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経営難の新銀行東京、近畿産業信用組合が救済に名乗り

2008-05-23 19:13:03 | Weblog
経営難の新銀行東京、近畿産業信用組合が救済に名乗り 2008年5月22日
読売夕刊 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080522-OYT1T00376.htm
日経夕刊 http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080522AT2C2101L21052008.html
朝日夕刊 http://www.asahi.com/business/update/0522/TKY200805220156.html
 近畿産業信用組合(大阪市)は22日、経営難に陥っている新銀行東京(東京・新宿区)の営業譲渡先や業務提携先に名乗りを上げたことを明らかにした。
 同信組は出資金120億円で、会長はタクシー大手のエムケイを創業した青木定雄氏。破たんした在日韓国人系金融機関の大阪商銀などから事業譲渡を受けた。同信組は「新銀行とは中小企業を助けるという理念が同じ」としているが、都の公金を投入して設立された新銀行を、関西の金融機関に事業譲渡することに対しては、都議会などが反発する可能性がある。
 新銀行は、今年3月末で1016億円もの累積赤字を抱え、都から400億円の追加出資を受けたほか、財務面の強化などを目指して、他の金融機関との業務提携なども視野に入れていた。

新銀行東京:近畿産業信組が支援申し出 融資ノウハウなど 2008年5月23日 毎日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080523k0000m020119000c.html
 在日韓国人系金融機関の近畿産業信用組合(大阪市)は22日、東京都に対し、再建中の新銀行東京(東京都新宿区)に中小企業向け融資のノウハウを提供することなどを内容とする経営支援を申し出た。事業提携や事業の譲り受けも視野に入れているという。
 3月末に都の400億円の追加出資が決まって以来、新銀行への支援を表明した金融機関は初めて。ただ都側は「突然の提案なので新銀行に伝えて対応を考えたい」(産業労働局)と慎重姿勢だ。
 近畿産業信組によると、タクシー大手・エムケイグループの創業者でもある同信組の青木定雄会長が、資金繰りに苦しむ中小企業への支援を表明している石原慎太郎都知事の姿勢を評価。社員教育や人事交流を通じた支援を提案した。同信組は普通銀行への転換を目指しているが「(提案の)出発点に業態転換があるわけではない」(経営企画部)という。




 経営が悪化して、他行との提携を模索している新銀行東京ですが、MKタクシーの創業者である青木定雄氏が会長の近畿産業信用組合が、営業譲渡や事業提携も含めた支援の申し出を行ったようです。
 とはいえ、私が金融機関の経営者の立場ならば、100歩譲って『石原慎太郎知事の考える中小企業支援に共鳴した』というコメントが本音でも、後から予想外の債務が出てくるリスクを取り除く意味でも、法的整理になるのを待って支援を申し出ますし、東京に足がかりを作りたいというのならば、既に1店舗しかない新銀行東京ではなく、他の経営不振の信用組合をオーナーから店舗も顧客も丸ごと営業譲渡してもらうことを選びます。そう考えると、やはり普通銀行転換か単なる売名行為が狙いと考えるのが妥当ではないでしょうか。
 もっとも、東京都内で3.5兆円近くの総資産を持つ城南信用金庫あたりは、新銀行東京から真っ先に支援の要請を受けていると思うのですが、この問題で静観していること自体、余計な債務を押し付けられるリスクの方が高いと考えているのだと思いますし、経営形態が比較的似ている日本振興銀行でさえも手を出さないということは、新銀行東京の財務内容は公金400億円の分を織り込んでも、相当悪いと考えるのが妥当。
 日経では、『都の公金を投入して設立された新銀行を、関西の金融機関に事業譲渡することに対しては、都議会などが反発する可能性がある。』と別の意味で懐疑的に見ているようですが、関西に住む私からみれば、都の公金をあてにして下手に経営統合しても、経営を改善できず、あげく近畿産業信用組合の経営が悪化して、今度は大阪府が公金投入という羽目になるリスクの方が余程心配ですね。


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