現金化を迫られていること。「原油の急落」という、本来ならば好感されるような材料さえ「景気の急速な冷え込み」と受け止められてしまい、株式市場からの資金の流出が止まらない状況にあるようです。
また、ロシアではグルジア紛争による経済の混乱を理由に株・債券・通貨のトリプル安状態に…。
もっとも、ロシアと言えば鉱物資源が非常に豊富な国の1つでもあり、世界シェアが10位以内に入る資源だけでも20種類もあると言われていますし、原油の世界生産シェアは約1割で、その7割は輸出向け。触媒等の用途に用いられるパナジウムなどレアメタルの有数の産出国でもあるだけに、こちらは自国経済さえ落ち着けば、バブルの後遺症も中国よりは小さいのではないかと見ています。
それにしても、つくづくロシアという国は投資家泣かせな国というか…(汗
ソ連の崩壊直後も、市場経済の導入により、急激なインフレが進んで年金生活者の生活を脅かしましたが、資源獲得競争や原油価格の高騰により景気が回復して順調な経済成長を遂げ始めたと思ったら、今度はグルジア問題や、石油会社ユコスの国有化問題…。せめて中国並みに自由主義経済が保証されれば、投資する対象としては、非常に面白い国なんですけどね…(溜息
http://www.asahi.com/business/update/0906/TKY200809050356.html
5日の東京株式市場は、前日の米株価急落を受けて全面安になり、日経平均株価の下げ幅は一時390円を超えた。終値も3月以来の安値を記録した。世界経済の減速が欧州や新興国にも及び、各国で株安が進行。外国為替相場や原油先物価格にも変調が目立ち始めている。
4日のニューヨーク株式市場では、大企業で構成するダウ工業株平均が前日比344.65ドル安と大幅に下落。5日も、8月の失業率が事前予想より悪かったことから、一時下げ幅が150ドルを超えた。
5日の東京市場は、午前中から株価が急落。33業種中31業種が値下がりした。市場では「含み損を抱えた個人投資家が手持ちの株を『投げ売り』している」(大手証券)との見方もあり、比較的業績が堅調な大企業の株式にも売り注文が相次いだ。
日経平均の終値は前日比345円43銭安い1万2212円23銭で、3月18日以来5カ月半ぶりの安値水準。東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は30.81ポイント低い1170.84に下げた。出来高は22億7千万株。
これまで、景気減速の原因の一つは原油高とみられてきた。しかし米原油先物価格は、ピークの7月の1バレル=145ドル台から、5日は一時105ドル台に下落。インフレ懸念が和らぎ、株価上昇の要因となってもおかしくはない。
ところが株価の動きは逆だ。市場では「世界的な景気後退が進んでいるとの認識が広がっている」(三井住友銀行の宇野大介・チーフストラテジスト)。原油安もその結果と受け止められれば、株を買う材料にはなりにくい。比較的堅調とみられていた新興国や欧州の株価も下落傾向を強めている。
さらに、原油安が株安に直接つながる可能性も指摘されている。原油先物の急騰局面では、投機的な売買をするファンドが多額の利益をあげたとされる。ところが、急落に転じたため「大きな損失を被ったファンドが相次ぎ、手じまいのため、保有する株式も売却しているとの見方がある」(市場関係者)という。
投資資金の引き揚げは、外国為替相場の動きにも表れている。金利が低い日本円で資金を借り、各国通貨に換金して株や商品市場に投資していた投資家が、「景気後退を受けて投資資金を回収している」(大手銀行為替担当者)。資金返済のため、各国通貨から円に換金する動きが広がり、外国為替市場では円高が進行。3日以降、対ユーロでは5円以上円高の151円台、対ドルでも2円以上円高の106円台になった。
金融市場の現状について、野村証券の岩沢誠一郎・チーフストラテジストは「市場は米政府が金融システム不安を解消する政策を打ち出すことを『催促』している状態だ」と指摘する。ただ、11月の大統領選までは当局も動きづらいとの見方が多い。市場では、日経平均が3月17日につけた年初来安値(1万1787円)を割り込む可能性もささやかれている。
「ロシア売り」に拍車 株・債券・通貨のトリプル安 2008年9月6日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080906AT2M0503O05092008.html
グルジア紛争をきっかけとした「ロシア売り」に拍車がかかってきた。株・債券・通貨ルーブルの「トリプル安」が鮮明となっており、株価下落の勢いは1998年の経済危機以来で、通貨当局がルーブル安に歯止めをかけるため為替介入に動いている。欧米の批判をよそにグルジア各地の占領を続けるなどロシア政府は強硬姿勢を続けるが、原油価格の下落傾向が続く中、資金流出による経済への影響がどこまで深刻化するか読めない情勢だ。
ロシアの代表的な株価指数であるRTS指数は南オセチア自治州を巡る武力衝突ぼっ発直前と比べ23%下落。5月中旬の高値と比べると下げ幅は40%を超えた。国内外の投資家がロシア売りを強める中で、債券相場も下落しており、指標のルーブル建て30年債の利回りはこの1カ月で1%強上昇(価格は下落)。ルーブルの対ドル相場は7月半ばの高値から約9%下げている。
欧州の景気悪化が鮮明になってきたことで、先週後半の日米欧の株式相場が総崩れ&為替相場も大荒れになったこともあり、ついついそちらの方にばかり目がいきがちになるのですが、実は新興国の株価も大きな影響を受けていて、1年前の株価水準と比べると、インド市場で3割弱、中国上海市場に至っては、6割近い下落率となっているようです。
この背景には、勿論これまで新興国市場に過剰なまでに投資資金が入り込んだ反動もあると思いますが、それに加えて、今回は急激に存在感を強めた投資ファンドが、大きな損失を蒙り、急いで現金化を迫られていること。「原油の急落」という、本来ならば好感されるような材料さえ「景気の急速な冷え込み」と受け止められてしまい、株式市場からの資金の流出が止まらない状況にあるようです。
また、ロシアではグルジア紛争による経済の混乱を理由に株・債券・通貨のトリプル安状態に…。
もっとも、ロシアと言えば鉱物資源が非常に豊富な国の1つでもあり、世界シェアが10位以内に入る資源だけでも20種類もあると言われていますし、原油の世界生産シェアは約1割で、その7割は輸出向け。触媒等の用途に用いられるパナジウムなどレアメタルの有数の産出国でもあるだけに、こちらは自国経済さえ落ち着けば、バブルの後遺症も中国よりは小さいのではないかと見ています。
それにしても、つくづくロシアという国は投資家泣かせな国というか…(汗
ソ連の崩壊直後も、市場経済の導入により、急激なインフレが進んで年金生活者の生活を脅かしましたが、資源獲得競争や原油価格の高騰により景気が回復して順調な経済成長を遂げ始めたと思ったら、今度はグルジア問題や、石油会社ユコスの国有化問題…。せめて中国並みに自由主義経済が保証されれば、投資する対象としては、非常に面白い国なんですけどね…(溜息