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糖尿病で収容中失明の死刑囚に400万解決金…国と和解

2009-05-30 16:09:11 | Weblog
糖尿病で収容中失明の死刑囚に400万解決金…国と和解 2009年5月28日 
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090528-OYT1T00234.htm
朝日 http://www.asahi.com/national/update/0528/NGY200905280003.html
 名古屋拘置所(名古屋市東区)に収容中の死刑囚が、糖尿病の合併症で失明したのは拘置所側が適切な処置を怠ったためだとして、国に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の和解協議が27日、名古屋地裁(寺本明広裁判官)であり、国が解決金400万円を支払うことで和解が成立した。
 死刑囚の代理人は「和解は、国側が適切な治療を行わなかったという落ち度を事実上認めたもので、勝訴に等しい。死刑囚の診療ミスを巡る訴訟で、和解が成立するのは珍しいのではないか」と話している。
 訴えていたのは、フィリピン・マニラ市内で1994~95年にかけ、保険金目的などで男性2人を相次いで殺害したとして殺人などの罪に問われた松本和弘死刑囚(54)。最高裁が2007年1月、上告を棄却し、死刑が確定した。
 訴状によると、松本死刑囚は00年2月、右目の異常を訴え、名古屋拘置所が委託している眼科医の診察を受けた。持病の糖尿病が原因で、失明する恐れがある目の疾患「糖尿病網膜症」と診断されたが、拘置所側は専門病院に転院させるなどの措置を取らなかった。点眼治療をしたものの視力が低下したり、両目から出血したりするなど症状は悪化。同年7月に名古屋市内の病院で手術を受けたが、右目は失明し、左目の視力も0・1程度に低下した。
 松本死刑囚は、眼科医が糖尿病網膜症と診断した時点で、拘置所側が専門病院に転院させた上、手術するなど適切な治療を行う安全配慮義務があったとして、05年8月、名古屋地裁に提訴。国側は「医師は適切な処置を行った。手術が必要だという医学的根拠もない」などと全面的に争っていたが、名古屋地裁の選任する鑑定人が、「拘置所が委託している眼科医の処置に問題があった」などとする鑑定結果を提出し、同地裁が今年3月、和解を勧告していた。
 佐藤正人・名古屋拘置所長は「収容者の健康管理については、適切に対応していきたい」とコメントした。




 ほぉ。いくら死刑囚とはいえ、医療を受ける権利はあるとは思いますが、急病時にわざと治療を遅らせたことが原因で後遺症が残ったケースは別にしても、糖尿病の治療が遅れたことが原因で失明したようなケースで、損害賠償請求が認められたり、和解金が支払われることになったケースは、これまでの日本の歴史を振り返ってみても かなり珍しいケースだったのではないでしょうか…。
 ちなみに糖尿病網膜症というのは思いのほかポピュラーな病気で、失明の原因としては緑内障に次いで多く、失明人数も年間約3000人を超えるようですが、普通に生活している人であっても、糖尿病と診断されたにも関わらず食生活を改めず、また治療を長期間放置することで手遅れになるケースも決して少なくありませんし、まして自分の好きな時に医者に駆け込めるわけでもない受刑者の場合は、一旦症状が重篤化したら、満足な治療もされずにそのまま失明のパターンを辿っていたのではないかと思いましたが、こういった裁判が提起されること自体、受刑者の人権が尊重されるようになってきたのかな…と素直に評価する気持ちが半分、他の人は自腹を切って糖尿病治療を受けているというのに、収監中というだけで国が費用も含めて全て面倒を見なければならないのかな…と複雑に思う気持ちが半分と、この事件については随分考えさせられるものがありました。

 現在の日本では、死刑判決が確定しても、実際の死刑執行までには数年あるいは十数年かかるのが当たり前となっていますが、今後は死刑囚が刑が執行されるまでにかかる医療費の総額というものもどんどん膨れ上がっていき、その費用負担がバカにならないという別の問題も発生していくのかもしれませんね。


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